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2017年2月 3日 (金)

“国力”… 日本のランキングを考える!

 571回目のブログです

 

 “春霞 たてるやいづこ みよしのの 吉野の山に 雪はふりつつ”
 
             詠み人しらず(古今和歌集)

 

 もう春になったとはいうが、いったい春霞が立ちこめているところはどこにあるのだろうか。吉野の里の吉野山にはまだ雪がちらちら降っており、いっこうに春めいてこないことだ…。

 

 2月3日は節分。暦の上では明日は立春ですが、相変わらず寒い日が続きます。それでも、春は必ずやってくるでしょう。わが国の魅力は、何と言っても山紫水明の四季、春、夏、秋、冬がそれぞれの特徴ある季節感をみごとに繊細に演出してくれることではないでしょうか。

 

 その繊細さを理解できる感性をもって生を受けた日本人はその不思議な玄妙さに感謝すべきかもしれません。

 

 たとえば松虫や鈴虫などの鳴き声を「虫の声」として楽しむのは、わたし達日本人とポリネシア人だけだそうですそれは、日本人は言語脳として受けとめるため虫の声を“言葉”として感じるのに対して、西洋人は音楽脳として受けとめるため“雑音”と感じるからだと言われます。

 

 その意味で、世の中が何となくギスギスし、荒々しくなり、潤いを欠きつつある今日、わたし達はあらためて今一度、自然や季節と素直に対話し、わが国の力を、ハード的な観点からだけではなく、ソフト的な面からも見直すことも必要かと思います。

 

 国力は、自然(海洋/大陸/半島・気候)、国民(人口・教育・統一)、軍事力(戦闘能力&質・潜在力・国民の支持)、経済力(GNP/GDP・エネルギー)、技術力など、複雑に組み合わさったもので表されますが、一般的には軍事力や経済力で表されることが多いと思います。まずは、2015年のデータから。

 

 【名目GDP・2015年 国別ランキング(IMF)
         (単位:mil.US$
   1 米国      18,036,650
   2 中国     
11,181,556
   
3 日本           4,124,211
   4 ドイツ    
3,365,293
   5 イギリス   
2,858,482
   6 フランス   
2,420,163
   7 インド    
2,073,002
   8 イタリア   
1,815,759
   9 ブラジル    
1,772,589
 
   10 カナダ    
1,550,537
 
   11 韓国      
1,377,873
 
   12 ロシア    
1,326,016
 
   13 オーストラリア
1,225,286
 
   14 スペイン   
1,199,715
 
   15 メキシコ    1,143,796

 

 日本は名目GDPでは第3位ですが、一人当りGDPではとんでもない低ランクにあることを注視しなければなりません。

 

 【1人当たり名目GDP・2015年 国別ランキング(IMF)
           (単位:US$)
   1 ルクセンブルク 102,717
   2 スイス     
80,603
   3 ノルウェー   
74,598
   4 マカオ     
71,394
   5 カタール    
68,940
   6 アイルランド  
61,206
   7 米国       56,084
 

   8 シンガポール   52,888
   9 デンマーク   
52,139
 
   10 オーストラリア 
51,181
 
   11 アイスランド  
50,277
 
   12 スウェーデン  
50,050
 
   13 サンマリノ   
49,615
 
   14 オランダ    
44,323
 
   15 イギリス     43,902

 

    16 オーストリア   43,414
 
   17 カナダ     
43,280
 
   20 ドイツ     
40,952
 
   23 フランス    
37,653
 
  
26 日本             32,479
 
   28 イタリア    
29,867
 
   77 中国       
8,141

 わが国は、かつては経済大国としてチヤホヤされ、それを真に受け自己満足に陥り、経済も政治も精神の自立を失い、いわゆる失われた20年を無為に演じ、それを挽回すことに必死になっているのが今日の姿だと思います。

 

 かつては「GNP」(Gross National Product・国民総生産) が景気の指標として使われていましたが、平成5(1993)「GNI(Gross National Income・国民総所得)にかわり、あわせて「GDP」(Gross Domestic Product・国内総生産)が使われるようになりました。現在は、国内の景気をより正確に反映する指標としてGDPを重視。

 

 経済指標で有名なものに、ブータンの「国民総幸福度」があります。(平成20(2008)1/4小ブログ97回目「平成20年「G・N・H」を考えてみよう!」を参照ください)

 

 ブータン国王は、何と今から40年前の昭和51(1976)Gross National Happiness is more important than Gross National Product(国民総幸福度の方が国民総生産量よりは大事である)と演説しました。

 

  【G・N・H】(Gross National Happiness)の概念
     ①「持続可能かつ公正な社会経済学的発展」
 
    ②「環境の保全」
 
    ③「文化の保護と促進(再生)
 
    ④「良い統治」

 

 なかなか素晴らしいものがあり、あらためて考えてみることが肝要だと思います。ところで、先日、わたしの畏友のメルマガで新しい指標があることを紹介されました。

 

  書 名:日本人も知らなかった“日本の国力”ソフトパワー
  著 者:川口盛之助(未来学者)
  出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

 川口盛之助先生のコンセプトは、次のとおりです。
  「G・N・T」(Gross National Talent
   Quantitative Analysis of Amazing Japanese Soft Power

 

 素晴らしい日本のソフトパワーを14の分野で定量分析するという画期的なアイデアは、該博な知識なしには困難な試みだったと思われます。その14の分野。

 

    ①基礎知力(科学~経済学)
 
   ②基礎体力(走力)
 
   ③操縦能力(モータースポーツ)
 
   ④格闘技
 
   ⑤球技と射的
 
   ⑥頭脳ゲーム
 
   ⑦体操やダンス
 
   ⑧ミュージシャン
 
   ⑨弁舌プレゼン能力
 
   ⑩読み物創作力(文学)
 
   ⑪総合芸術(動画制作)
 
   ⑫美術デザイン
 
   ⑬料理人
 
   ⑭リーダーシップ

 

 普通ならば測定が難しい感性の領域を定量分析することに驚かざるを得ませんが、この結果は「G・N・T」(Gross National Talent)において、日本が総合5位。上位5ヶ国はG5と同じ。膨大なデータから分析した日本人の姿は、今、クールジャパンと称されるように、才能の総量の豊かさを示しているものであり、ある意味で、わたし達日本人にもっと自信を持てと励ましていることになります。それにしても見事ですね。

 

 GNP、GNI、GDP、GNH、そして、GNT、…これらのどれを指標にするのかは、場面で違ってくるでしょうが、わたし達国民、そして社会のリーダーは、GDP・一人当りGDP・GNTの更なる向上に向けて力を尽くすことが大切だと考えます。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

 日本のメデイア(大手新聞)が10年前くらいから、この種の貴重(重大)な国家課題(実態)を一切報道しなくなった事に絶望し、小生は10年以上前に大手新聞購読を一切中止し以後、国家内外の人脈を通じて情報収集(意見交換)しています。
 何時もながらの貴重なご指摘に感謝と敬服致します。

投稿: 岡村昭 | 2017年2月 4日 (土) 10時37分

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