“印象操作”… 沖縄県 & 池上彰氏の悪辣さ!
570回目のブログです
“嘘ばかりつく人間だと思えば、
こちらは正反対を信じていればよい。
嘘と真実を使い分けるから厄介である。”
モンテーニュ(16世紀/仏哲学者 「随想録」)
アメリカではトランプ大統領が就任し、世界は、いよいよ歴史の大きな転換点を迎えた感じがします。どんな荒波が待ち構えているのか、想像さえできかねますが、それを乗り越えるには、まずは、すべてにおいてオーソドックスな思想に戻して考えてみることが大切ではないかと思います。
こんな時代の先取りとして、実に清々しい慶事がもたらされました。両国国技館での大相撲初場所において、大関“稀勢の里”が千秋楽で横綱白鵬を下手投げで倒し14勝1敗で優勝、日本人出身の力士としては19年ぶりの第72代横綱となったことです。
初場所千秋楽の表彰式では、国技館内の全員が国歌「君が代」を起立斉唱し、優勝した稀勢の里に賞状、賜杯、優勝旗が授与されました。わたしはテレビで観ただけですが、その雰囲気は厳粛かつ清らかなもので、その素晴らしい光景に、胸を奮わせるほどの感動を覚えた次第です。
私の単なる幻想かも知れませんが、堂々とした取り組みを信条とする稀勢の里に、何とも言えない充実感と勇気をもらったような気がしました。
しかし、そんな麗しき慶事に反して、世の中には、いろんな悪事がはびこっていることに気づかされます。ニュースから2点ピックアップしましょう。
■ 沖縄県の県民所得が実態よりも低く計算され「計算方式の変更」で毎年のように「最下位」を維持していることが判明。沖縄県は、基地問題を経済的な足かせの理由にして県民所得が全国で最低であることを示すため、統計数字を調整してきたと思われます。(1/5)
吃驚! やはり何かあるとは思っていましたが、統計数字をうまく操作していたのでしょう。わたしは沖縄にはかなりの頻度で出張した経験があり、近年の生活水準が全国最下位とは思えなかったからです。
報道によれば、沖縄県は平成21年度の1人当たり県民所得が高知県を抜き、戦後初めて最下位を脱出した翌年度に計算方式を変更し、22年度以降も最下位を維持していますが、沖縄県を高知県と同様の方式で計算すれば、次のようになります。
【平成24年度・沖縄県の1人当たり県民所得】
・沖縄県計算方式 全国47位(203万5000円)
↓↓
・高知県計算方式 全国28位(266万5000円)
もちろん、これに伴い、県内総生産も公表されている3兆8066億円から4兆6897億円に上昇。沖縄県は恣意的に数字を操っているわけではないとしていますが、本来は、都道府県すべてが統一した基準で統計を作成しなければならないのは言うまでもありません。
沖縄県は国家予算から「沖縄振興策」として毎年3000億円受け取っており、こんな美味しい話を手放すわけはなく、それを続けるために県民所得最下位を演出してきたのではないかと指摘されても返す言葉がないのではないでしょうか。
そう考えれば、辺野古移設のイザコザも、単なる基地移設の問題ではなく、イデオロギーに加えて、国からの予算獲得(ゼニ!) の観点も無視するわけにいかないと思われます。それにしても、沖縄県のタカリ体質に、何か腑に落ちないことを感じるのはわたしだけでしょうか。
統計については、イギリスの首相であったディズレーリが「世の中には3つの嘘がある。ひとつは嘘、次に大嘘、そして統計である」という有名な格言を残しています。統計に騙されてはならず、常に疑ってみることが肝要ですが、統計を真実ならしめるためには、統計の基準を明確にすることに尽きると思います。
このニュースに触発されて、政府は1/23県民所得の算出基準を平成30年公表分(27年度)から統一する方針を決定しました。当然です。政策は統計が正しいことを前提に決められるものであり、先進国・日本で今までそうでなかったのが不思議なくらいです。
もうひとつ。
■
