地下鉄「4ヶ国語表記」…異常 or 正常?
559回目のブログです
“とにかくに あな定めなき 世の中や 喜ぶものあれば わぶるものあり”
源実朝(鎌倉三代将軍・金槐和歌集)
「人心不常」、とにもかくにも、なんと定めのない世の中であろうか、幸せな人がいるかと思えば不幸な人もいるのだなあ…。
和歌の名手といわれた実朝が、世の中をあたりまえに表わした単調な和歌と言えそうなところに、かえって、28歳の青年将軍としてのつらい心情もかすかに浮かんでくるような気がします。
本格的な秋は、それなりにある種のもの悲しさを感じさせます。しかし、今日は11月11日。1が4つ並びですから何かゴロ合わせでの記念日があるかなと調べたら、何と、1年でいちばん多い記念日がこの日で30件もあるそうです。因みに、2番目が10月10日、3番目が8月8日です。(記念日協会の認定)
どのようなものがあるか、一部を抜き出してみましょう。
・「チーズの日」
文武天皇4年(700)10月に、全国に現在のチーズに近い「酥」(そ)の製造を命じたという記録があることから。旧暦10月を新暦に置き換えた11月にし、覚えやすい11日を「チーズの日」とした。(日本輸入チーズ普及協会・チーズ普及協議会)
・「ジュエリーデー」
宝石の単位「カラット」(1ctは0.2g)が日本で正式に採用決定されたのが明治42年(1909)11月11日。(日本ジュエリー協会)
・「乾電池の日」
乾電池の+-を「十一(11)」にみたてた。(日本乾電池工業会/現・電池工業会)
・「コピーライターの日」
1111が鉛筆やペンが並んだように見えることから。(宣伝会議)
ゴロ合わせ、製造開始日、形、イメージなど、なかなか面白い日本語の言葉選びであり、年間で3000近くある記念日はそれぞれ特徴を有しているものと思います。
さて、わたしは大阪圏に住んでいますので、日常よく大阪市営地下鉄を利用しますが、あまりにも日常的に見慣れている所為か、地下鉄の表示をあまり気にすることはありませんでした。
ところが、WEB上で、大阪地下鉄の表示はおかしいのではないかとの指摘がありましたので、身近のことでもありここに取り上げたいと思います。
大阪の地下鉄では、駅名、行き先、場所、注意書きなどの表示が、①中国語(簡体字)、②朝鮮語(ハングル)、③英語、④日本語の4ヶ国語で「併記」されている所が多くなっています。したがって、他府県からの人から見れば「一体ここはどこの国?」との疑問を感じるのも当然ではないでしょうか。
確かに、4ヶ国語の表示をすれば、スペース上小さな文字となる欠点があり、高齢者に優しい社会をとの時代に逆行、高年齢層の多くにとっては文字が見えにくくなります。一方、中国・朝鮮(南/韓国)からの観光客を激増させようとする政策には合致し、国交省観光庁などもそう考えているようです。
しかし、よくよく考えれば、わが国が今後、重要な政策のひとつとして、世界から観光客を呼ぼうとするならば、中国語や朝鮮語(ハングル)だけでは到底足りません。中韓だけが主たる外国ではなく他にも多々あることを知るべきでしょう。
【世界の母語人口】(上位20言語・単位100万人)
1 中国語 (885) 11 ウー語(91)
2 英語 (400) 12 ジャワ語 (75)
3 スペイン語 (332) 韓国・朝鮮語
(75)
4 ヒンディー語(236) 14 パンジャブ語 (73)
5 アラビア語 (200) テルグ語(73)
6 ポルトガル語(175) 16 フランス語 (72)
7 ロシア語 (170) 17 マラータ語(65)
8 ベンガル語 (168) タミル語(65)
9 日本語 (125) 19 イタリア語(57)
10 ドイツ語 (100) 20 広東語(55)
(文科省/
The Penguin FACTFINDER 2005)
【世界の言語別使用人口】(単位100 万人)
1 中国語(1075)
2 英語(514)
3 ヒンディー語(496)
4 スペイン語(425)
5 ロシア語(275)
6 アラビア語(256)
7 ベンガル語(215)
8 ポルトガル語(194)
9 マレー・インドネシア語(176)
10 フランス語(129)
(文科省/ TIME ALMANAC 2005)
ところで、上掲の英語使用人口は514百万人となっていますが、国際的な共通語として位置づけられている「英語人口」(=実用レベルで英語を使用)は何人だと思いますか?
英語人口 : 約17.5億人( 25%)
英語を使用しない人口 : 約52.5億人( 75%)
世界人口 : 約70.0億人(100%)
(Harvard Business Review 2012年10月号)
あらためて英語人口の多さに驚かされます。これらをもとに、交通機関の駅構内や案内板の表示についての結論を出さねばなりませんが、わたしは『東海道新幹線(JR東海)の基準・姿勢』をまったく正しいと考えます。
○できるだけ大きな文字で表示する。
○主な情報については、日本語の他に、国際的な共通言語とされる英語と、国際標準に基づいたピクトグラム(絵文字)を併記する。
いつまでも、中国や北朝鮮・韓国を世界(ワールド・world)と見る時代はとっくに終わっています。それは江戸時代までであり、今は地球全体を見回さねばならない時代であることは常識だと思います。わたし達は身の周りに地球儀を置き、日夜ながめることが大事ではないでしょうか。
その意味では、大阪人、関西人、近畿人は視野があまりにも狭いと言わねばなりません。そして、中・朝・韓に対しては、差別という言葉に敏感に反応し、膝を屈め、すぐペコペコ、その結果として地下鉄などが4ヶ国語の表示となっているのですから、わたしもこの大阪圏の一員であり大いに反省しなければならないと思います。
それにしても、JR東海は立派な姿勢を貫いていますね。日本国の将来を見据えたそのゆるぎない信念ある経営方針に敬意を表します。会長ほか経営陣の見識は相当高く、おそらく、JR東海には素晴らしい人材が多く育っていることと思われますし、一般の企業は、こんな変化の激しい時代にしっかりした背骨と心意気を持っているJR東海に範を仰いではいかがでしょうか。
拙い考えを申し述べました。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回も
時事エッセー
です
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