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2017年6月16日 (金)

“サイバーテロ”… これは第5の戦場だ!

 590回目のブログです

 

 “下見れば 我に勝りし 者もなし 笠取りて見よ 天の高さを”
 
                    道歌(作者未詳)

 

 下を見れば自分よりも勝る人はいない。だからといって満足すべきではない。笠を脱いで天の高さを見てみよ。自分より勝っている者のいかに多いかが分かろう。常に向上心を忘れぬことだ…。

 

 「油断は大敵世界は広く、世の中の進展も日進月歩。いい気になって浮かれていれば、あっという間に足元を掬われます。高度成長、バブルの時から、なすすべもなく、つるべ落としに落ちて行ったわが国の経緯を見れば一目瞭然ではないでしょうか。

 

 思いだしてみてください。昭和54年(1979)、日本がちょうどバブル前夜、全国民怖いものなしのイケイケムードの時、ハーバード大教授のエズラ・ヴォーゲルさんが出版した本のタイトルであるJapan as Number Oneに心地よく酔いしれてしまったことを。

 

 Japan as Number Oneは、アメリカ人よ日本から良いところを学ぼうという趣旨であったにもかかわらず、マスメディアに引きずられた日本人はJapan is Number One!」(日本が世界でイチバン!)と誤解し、有頂天になり、その意識を永らく持ち続けてしまったのです。

 

 世界は混沌としてきました。戦争前夜とも常在戦時ともいうべき雰囲気を象徴するのが、世界に衝撃を与えたサイバーテロの実態です。スパイ」「サイバー」いずれもわが日本の最弱点ともいうべき大問題であり、国際的にも問題視されているにもかかわらず、わたし達はその重要性を認識してきませんでした。

 

 それは、遅ればせながら成立必至と言われる略称「テロ等準備罪法案」(反対の立場の人は「共謀罪法案」と呼ぶ)の国会審議の猥雑な混乱を見れば明らかです。

 

大規模サイバー攻撃、150カ国20万件以上で被害 拡大の恐れも

 

  世界的に広がっている大規模なサイバー攻撃で、欧州警察機関(ユーロポール)のトップは14日、被害が少なくとも150カ国で20万件に達し、週明けの15日には件数がさらに拡大する可能性があると明らかにした。
攻撃には、パソコンを感染させ、復旧と引き換えに300ドルから600ドルの支払いを要求する「身代金(ランサム)ウエア」が使われ、企業や病院、学校などが被害を受けた。
           (ロイター 17/5/15 一部抜粋)

 

 サイバーテロは、本来規制されてしかるべきですが、国際間で厳格に取り締まろうとの声も出ていないようです。天才ならば小学生でもプログラミング開発ができ、敵国を瞬時に機能不全にさせることができるのですから、軍事的にも魅力的であり、開発を中止させることなど無理な注文というものでしょう。

 

 現在、ITのトップクラスにある国(例えば、アメリカ、中国、北朝鮮、ロシア、インドなど)がサイバーテロに関与する必然性は否定できません。北朝鮮は中国からIT支援を受けており、過去にもバングラデシュ中央銀行をハッカー攻撃し90億円を窃盗したりしており、今回も北の仕業ではないかとの噂もあるほどです。

 

 そうとすれば、企業、銀行、自衛隊、警察、大学などあらゆる組織が高度なサイバーテロ対策を講じなければならないことは言うまでもありません。

 

 ところが、わが国の対応は絶望的です。こんな大問題が生じているのもかかわらず、政治においては、国会はテロ等準備罪法案(共謀罪)で大騒ぎのていたらくですから。

 

 一方、民間企業もお粗末限りなし。わが国を代表する日立製作所の社内システムの一部がウイルスに感染し、業務用パソコンのメールに障害が発生、国内のほか海外拠点でも不具合が出るなどしました。(日経新聞17/5/15

 

 今回のサイバー攻撃は、マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウインドウズ」の脆弱性を、米国安全保障局(NSA)のハッキングツールから盗んだものを使用したと言われています。

 

 日立製作所の場合、社内にあるパソコン「Windows」にセキュリティ対策がなされていなかったことから障害が発生したものと推測。マイクロソフト社が20169月に「Windows」ユーザーに示した勧告に対応していれば、被害は少なかったと見られています。

 

 日本の最有力企業でさえ、セキュリティに万全を期さなかったのは、おそらく、経費・お金がかかるから、一応重要なことだとは分かっていても出来なかったのではないでしょうか。それとも、もとから安全意識が低かったのかも知れません

 

 これは日立だけに限りません。わが国の中小企業では、独自でそこまでお金をかけることに躊躇してしまうことも理解できます。

 

 そう考えれば、わが国のサイバイーテロ対策は脆弱な基盤にあると認識し、あらためて、考え直す必要があるのではないでしょうか。これは、喫緊の課題というべきものです。

 

 しかしながら、わが国の学者の最高頭脳の集まりと言われる日本学術会議が、今年324「軍事目的のための科学研究は行わない」趣旨の声明を出しました。驚くべき姿勢に愕然とします。インターネットもパソコンも携帯電話も、軍事技術からの転用であることは自明のこと。何を寝ぼけたことを! 現実の世界を真正面から眺めて欲しいと思わざるを得ません。(3/24 小ブログ578回「“軍事アレルギー”…日本学術会議声明案に見る!」を参照ください)

 

 日本は科学立国のはず。これからますます高度化するロボット・AI(人工知能)・通信・自動運転・高機能複合材などなど、もう、軍事、民生の区別はありません。産・官・学・軍・報、総力を結集して世界の1番を目指すべきではないでしょうか。(間違っても、2~3重国籍疑惑・蓮舫女史の2番でもいいじゃないかという敗北者的発言は慎むべき)

 

 世界は大きく動いています。戦いの場、戦場も拡がってきていることを認識することが大切です。戦場は…

 

   ① 陸 

   ② 海 

   ③ 空 

   ④ 宇宙 

   ⑤ ネット

 

 サイバーテロ、サイバー攻撃は⑤のネット空間での戦争を意味します。平和のためにも、サイバー空間を制することが重要であることは論を待ちません。

 

 わたし達は、日本は、すでに、戦争の渦巻き状態の中にあることを知り、それを克服することに力を結集すべきではないでしょうか。油断は大敵、寝ぼけた発言はもう止めにしませんか。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

 

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