昨年12/16フジテレビ系列で放映された3時間番組『池上彰緊急スペシャル』で使われた図表です。格差は何故世界からなくならないかという問題を池上彰氏が分かりやすく解説。世界上位62人の超富裕層と下位36億人の資産がほぼ等しく、世界の格差が広がっていることに対して警鐘を鳴らしました。そして、アメリカの格差が最近広がり、日本の格差も酷くなっていると指摘、しかし、その論拠のグラフがとんでもない代物だったのです。ごらんください。
この図は、日本とアメリカで、上位1%と下位90%の平均所得の推移を表したもの。しかし、問題は、日本とアメリカでは、縦軸の目盛りが違っていることです。日本では0.8から1.4までですが、アメリカでは0.5から3.0まで。
日本の方が、アメリカより4倍ほど大きく見せる目盛りになっています。これはまさしく「トリック」というもの。正しいグラフ(アメリカの目盛りに合わせたもの)は次のとおりです(高橋洋一教授論稿より引用)
日本の格差は、1990年代から広がっていますが、先進国の中ではそれほど広がっていません。高橋教授はその理由のひとつを、日本の所得税や相続税の最高税率が先進国の中で最高水準であるからとしています。
池上彰氏は、難しい事象を分かりやすく説明することと穏やかな話しぶりで一般市民に人気の高い文化人ですが、なぜ、子供だましのような手口を使ったのでしょうか。
それは、彼がリベラルサヨクのイデオロギストであり、視聴者に対して、日本の方が米国よりも格差が広がっているような印象を与えたかったのでしょう。グラフそのものは、捏造ではありませんが、明らかに“印象操作”であり、綜合的にはトリックと言わざるを得ません。こんな印象操作、トリックを使うとは、池上彰氏は全く信用できません。
テレビや新聞などのマスコミは、捏造、やらせ、印象操作、はお手の物。あの朝日新聞は、自らが捏造した「従軍慰安婦」で、日本はもとより、韓国や世界各国、国連にまで、煽りに煽り、わが国に多大な損壊を与えていますが、朝日は未だに反省さえしていません。
“浜の真砂は尽きるとも世に印象操作の種は尽きまじ”
きれいな薔薇には刺があり毒もあることを忘れないようにしたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
おっしゃる通り、世界的にマスコミのやらせや嘘,捏造が跳梁跋扈しております。
本当の真実を感じる、見抜く目を持つ事が重要ですが
はたして如何に?
投稿: Takashi Narimatsu | 2017年1月28日 (土) 17時59分
「善人なおもて往生する、いわんや悪人をや」という親鸞の有名な言葉があるが、正直者と嘘つきの関係も似ている。「嘘をつく」人は己の嘘を自覚しているが、自分を正直者と意識している人の場合、「正直を装っているだけ」であって、生来の正直者は無意識に為す自然な行動に偽りがないものだ。池上彰が解説した統計のトリックは、国民が目にする新聞でも学生が学ぶ教科書でも頻繁に目にする。一番多い例が選挙での投票率のように、目標値(理想値)を100において、それと現状の数値を比較して非難するものである。ソ連・中国のような社会主義国が90%を超えた投票率となるのは、国家による強制は勿論だが、それ以上に社会主義という観念的理想主義が国民に100%を求める空気を強いているからである。老若を含めた様々な人間の暮らす平穏な社会なら投票率は良くて70%であろう。経済格差について言えば自由な社会なら、程度の問題はあるだろうが、格差がない方が怖い社会と考えるのが自然ではないか。人間は善と悪の狭間を生きている、意識・無意識に正直と嘘を使い分けて生きているという意識を持たない人が指導者になった時、おぞましい世界が現出する。池上氏をメインとした番組で一番の問題は、番組スタッフも池上氏も完全に自らを無党派・無宗教でいずれにも偏っていない善人(本気でそう思っているとしたら異常人格の群れだが)という立場で報道していることである。
投稿: 斎藤仁 | 2017年1月27日 (金) 16時18分