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2017年6月23日 (金)

“監視・密告”… これが中国社会の恐怖だ!

 591回目のブログです

 

   “国を鉄床にたとえよう。
 
ハンマーは支配者、打ちまげられる鉄板は民衆。
 
勝手気ままなめくら打ちに、
 
いつまでたっても金が出来上がらねば鉄板こそ迷惑だ。”
 
          (ゲーテ「ヴェニス警句」)

 

 政治が正しく、法に則り、一般の規範に従い、その国の歴史に沿い、文化・文明の実を上げようとするならば、それこそ、国民や民衆や庶民はこぞって同意と讃嘆の声を上げるに違いありません。

 

 これは洋の東西を問わず、どの国に於いても言えることではないかと思います。

 

 しかしながら、世の中、そうならない所が問題であり、そこに大きな悩みと強い怒りが現れることは、近隣の国を見ればよく分かります。その代表例が中国、すなわち、中華人民共和国であり、その権力体制を象徴するのが「中国共産党1党独裁」に他なりません。

 

 メディアのニュースを見てみましょう。

 

 スパイ容疑日本人6人、中国で今も拘束 3月に温泉調査

 

  中国の山東省と海南省で3月末、日本人男性計6人が中国の国家安全当局に拘束されたことが22日、明らかになった。具体的な容疑は不明だが、スパイ行為など国家の安全を害したとの疑いを持たれているとみられる。
          (2017/5/22 朝日新聞一部抜粋)

 

 中国は、2014年、反スパイ法を制定し、国外の企業や社員を簡単に逮捕できるようにしました。そして、北京市国家安全局は、2017410日からスパイ行為に関する新たな規制を制定。一般市民によるスパイ行為の通報を奨励し、事件の摘発につながる重要な情報を提供した通報者に、何と、最高で50万人民元(日本円で約800万円16.3/1)報奨金として支払うことにしたのです。

 

 まさしく、密告の奨励そのもの。現在、日本人で逮捕、拘束されているのは12人と伝えられていますが、いずれもスパイ容疑によるものです。

 

 上掲の朝日の記事にある、拘束された人達の会社は「()日本地下探査」の社員で、中国の企業と組んで温泉開発の調査をしており、通常的に写真を撮っていました。しかし、山東省と海南省には軍事施設があり、それへの接触を疑われたのではないかと推測されています。

 

 ゼネコンのフジタの社員が逮捕されたことも記憶に新しく、これからも、スパイなどしなくても、ちょっとした仕草、例えば風景、人物、街角の写真を撮ったりすれば、拘束される可能性はますます高くなってきたと言わざるを得ません。

 

 その理由として、中国事情に詳しい石平氏は、われわれ日本人には考えられないことをあげ、北京がスパイ狩りの天国になる危険性を指摘しています。(4/24 MAG2NEWSより)

 

  スパイの定義のひとつに「(5)その他のスパイ活動を行うこと」とあり、まったく無制限だという条文になっている。

 

  最高800万円という、普通の労働者年収の10倍以上という法外な報酬金は、あまりにも魅力的だ。

 

  首都・北京の社会の底層には「金の亡者」のゴロツキらずたち、賭博麻薬の常習犯、闇金融に手を出して借金の取り立てに追われている人たちは大勢いる。彼らにとって、当局の新規則はまさに「干天の慈雨」となる。

 

  彼らは、ビジネスに従事している外国人やその周辺の人達を監視し、ありとあらゆる捏造や妄想の情報を当局に通報するであろう。

 

  北京という街は、まさに「スパイ狩り」の天国となり、普通の外国人や中国人にとって恐怖の地獄と化していくであろう。誰でもいつでもどこでも「スパイ通報乱発」の餌食にされてしまう危険性があるからである。

 

 いやあ、聞きしに勝るスパイ摘発状態であり、あまりのひどさに身震いしてしまいそうです。それでは、わたし達はどうすればいいのかを考えてみたいと思います。

 

 中国へは、一般観光旅行に行くことも控えなければなりません。あまりにも危険すぎます。日本人は観光のつもりで写真を撮っても、そこに軍事施設があれば、あるいは軍事施設の周辺であれば、スパイ行為で摘発、拘禁、逮捕される可能性が大きいからです。

 

 写真だけではなく、録音、携帯・スマホでの通信相手及び内容もスパイ行為になる可能性があります。 こうなると、冤罪の多発は明白

 

 そして、一旦逮捕されたら、数ヵ月、数ヵ年、中国政府の気の向くままに拘引されるのは必定。ゼネコン・フジタのように外交取引、政治取引のツールに利用されますから、わが国益の足を引っ張ることに繋がります。

 

 石平氏は、これについて、次のように述べています。

 

  「おそらく唯一にして最善の対処法はできるだけ中国に、最低限、北京には近づかないことであろう。少なくとも私自身、前述の反スパイ法が制定されて以降、かの国の地に一切足を踏み入れないことを決めている。「危邦に入らず」というのは、他ならぬ中国最大の聖人である孔子様からの大事な教えだったのである。」

 

 中国の古典「論語」を引用していますが、そこをもう少し詳しく書きましょう。

 

   【 危邦不入 亂邦不居 】
         (「論語」泰伯第八の十三より)

 

    危邦(きほう)には入らず 乱邦(らんぽう)には居()らず

 

    危うい国には入らず 乱れた国には留まらず

 

 中国という国は、あまりにも問題を抱え過ぎています。世論戦、法律戦、心理戦を駆使し、世界覇権100年戦略を着々と進行中。環境も資源も無視した経済成長のすさまじさ、軍事費の激増による軍拡路線、中国共産党1党独裁体制の維持、中央集権の徹底、そのなかで、極端な格差の発生、党幹部の汚職腐敗、自由・民主主義・人権の無視、少数民族へのホロコースト的弾圧、それに加えて、上に述べたような息苦しい密告・監視社会、周辺国家との激しい諍いと紛争、…いやはや、これが理想的な国家でしょうか。

 

 もう、中国に尻尾をふることは止めにしたいものです。それにしても、いまだに、政・官・財・学・報などのあらゆる分野に、親中、媚中、屈中の人がかなり存在していることに驚きを隠せません。そんなに、現在の独裁国家・中国に魅力を感じているのでしょうか。理解できません。

 

 その意味で、わたし達は、日本人として、凛とした独立心と心豊かな精神を持ち、歴史を誇る国造りを目指したいものです。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

 

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コメント

20年前となる天津駐在当時(1997年~1999年)、
自宅のTV(ローカル番組)では抗日戦争番組、残虐な日本兵といった全くの虚偽のプロパガンダ番組が毎日、放映されていました。(おぞましいので番組内容の説明は省きます)親中、媚中、屈中の既存マスメディアが問われれるのと共に、中国に社員を送り出している日本本社の、社員の安全配慮義務が問われています。
法治国家とはまったくかけ離れた「人治国家」中国に滞在している13万人以上の邦人保護が必要です。

投稿: 野中志郎(商社監査部員) | 2017年6月23日 (金) 09時10分

ブログ拝見しました。中国の危険性を具体的に指摘していただき,その国の無法ぶりに恐怖を感じました。「君子危ふきに近寄らず」を肝に銘じておきたいです。論拠を明確にして,書いておられるので信頼度が高いです。次回を楽しみにしています。ありがとうございました。

投稿: 安見隆雄 | 2017年6月23日 (金) 08時36分

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