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2017年2月24日 (金)

“経済成長否定論”… 朝日のトンデモ論に反駁する!

 574回目のブログです

 

   “ある人が嘘を吐くということを考えてみれば、
 
   それは、その者が神に対しては大胆であり、
 
   人間に対しては卑怯である、
 
   ということにほかならない”
 
        フランシス・べーコン
(英国哲学者 「随筆集」)

 

 立春を過ぎたとはいうものの、気温は低く、時には雪も舞い散り、かなりの寒さを感じる今日この頃ですが、暖かい春が早く到来してほしいと願うばかりです。

 

 春と言えば、もうすぐ新入社員の季節。近年、企業は景気の上向きを背景に採用の意欲を高めており、2/20PRESIDENT Onlineによれば、大卒の内定率は121日時点で85.0%と、過去10年の最高を記録したそうです。学生にとって、あるいは親御さんにとっても、ニコニコ顔ではないでしょうか。学校を出ても就職口がないということほど悲しいことはありませんから。

 

 そして、131日公表された労働力調査によれば、12月の完全失業率は3.1%であり、ほぼ完全雇用の状態となっています。そしてこの3年間のデータをご覧ください。


   【完全失業率(年平均)
     平成26年(2014)  3.6(%)
 
    平成27年(2015)  3.
 
    平成28年(2016)  3.

 

 この3年間、マスメディアではいわゆるアベノミクス失敗論や日銀悪玉論が盛んに言われていますが、少なくとも雇用面で大きな成果を挙げてきていることは、上の表を見れば明白ではないでしょうか。

 

 こんななかで、メディアの王者を自負している()朝日新聞が、1月4日、なんと『経済成長否定論』を大々的に展開しています。まことに驚きを隠せません。

 

 朝日の主張のポイントは。

 

 ゼロ成長はそれほど悪なのか。失われた20年と言われたその間も、
わたしたちの豊かさへの歩みが止まっていたわけではない

 いまのような経済成長の歴史が始まったのは200年前にすぎない。

 GDPの統計がはじめて作られたのは、1930年代の大恐慌、
第2次世界大戦がきっかけだった。

 成長の鈍化はむしろ経済活動の『正常化』を意味しているのかも
しれない。

 

 これらについて、反駁したいと思います。

 

 ゼロ成長やマイナス成長は、それほど悪です。ゼロは成長ではなく停滞にすぎません。成長がないと豊かさ(=幸せの大きな要素) の恩恵を受けることができないからです。たとえば、経済成長しなければ失業率が上がる「オークンの法則」というものもあり、日本の場合成長率が1%下がると失業率は0.2%くらい上がると高橋洋一教授は指摘しています。失業率が高くなれば、自殺率や犯罪率や生活保護率を上げることになり、社会的にもマイナスばかりであることは容易に想像できるのではないでしょうか。

 

  ゼロ成長やマイナス成長を考えるにあたっては、高校や大学から社会人になろうとしても就職先がないという悲惨な社会を想像するだけの常識をもつべきだと思います。

 

  たしかに、朝日が憧れているかもしれない社会主義・全体主義の国であれば、自由のない強制労働・低賃金の労働者として完全雇用できるでしょう。しかし、そんな社会を、わたし達日本人は望んでいるのかどうか、答えは言わずもがなです。

 

  わが国の企業は、大も中も小も、それぞれ何とか昨年よりも業績を上げるべく切磋琢磨、競争に打ち勝つために血の滲むような懸命な努力を重ねているのです。それを、前年比ゼロでいい、業績は伸びなくてもいい、なんていうことは、酔っぱらいの発言だとしか思えません。そして、企業は、苦しくても、出来る限りの雇用を守ろうとしていることだけは理解しなければなりません。
 

