「幸福度」と「平和度」…日本の恵みを考える!
584回目のブログです
“春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり”
道元(鎌倉初期・曹洞宗の開祖)
(詞書:本来の面目を詠ず)自然は美しいものだ。春には野や山に美しい花が咲き、夏には時鳥がさえずり、秋には月を愛で、冬には雪が降った景色が美しい。季節の移りゆく情趣を味わい、心の支えとして自然と共に生きたいものだ…。
上掲の和歌は、美しい日本の四季を、道元禅師が永平寺の夜空を眺めて詠われたものです。この四季の移り変わりを心から愛で、自然を愛することが道元禅師の言われる本来の面目というものであり、とりもなおさず、日本人の心性でもあります。
5月になり躑躅(つつじ)や皐月(サツキ)が咲き誇るようになり、まさに、道元の和歌にある通り、花は理屈抜きにして愛でたいもの。前々回のブログに書いたように、わが国は自然環境の重視に価値を置くことではダントツの世界第1位という調査結果を見ても、これからもこの感性を大切にしていきたいものです。
さる3月20日、国際幸福デーに「世界幸福度報告書2017」(国連)が発表されました。幸福という概念は各国人さまざま、それを単純な数字で表すことには疑義もありますが、世界の155ヶ国を対象に、下記の6つの項目で数値化したものであり、ひとつの目安と言えるかも知れません。
・人口あたりのGDP
・社会的支援
・健康な平均寿命
・人生の選択をする自由
・性の平等性
・社会の腐敗度
【世界幸福度ランキング】2017
1位 ノルウェー 14位 アメリカ
2位 デンマーク 16位 ドイツ
3位 アイスランド 19位 イギリス
4位 スイス 31位 フランス
5位 フィンランド 49位 ロシア
6位 オランダ 51位 日本
7位 カナダ 56位 韓国
8位 ニュージーランド 79位 中国
9位 オーストラリア 97位 ブータン
10位 スウェーデン 122位 インド
何を基準にするかによって数値は著しく異なってくると考えられます。デンマークが2位で日本が51位。さらに、世界幸福デーを提唱したブータンが上位に入らず、97位とは、この数値そのものに問題があり、何か釈然としないものを感じます。(小ブログ97回「平成20年“G・N・H”を考えてみよう!」でブータン王国について述べていますのでご参考ください)
そこで、他の指標を見てみる必要がありそうです。
経済・平和研究所(Institute for Economics and
Peace)が毎年調査し、戦争、紛争、犯罪、テロ、軍事費など22項目の指標を数値化した『世界平和度指数』(2016年度)では、日本は上位の9位となっています。韓国のしつこい反日攻撃や中国の尖閣沖縄略取への強引な軍事行動がなければ、3位を維持できていました。(これも、小ブログ436回「日本の評価…各種世界ランキングに見る!」で触れていますのでご参考ください)
BBCによる『世界に良い影響を与えている国ランキング』(2014年度)では日本は上位の5位となっており、世界で良い印象を持たれていることが分かります。
わが国をどう見るかということについて、アンドロイド(人間酷似型ロボット)研究開発の世界的第1人者である大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒浩教授は、「幸福度指数」もさることながら、もう一つの「世界平和度指数」を見ることも大切だと述べています。
『世界平和度指数』では、日本は9位に対して、フランス46位、イギリス47位、アメリカ103位、中国120位、北朝鮮150位ですから、日本の高さが際立っています。
日本はどのくらい暮らしやすいかについて、世界中の国々を回っている石黒教授の論稿を引用したいと思います。(4/18 ダイヤモンド オンライン)
「日本のように暮らしやすい国はほかにないと実感しています。これはもう奇跡的なレベルです。とくに何がいいかと言えば、バランス。公共サービスが中途半端なところで止まっているところが素晴らしいのです。」
「幸福度ランキングで2位のデンマーク。公共サービスがすごく充実していますが、その背景にあるのは貧しさです。」
「デンマークのように公共サービスが重たくなり過ぎてネガティブフィードバックが起こる状態になっているわけでもないし、逆に公共サービスが手薄過ぎて、死者が出るような状態でもなく、適度なところでバランスを取っている、日本は世界でも稀有な国なのです。世界中からあこがれられている国です。」
「さらに国民性として真面目で誠実、差別が少なく、貧富の差が小さくて社会がフラットなので、相互扶助の精神が行きわたっている。そんな国だからこそ、僕は世界に先駆けて“日本こそ国民全員が家族になることができる国”だと考えています。」
「日本のものづくり世界一は労働を苦役としない社会ゆえ」
鋭い指摘に感動さえ覚えます。わが国は、適度のバランス感覚を持ち続けなければならないと思いますが、近年は、単純なレッテル貼りが流行る世の中になっている一面もあり、多少の不安感もなしとはしません。
しかし、反日、反国家、反歴史を是とする風潮も、いわゆる反日サヨク・イデオロギストの信頼低下により、わが日本を正しく見つめ直そうとの空気がやっと出始めてきたことは喜ばしい事だと思います。
ただ、ひとつ心配なのはわたし達日本人の「労働観」。労働観とは労働をするときの心構えですが、次の2つの見方があります。
① 苦役(Labor)
② 仕事(Work)
石黒教授が述べているように、日本人は、いままでは労働を苦役とは見做さず仕事として見做し、仕事自体に価値を認めていました。しかし、昨今の働き方改革の議論は、政府も労働界も財界も、単なる労働時間だけに目を向けていますが、それでは、労働を苦役と規定していることになりはしないかとおそれます。
冒頭に掲げた道元の和歌にあるように、わたし達は、わが国の歴史が営々と築き上げてきた、わが国の“恵み”である「美しい日本の四季」「バランスのとれた自立心」「苦役ではない価値ある労働観」などを、国民こぞって大切に守り続けていくべきではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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