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2016年12月 2日 (金)

「賃上げ」あるのみ…内部留保課税の断行を! 

 562回目のブログです

 

   “何もしなかったら、何も起こらない。”
 
          シェイクスピア
(英国の劇作家)

 

 Nothing ventured, nothing gained. たしかに、何もしなかったならば何も起きないでしょう。しかし、スティーブン・R・コヴィーは、主体者と反応者の違いについて『率先力を発揮する人としない人との間には、天と地ほどの開きがある。それは、25%や50%の差ではなく、実に5000%以上の効果性の差になるのだ。』(『7つの習慣』)と言っています。

 

 米国大統領にトランプ氏が選出され、その政策実行への期待感などで米国の株価はもちろんのこと、日本の株価も上昇し、18,000円を越える状況になってきました。

 

 わが国のメディアは、今までは米国メディアの尻馬に乗り、トランプ氏を糞味噌にけなしていました。しかし、今は、自己の誤った判断は棚に上げ、手のひらを返さんばかりに、トランプ氏にもいいところがあると言いつつ、安倍首相にはトランプ氏に適うわけがないと、けなす先を方向転換する始末です。これは、わが国メディアの言論が著しく劣化してきていることを示しているのではないでしょうか。

 

 さて、今年も残すところ1ヶ月となりましたので、わが国の経済状況について振りかえって見たいと思います。安倍内閣は脱デフレ・経済成長を目指し、基本的な政策として、アベノミクスの三本の矢」(大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略)を掲げ、政策の実行に注力してきましたが、なかなか上手くはいきません。

 

 昨今、メディアでは「アベノミクス失敗論」が喧しくなってきていますが、本当にそうなのでしょうか。どんな政策でも100%はなく、思いのままの結果を出す“打出の小槌”なんてありはしません。とにかく、政策によって現実がどのように変化していったかということに視点を置くことが肝要だと思います。

 

日銀総裁が目論んでいる2%インフレは金融政策だけではむずかしいようです。

 

日本経済はいよいよ好転の兆しが見えようとしており、雇用環境は劇的に変化してきました。企業では人手不足が顕著、特に中小企業の人手は逼迫。11/29に発表された労働力調査によれば、10月の完全失業率は3.0%、完全失業者数は21年ぶりに200万人を割り、ほぼ完全雇用状態を示しています。

 

 つい先年は学校を卒業しても就職できない苦しい時代であったのが嘘のような雇用環境の改善は、金融政策によるものであり、その点においては、決して間違ってはいないのです。

 

類まれなる外交力と明確な信念を押し通そうとする安倍首相・安倍政権が政治的に安定しているのは、確かにまだまだ不十分ではありますが、経済が多少とも好転しようとしている背景があればこそだと思います。国民はそのことを敏感に察知しており、支持率も大幅に上昇してきました。(共同通信社が11/2627両日実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は60.7%で、支持率が60%を超えるのは3年振り。)

 

それでも、課題はまだまだ大きなものが残されています。財政の再建と国民生活の向上ではないでしょうか。

 

今、国民生活は停滞したままと言えるでしょう。加えてメディアは、国民を不安感に陥れることに喜びを感じており、安心社会への方策を提言する知恵と勇気と志を有していません。それにより、国民は、各世代とも将来への不安を隠すことが出来ず、とにかく節約に節約を重ね将来に備えるというビヘイビアを取っています。

 

なぜ不安感に追い込まれるかと言えば、それはとりもなおさず「賃上げ」が不十分であり、それぞれの将来設計が出来ないからに他なりません。賃上げもなければ、消費も低迷するのは必然、そうなれば経済も本格的には上向きません。

 

 しかし、企業は本当に賃上げを出来ないのでしょうか。まず、データから見ていきましょう。(財務省法人企業統計より)

 

           【労働分配率】
    2012(年度) 72.3(%)
 
   2013     69.
 
   2014     68.
 
   2015     67.

 

 上記から、労働分配率が3年間下落してきていることがはっきりと表れています。その間、企業の人件費はわずか1兆3000億円増加したに過ぎませんが、利益剰余金は次のように膨らんでいるのです。

 

           【利益剰余金】
    2012(年度) 304.5(兆円)
 
   2015     377.

