“第2次文化大革命?”…激動する中国!
527回目のブログです。
“鳥の音に のどけき山の
朝明けに 霞の色は 春めきにけり”
藤原為兼(鎌倉後期の公卿・歌人)
今朝は鳴く鳥の声ものどかで、山全体がのびやかな感じがする明け方に、空にたちこめる霞の色はすっかり春めいてきた…。
いよいよ春本番。桜の花も三分咲き、五分咲き、七分咲き、満開など、どのような咲き具合であっても、桜は桜、春の醍醐味を楽しめそうです。
古来、わが国は上下こもごも桜には特別の愛着を持ち“花見の宴”で弁当とお酒で人情の交流をはかり、わいわいがやがや、なごやかな時間を過ごしてきています。
こんな時、他人の噂なども人の口端から当然洩れたりしますが、それで官憲にしょっ引かれることはありません。そして当然のことですが、一般的に言論の自由が保障されていることは言うまでもないことです。
ところが、お隣の中国(中華人民共和国)では、共産党上層部を批判しただけで取り調べられたり、拉致されたり、収監されたりする例が頻繁になって来ていると報道されています。
■ 中国当局、習近平氏批判のサイト閉鎖へ
中国の習近平国家主席を批判する公開書簡を掲載した新疆ウイグル自治区政府系のニュースサイト「無界新聞」の閉鎖が24日までに決まった。公安当局は香港に住む中国人評論家、賈葭氏を15日に拘束したほか、サイト関係者ら数人を拘束して掲載の経緯などを調べている。
(2016/3/25 共同通信一部抜粋)
わたしは、中国問題には昏いのですが、報道で得たなかで感じることなどを記したいと思います。
3月4日、メディア出版の財訊集団とアリババグループと新疆ウイグル自治区が立ち上げた「無界新聞」に『習近平同志の党と国家的指導職務の辞任要求に関する公開状』という衝撃的な公開書簡が掲載。(日本戦略研究フォーラム澁谷教授の論稿より引用)
それによると、習近平政権の発足以来、習主席は、政治・経済・思想・文化において、権力を集中させてきており、その結果、あらゆる分野で危機が生じているではないかと難じています。たとえば、①経済担当である李克強首相の権限を自ら握る。②北朝鮮の核実験やミサイル発射。③東シナ海・南シナ海での摩擦により、ベトナム・フィリピン・日本などが中国包囲網で結束。④香港の「一国二制度」の無視。⑤株式市場の混乱とレイオフ、大量失業者の発生。⑥「一帯一路」戦略の資金未回収。⑦「反腐敗運動」による政府職員の消極姿勢。など…。
これは、当局にとっては危険な文章であり、当サイトは、当然削除されましたが、インターネットで公開されれば一瞬にして世界に拡散していくことを止めることはできません。
それにしても、近年、習近平を批判する人が失踪したり、行方不明になったり、収監されたり、あらゆる自由への束縛が強化されているように見えます。
その背景には、この公開書簡が示すように、習近平主席が「権力の過大化」を一層強化し、自らへの「個人崇拝」の度合いをますます高めようとしている動きがあるのではないでしょうか。
本来、中華人民共和国(いわゆる中国)は共産党の「一党独裁」であり、民主集中制という名の超幹部7名で権力を行使することを基本にしているのですが、習近平主席は毛沢東を熱烈に“崇拝”しており、毛沢東のような「個人独裁」を目指しているのは間違いありません。
その証拠として、言論の弾圧、宗教の弾圧、民族の弾圧などの具体例をピックアップしてみましょう。
現代はネット時代、あらゆる情報が世界に拡散していると思いがちですが、中国だけは別です。いわゆる中国は「報道の自由度」が極端に低く、中国に不都合な情報は、なかなか世界に拡散できていないことを知らねばなりません。
『報道の自由度』ランキング(2015年・180ヶ国)
中 国 176位
北朝鮮 179位
(国境なき記者団調査より)
・北朝鮮は下から2番目、中国は下から5番目ですから、中国は北朝鮮なみの全く言論の自由のない「束縛国家」だということを頭に置く必要があります。
・今年に入り、習近平主席は自らを“習核心”(中核的指導者)として全国各省市で「忠誠心」を競わせています。
