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2017年4月14日 (金)

「安全」か「安心」か…再び問う!

 581回目のブログです

 

    人間の意見なるものが
 
    いかに偽りに満ち
 
    いかに誤った判断でゆがめられているかは
 
    あきれ返るほどである
 
     (マキャベリ・
ルネッサンス期の政治思想家

 

 49日の日曜日は、桜も最後の観ごろと思い、近くの万博記念公園に赴き、満開をほんの少し過ぎた光景と、ひらひらと花びらの舞い散る落花の風情を楽しむことが出来、何となく心の落ち着きを覚えたところです。

 

 わが国では、花と言えば(正字では。淡い色の花びらが慎ましやかに誇っているのもごく短く、それであればこそ、儚くて繊細なもののあわれを感じてしまいます。まさに春は春、今年こそは穏やかな春が続いて欲しいと願うのみです。

 

 そうは言っても、国際社会は、そんな穏やかな風景とは大きく異なり、周辺のアジアだけではなく、世界のいたるところで、一触即発の危機にみまわれていることは連日のニュースで周知のことだと思います。

 

 ところが、わが国内では、相変わらずの森友学園問題を引きずるとともに、東京豊洲の問題がぐちゃぐちゃになったままに時は過ぎていき、空疎な議論があてどもなく流れている感があります。もう、いい加減決着をつけ、次のステップに進むべきでしょうし、もっと重要なことに目を向けることが肝要ではないでしょうか。

 

 ここで、再度、豊洲の問題を考えてみましょう。膠着状態にあるのは、何と言っても「科学的な考え方」を欠いた対応に尽きると考えています。そして、一言で言って「安全」と「安心」の言葉を神棚に祀りあげてしまい、論理と議論を封鎖してしまっていることにあります。

 

 「安全」・「安心」というキーワードは、同じ意味を持つものではなく、全く異なるものだとの認識が必要です。

 

 「安全」: 客観的事実(ロジック)   物理的 評価可能
 「安心」: 主観的感情(エモーション) 心理的 評価不可能

 

 どのような場面であっても、わたし達の生活のなかでは、安全かつ安心であればそれに越したことはありません。しかし、たとえ安全だという客観的なデータがあったとしても、自らの思い込み、メディアや政治家の扇動、あるいは風評や噂などによって、わたし達国民は不安な気持ちにさせられ、心理的に安心することができないこともあります。

 

 科学で決着でき得るものが「安全」であり、でき得ないものが「安心」です。本来ならば、安全であれば安心すればいいのですが、わたし達は、社会や政治への甘えと不信から不安を持ち続けることで自らを曖昧にしようとしているのかも知れません。

 

 1月の豊洲新市場の地下水モニタリング調査で、最大で環境基準値の79倍のベンゼンやシアンが検出。これまでも、盛り土問題や地下空間(地下ピット)問題もあり、メディアは大騒ぎし、都民は不安にかられていましたから、79倍という数字に一層驚いたものと思います。

 

 しかし、考えても見てください。豊洲市場の飲料水・清掃水は、この地下水を使用するのではなく、水道水を使用するのですから、盛り土も地下ピットも地下水も何ら関係なく、安全そのもの。また、わが国の水道水は、大気汚染の改善、化学物質汚染の防止、残留性有機汚染物質の製造使用抑制、水質の著しい改善などにより、今や最も安全な水と言われていることも認識しておかなければなりません。

 

 さらに、ここで問題とされた地下水の環境基準値は、大人が70年間、毎日2リットル飲み続けて健康を害する人が出るか出ないかという値であり、人間にも、生鮮食品にも全く問題はなく、何らの影響もありません。

 

 ここまで「安全」なデータが出た以上は、東京都の行政責任者である都知事は、得意の発信力、派手なパフォーマンスを駆使して、次のことを行うべきではないでしょうか。

 

 「客観的な安全性」をもとに“安全宣言”を発し、
  都民
(消費者・利用者)に「安心感」を与え、
  事業に関する情報を開示・説明する。

 

 ところが、324日、小池都知事は都庁内に「市場のあり方戦略本部」を立ち上げ、いまさらながら、市場の将来的なあり方などを協議し、築地への回帰か、豊洲への移転か、を決めたいとしていました。

 

 そして、つい先日「市場問題プロジェクトチーム」が築地再整備案(豊洲は解体し土地を売却)をぶち上げ「市場のあり方戦略本部」は都知事の意向をふまえ、その案も前向きに検討していくとしました。そして、築地市場の地下の汚染状態はこれから検査するようです。

 

 どうなっているのでしょうか。組織は屋上屋を重ね、今から、築地再整備を検討! そして、何と今から、築地の地下汚染度を測定!とは。

 

 この実態を見れば、豊洲・築地の問題は純粋な政治問題では決してなく、政略マターであり、政争そのものであり、次の都議会議員選挙がらみ、そして新たな利権争奪の次元に陥ったと見るべきかも知れません。

 

 小池都知事は、豊洲の客観的な事実(データ・論理)は理解できていると信じます。それでも、決断ができないのは主観的な感情(エモーション)が自らに湧き出てこないからとしか考えられません。

 

 脳科学の視点から見れば、脳に障害があり、ロジカル(論理的)な判断はできても、エモーション(感情)を感じられない患者は、決断そのものができないそうです。

 

 まさか。小池都知事ともあろう大物政治家が決断できないのは、おそらくできないのではなく、しないのであり、それは政略上からのやり口だと思いたいものです。政治家のほとんどは、もっぱら権力の増大を追及し、公よりも私、ですから。

 

 それにしても、客観的事実として「安全」ならば、都民のため、都のため、国のため、速やかに決断を下すべきではないでしょうか。それが「安心」にも繋がると考えます。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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