中国に政文分離はあるか…韓流禁止令に見る!
563回目のブログです
“雪降りて 年の暮れぬる 時にこそ つひにもみぢぬ 松も見えけれ”
(古今和歌集・詠み人知らず)
雪がしきりに降り、年が暮れた時になって初めて、風雪に耐え最後まで紅葉しない松の存在感というものがわかるのだ…。
野山や丘や公園での紅葉は、ほぼ終わりになりましたが、確かに、松のように紅葉は自ら許さず、常緑をもってその存在感を示す生き方を学ぶべきかも知れません。
同じような意味合いで「疾風勁草」(しっぷうにけいそうを知る)という言葉があります。はげしい風が吹いて初めて強い草が見分けられる、すなわち、艱難にあって初めて節操の固さや意思の強さがわかるということです。
今、韓国が激しい内乱状態となっています。その背景にはいろいろな要素がありますが、中国との関係が政治・経済・文化のすべての面でおかしくなってきていることも大きな要因ではないでしょうか。
■ CMもドラマも放送禁止へ?「韓流禁止令」の規模拡大
今年8月、韓流を中国市場から排斥するための「禁韓令(韓流禁止令)」の話題が浮上した。これは、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を決めた韓国に対し、中国が制裁手段の一つとして行うというもの。
大手テレビ局が韓流の全面禁止に向けて、本格的に動き始めている。江蘇衛星テレビでは、韓流タレントの出演CMの放送を中止。北京衛星テレビはもっと厳格で、タレントだけでなく韓流に関するあらゆる映像作品を封印するという。
(2016/11/20 Record china一部抜粋)
報道によれば、中国では、韓国ドラマ・映画・芸能番組およびそれらのリメークコンテンツはすべて放送禁止。韓流ドラマなどは日本でも一時大ブームになりましたが、中国での規模は日本の3倍以上とも言われていますから、韓国にとってはのっぴきならない状況です。
さらに、韓国団体による中国内での演出、新規韓国芸能企画社に対する投資、1万人以上動員の韓国アイドルの公演、韓国ドラマ・芸能協力プロジェクト、韓国芸能人出演ドラマの中国での放送、韓国企業・ブランドの広告など韓国を表わす要素の放送など、かなり広範囲にわたって「禁止」されています。
こうなれば、大変なことになります。サムスンやヒュンダイという韓国大企業のCMも流せなくなれば、中国での厳しい販売にも影響必至ではないでしょうか。
なぜ、中国はこのような政策をとったのでしょうか。それは、とりもなおさず、7月に韓国政府が在韓米軍の「THAADミサイル」(高高度防衛ミサイル・Terminal High Altitude Area
Defense missile)配備を認める決定をしたからに他なりません。
2015年6月には中韓FTA(自由貿易協定・Free Trade Agreement)を締結、2015年9月には中国の抗日戦勝70周年記念パレードに西側先進国では唯一の首脳として韓国・朴槿恵大統領が出席。これまではアメリカの同盟国としてのスタンスを保っていたのですが、この二つを見れば明らかに中国寄りの姿勢に転換したことを示していました。
それにもかかわらず、THAADミサイルを導入し、北朝鮮・中国へ軍事的ニラミを効かそうとするのですから、中国がここまで怒りを露わにするのも当然でしょう。
これは、韓国・韓国政府・朴槿恵大統領が二股外交で中国とも上手くやっていけると錯覚した報いと言わねばなりません。
また、中国は甘い国ではなく、世界覇権に野心を燃やしたぎっている国であり、中国人の本質は、とりもなおさず、歴史的に見ても、政治第一主義・政治人間であることを認識しなければならないのではないでしょうか。彼らにとっては文化もスポーツも経済もすべて政治そのものであり、政治と文化の分離など頭の片隅にも存在せず、韓流禁止令などは当然だとしていることを韓国は知るべきだったのです。中国は日本とは真逆であることに気づかねばなりません。
(日本) (中国)
政治と文化 別 同じ
政治とスポーツ 別 同じ
政治と経済 一応別 同じ
韓国が、真に独立を志すのであれば、中国に傾斜し過ぎることは厳に戒めなければならないにもかかわらず、中国と連携して反日プロパガンダを繰り返したり、抗日軍事パレードに嬉々として参列するなど、笑止と言わねばならず、まさに身から出た錆。わが国もこれを他山の石とすべきではないでしょうか。
つけ加えて、韓国は、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)副総裁のポストを失いました。これもTHAADミサイル配備が要因。
いやはや、中国は極めて素早く幅広く鋭い手を打ってきます。国家の上に位置する中国共産党ただ1党が、独裁的権力を思うままに奮っていることが読み取れます。韓国を属国として膝下に置くことなど朝飯前というところでしょうか。
中国分析で著名な福島香織氏によれば、習近平政権は、国際社会で影響力を拡大していくには「軍事」と「経済」の力はもとより「文化」の力が欠かせないとしています。それは、文化・情報発信力によって国際世論を誘導していくことが重要だとの認識に基づくものです。
逆に、他国からの文化侵略にはことのほか、厳しく対処。たとえばアメリカ映画などはそのバックに流れる思想として「自由」「民主」「人権」(いずれも西側の普遍的価値観)があり、中国としてはその思想の浸透を警戒し、2015年の輸入映画80本のうち、ハリウッド映画は44本に制限されているそうです。
中国当局は、それではまだ不十分と、アメリカのテレビ・映画・アニメ・文芸・音楽・芸能など、広範囲に触手を伸ばし「買収」の仕掛けを活発化させ、すでに、ハリウッド大手を乗っ取る動きも報道されています。乗っ取り(買収)の暁には、映画もテレビも中国に都合の良い思想の範囲で制作させる魂胆であることは明らかでしょう。そこには、西洋流の人権・自由・民主の概念は全く存在せず、チベット、ウイグル虐殺なども正当化されるに違いありません。米議会も危機感を感じざるをえず、政府も慎重に対処しているのは言うまでもありません。
ひるがえって、わが国ではどうでしょうか。中国の文化侵略は着々と進んでいるように思えます。以前のブログでも書きましたが、その一例が孔子学院です。聖人・孔子の精神や語学を学ぶ場であればいいのですが、中国共産党の工作機関としての役目もあると言われています。実態はどうでしょうか。
孔子学院は現在、立命館大学・桜美林大学・北陸大学・愛知大学・立命館(東京)・立命館アジア太平洋大学・札幌大学・大阪産業大学・岡山商科大学・神戸東洋医療学院・早稲田大学・立命館(大阪)・工学院大学・福山大学・関西外国語大学・兵庫医科大学・武蔵野大学の17校。
侵略には、目に見える軍事的侵略だけでなく、目に見えない文化的侵略もあることに留意しようではありませんか。
それにしても、韓国の争乱を見るにつけ、わたしたちは、福沢諭吉のいう“独立自尊”の気概を持ち、一層、安定した豊かな日本を目指したいものです。
……常緑の松のような強固な節操を心に秘めつつ……。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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