・2月19日、習近平主席は突然“党の舌”と言われる人民日報・新華社・中央電子台を訪問し、それらの官製メディアに対して党に忠誠を誓うよう指示しました。…ということは実質的に、中核的指導者である習近平主席に忠誠を誓えという命令となります。
・香港が1997年英国から返還された際、中国は、向こう50年間、従来の資本主義と自由主義を認める、いわゆる「一国二制度」を香港人に約束。ところが、昨年末「禁書」と言われる習近平国家主席への批判や中国共産党内の権力闘争をテーマにした書籍を取り扱う「銅鑼湾書店」の経営者・従業員・株主ら5人が中国公安に拉致されました。
・当局は、昨年12月、高さ36mの巨大な毛沢東像を解体したり、今年1月、高さ10mの華国鋒像の撤去を求めたりしていますが、これは習近平以外の他の英雄が崇拝されることを嫌ったものと言われています。習近平“皇帝”への道をまっしぐらということでしょうか。
・3月16日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)でチベット代表18人全員が習近平主席をはじめとする国家指導者の顔写真入りバッチを胸につけて現れました。まさに、毛沢東による文化大革命の現象とそっくり…。
・驚くなかれ、習近平個人崇拝ソングが登場しました。
『あなたを何とお呼びすべきか』
『習近平のメッセージ』
『主席が私の傍まで来られた』
『習ターターは彭マーマーを愛している』(習主席の夫人が彭麗媛)
『習ターター、人々が称賛』
『習ターターVSビクビクの腐敗役人』
『全国民のアイドル習ターター』
『嫁に行くなら習近平のような人がいい』
『人として生きるなら習近平のような人がいい』
『我々は習近平を支持する』
『習総書記は彼の悪い習慣を改めさせた』など
(西本北大講師の論稿「Wedge
infinity」3/29より)
・中国によるチベット人・ウイグル人への弾圧は苛烈(かれつ・厳しく激しいこと)を極めています。たとえば、チベットのあるホテルではチベット語を使用した場合は500元(9000円弱)罰金との情報あり、また大学入試は中国語で行われるなど、チベットの文化・言語・歴史・精神がズタズタ、今やチベットそのものが風前の灯となっているようです。
・それらに対して、温和なチベット人は対抗策を持ち得ず、ウイグル人はテロで対抗。一昨年は習近平の新疆・ウイグル自治区を視察したその時を狙ったものと言われ、3人死亡、79人負傷、習近平主席は命からがら、からくも難を逃れました。
・本来、中国共産党は宗教をアヘンと見なしており、法輪功は邪教として徹底的に弾圧、最近では、キリスト教への弾圧を強化しています。何と、キリスト教会の屋根に取り付けられた「十字架」を強制撤去しているのです。彼等宗教者の団結を恐れてのことだと思います。
中国の最大の弱点は人権弾圧にあります。言論の自由・報道の自由・表現の自由・信仰の自由・居住移転の自由・裁判を受ける権利などが弾圧および無視される国、…これが、共産党独裁の共産主義政治を推し進めている中華人民共和国の真の姿と言わねばなりません。
そして、今や、習近平による第2次文化大革命?と思われる現象が生じており、このまま進めば、大変なことになることは必定であり、わが国の政治は、枝葉末節の足の引っ張り合いは止め、堂々たる政治を志向し、国の守りに一層の力を尽くすべきではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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コメント
何時もながら鋭いご洞察を与えて頂き深く感謝致します。
私には偶然ながら専門分野が全く同じだった奇縁にて20年以上肝胆相照らす中国のエリートがいます。来日の機会にはほぼ毎回意見(情報)交換していますが、主席が情報統制にやっきならねばならぬほどあの独裁国家での若者や人権運動家達の発言行動量が急増しているのだと観測しています。翻えれば民主主義国家であるはずの日本現政府の報道規制の強引さに多く国民が無関心である危機におびえる小生は神経質すぎるのでしょうか?
投稿: 岡村昭 | 2016年4月 1日 (金) 09時37分