 ②経済成長の歴史がわずか200年にすぎないと問題視していますが、わが日本は、近代国民国家にならんとした明治維新をなしとげ、明治元年から150年ですから、明治以来のものはすべて200年以内ということになります。200年が大したことでないと言うのは、明治・大正・昭和・平成の歩みを否定するのと同じこと。天下の朝日新聞もたかだか140年に過ぎず、200年を軽視するのは、自ら天に唾するようなものではないでしょうか。

 

 GDPの統計を批判していますが、それならば、経済指標について、下記のどれを選択すべきなのかを、具体的に教えてほしいと思います。批判や難癖をつけるだけならば、誰だってできますから。

 

  【経済指標】

   ・経済指標はそもそも不要
   「GDP」(Gross Domestic Product・国内総生産)
   
「GNP」(Gross National Product・国民総生産)
   
「GNI」(Gross National Income・国民総所得)
   
「GNH」(Gross National Happiness・国民総幸福度/ブータン)
   
「GNT」(Gross National Talent・国民総才能量)
 

  昭和45(1970)朝日新聞は「くたばれGNP」というタイトルの連載記事を掲載。そこでは、GNPがわたし達の豊かさといかに無縁な存在であるかが論じられています。石油ショックで日本経済が危うくなるとこのスローガンを消滅させました。これは、日本経済が成長しなければ日本が沈没するということがわかったからでしょう。

 

  しかし、数年前“「くたばれGDP」をもう一度”という記事が載せられるなど、朝日には、経済成長否定論者がしぶとく存在していることが窺われます。また、もしも経済指標が不要だとすれば、経済は成り行きにまかせることを意味しますが、それでいいのでしょうか。どう考えてもズレていると思います。

 

 成長の鈍化は経済活動の『正常化』だと言うに当たっては空いた口が塞がりません。子供が考えてもわかることです。もしも、朝日新聞が、販売部数が増えず、価格も上げられず、事業展開も上手くいかず、業績が横ばいか低下し、社員の給与も下がり、待遇も悪化する状態になったとして、それを正常化だと言えますか。普通の人ならば言えないでしょう。もしも言えるとしたならば、わたしにはその神経が理解できません。(それとも“反安倍”の意識が底に脈々と流れており、その気分が高じて支離滅裂の議論として噴出したのかも?…勝手な想像ですが。)

 

  これは、経済成長やGDPの増大と言うものを、わが身のこことして考えるのではなく、他人事(ひとごと)として、無責任に言挙げする風潮が社内に蔓延しているのではないかと推測せざるを得ません。

 

  かつて、清貧の思想がもてはやされましたが、これも同じこと。自らは豊かな生活環境に居りながら、食うや食わずの下々に清貧な生活をすすめるのは、ある意味で偽善というもの。

 

  もう少し豊かな心でもって事を論じて欲しいと念願するのみです。

 

 あまりにもひどい記事でしたので、すべてに反駁しました。朝日の記者として経済成長を論ずるにあたっては、まず、これを自らのこととして、また、自らが属する会社(朝日新聞社)のこととして考えてみることが肝要、そして、その後に、一般論を展開すべきではないでしょうか。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

朝日の記事に対する、提言全く大賛同です。
この国を壊そうとする輩の何と種々雑多に多い国と成っています。
自分は安全圏を確保し、良きも悪しきも他人事、共に喜び拍手を送り、尊敬し。共に悪を憎み是正して行こうとする力を出し合う。悪しきも何でも屁理屈で肯定し善を弱体化させ悪を助長する今の社会風潮は看過してはいけません。
そんな悪い風潮の旗手の一つが朝日である事は明確ですが
韓国問題であれだけの国家反逆的な大失態を演じたにも拘らず、朝日が購読者から壊滅的な評価を下されないのはそれを助長する他人事無責任インテリ派がまだまだ
多い事を示しています。
自分個人、自分の家族、自分の企業の事として真剣に考えれば少しは変わって行くのでしょうが?
日本人も日本国家も地に足をしっかりと踏ん張って頑張りたいものです。私なりにはそうしているつもりです。

投稿: 成松 孝 | 2017年2月24日 (金) 11時26分

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