 

 利益剰余金の増加は何と73兆4000億円。増加した利益のほとんど全てが内部留保である利益剰余金として蓄積されていることは明白です。

 

 なぜ、企業経営者は、儲かったならば従業員に還元するということをしないのでしょうか。また、どうしたらいいのかについて考えてみます。

 

近年の大企業経営者は、国民経済や従業員の生活向上に目を向けず、もっぱら自社の業績確保にだけ邁進し、自分の任期中における不測の事態にのみ対処すべく、利益の内部留保に努めています。いかにも小市民的!と言わざるを得ません。(また、たとえば、会社業績不振の時、一般社員の年収は減額させ、役員の年収は増額させるという、本来日本人が持つ倫理観を欠いた会社もあります)

 

経営者が利益を内部留保に積み増すならば、それを吐き出させる政策「内部留保課税」を前向きに検討し、即時実施すべきではないでしょうか。内部留保に課税される位ならば賃上げにも回そうとするでしょう。先進国でもこの政策は採用されていることでもあり、2重課税の謗りは受けますが、悪い政策ではないと考えます。

 

労働組合が本来の役割を放棄していることを指摘したいと思います。労働組合の本来の任務は組合員の生活水準の維持向上を図ること、職場環境の改善に組合員の正当な意見を集約し経営陣との交渉の中で実現を図ること、などであるにも関わらず、今や、イデオロギー活動を専らにするか、労働貴族として鎮座するなどし、経営者に対して厳しく対処しない傾向が強いのではないでしょうか。

 

 来年の賃上げでも、連合(日本労働組合総連合会)は今年と同じように2%要求とのこと。上掲のデータを見ても、それはおかしい! 2%は日銀黒田総裁のインフレターゲットの数字であり、各種のデータをひっさげ、4%~5%くらいの要求を行い、失われた労働分配率を復元するよう気合を入れて労使交渉に臨むべきではないでしょうか。

 

 そうなれば、消費活動も活発化し、デフレも完全に脱却し、日本経済の未来に光が射すことは間違いないはずです。日本のリーダーであれば、国民経済の観点に立った言動を望みたいものです。

 

安倍政権は日本経団連(日本経済団体連合会)に対して、大胆な賃上げを求めています。本来ならば、労組(連合)が高率の賃上げを要求すべきにもかかわらず、それを行わず、安倍内閣が「働く国民」(労働者)の大胆な賃上げを強く要請するという奇妙な風景を見れば、もはや、労働組合の存在価値は全くない言わねばなりません。組合はもっとしっかりすべきです。

 

 今が、すなわち来年3月が賃上げの絶好のチャンスです。高い賃上げの実現が消費を活発化させ、日本経済のダイナミズム実現への足掛かりになるに違いありません。

 

 シェイクスピアの箴言にあるように“何もしなかったら、何も起こらない”のであり、ただ実行あるのみではないでしょうか。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

内部留保に狂奔するな「賃上げあるのみ」との論旨には全く賛成です。
 それにつけても現在の労働組合、とりわけ民間労組の姿勢には情けなくなります。(公務員労組は親方日の丸+自己保身+左翼イデオロギーに今なお埋もれているので言うことなし)
 かって1950年代から1980年代までの民間労組にはIMF-JCや同盟などに結集した問題意識の高い人々がいました。革命指向の左翼労働運動や現状維持保身の公務労組と戦い、行革を支え、1973年のオイルショックや貿易自由化・国際化の中であえて労使の対等な協調を求め、痛みを伴う技術革新を受け入れて日本経済を強くしていったのです。その手段として組合員に対して説明・説得を通じて正しい方向へと導いていったのです。
 しかし、現在の民間労組の主流はどうでしょうか、日本経済の再生の最大障害を除去するのに不可欠な「同一労働・同一賃金の評価システム」「正社員の過剰な既得権の放棄」「労働者大衆も含めた高負担・高福祉」などによる「労働市場の流動化」「社会的コストの分担システム改善」にもためらっているばかりです。
 まったく安倍総理が「賃上げ」を求めるようではおしまいです。レーガン・サッチャーからソ連の崩壊により世界的に労働運動は停滞・安住しています。
 社会の改革にはその一つの有力なメンバーとしての労働運動の改革が必要です。それにはなにより、現在政界財界では不可能にみえる抜本的な「世代交代」ではないでしょうか。
 「新しい酒は新しい革袋に」古い労組に愛想をつかしている若い年齢層の不満を(語弊はあるでしょうがカエサルやトロッキー、FDR、ムッソリーニ、ヒトラー等のデマゴギー的手法をも利用して)うまく結集し、全面的なパージにより50歳以上の幹部を総入れ替えでもしないかぎり日本の停滞は続くでしょう。 ■

投稿: 吉田A | 2016年12月 2日 (金) 09時04分

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