“拉致コンサート”…凛然たる五嶋龍氏・臆病な大学人!
595回目のブログです
“ふと思ふ
ふるさとにいて 日毎聴きし 雀の鳴くを
三年聴かざり”
石川啄木(歌集「一握の砂」)
ふと思う。自然豊かな故郷にいた頃には、毎日のように雀の鳴き声を耳にしていたが、故郷を遠く離れてからもう三年、雀の鳴き声を耳にしていない…。
石川啄木の望郷の念がしみじみと表れている人口に膾炙した有名な和歌です。啄木が故郷を離れてから3年経っただけでこんな切ない思いを懐いているのは、それが人間として、日本人としての自然な感情だからと言えるでしょう。
「ふるさと」は遠きにあればあるほど、また、年月が経てば経つほど、望郷の思いは強くなるものです。まだ3年間かと見るか、もう3年もと見るか、東北に育った啄木は、3年でも永い時間のように感じたのではないでしょうか。
ひるがえって今日、思いを馳せねばならないのは、北朝鮮に拉致された方々の身の上です。横田めぐみさん(当時13歳)が新潟で拉致されたのが昭和52年(1977)、今年で何と40年…40年間、故郷の街と自然に触れることなく北朝鮮にとどめ置かれたまま、軟禁状態にあるのは、悲惨な悲劇であり、めぐみさんの心は如何ばかりかと思わざるを得ません。
拉致は、主権侵害であり、人権蹂躙でもあります。拉致被害者の一刻も早い帰国こそ、最優先されねばなりませんが、政府は、この13年間、手をこまねいたまま、何らの実績も残していないのです。
それに加えて、国民の関心も、薄れに薄れていっているのは間違いなく、次の新聞ニュースをご覧ください。
■ 拉致問題 薄れる関心…バイオリニストの五嶋龍氏が啓発訴え
大学生とコンサート「政治色強い」「怖い」と二の足の大学も
世界的に活躍するバイオリニストの五嶋龍氏(29)が大学の交響楽団と8~9月に全国4カ所で、チャリティーコンサート『プロジェクトR 拉致被害者を忘れない』を開く。拉致問題への若い世代の意識を高め、風化させないことを目指した企画だが、多くの大学が「政治色が強い」として共演を見合わせたという。小泉純一郎元首相の訪朝から15年たち、世論の拉致問題への関心は残念ながら薄れつつある。
(2017.7.14 産経ニュース一部抜粋)
五嶋龍氏は世界的なバイオリニスト、ハーバード大学物理学科卒業の英才。大学の楽団との共演は五嶋氏の発案です。
プロジェクトの『R』 …「拉致」
「リメンバー」
「龍」
米国生まれの五嶋龍氏は、横田めぐみさんの話をするときは拉致被害者の家族を思い涙を流す母(節さん)の姿を見て育ちました。
五嶋氏は「昨年、川崎市でめぐみさんの母、早紀江さんにお会いし、話を伺い、怒りを感じました。親子が互いの生死さえわからぬ地獄に、置かれ続けている。それが時間にもみ消され、忘れられようとしている。こんな不公平で不正義なことがあるのか。ナンセンスだと思った」「僕はあなたの気持ちの5%も10%も分からないかもしれない。だけど怒りは感じる。だから、動きます」と早紀江さんに伝えたそうです。(6/1産経ニュース)
早速の具体的行動がチャリティコンサート。素晴らしき精神と行動力に敬意を払います。まさに、五嶋龍氏は真の日本人と言わねばなりません。あらためて頭をガツンと叩かれた気持ちです。
ところで、大学の反応はどうだったでしょうか。
・五嶋氏のフェイスブックで呼びかけに40校が関心を示す
・打合せに18校が集まる
・最終的に4校との共演となる
・大阪大学 交響楽団
・関西学院大学 ∥
・宮城教育大学 ∥
・交響楽団はやぶさ(全国医療系大学学生)
コンサートの目的が拉致問題の啓発だと知ると「政治色が強い」「怖い」との理由で、ほとんどの大学が手を引いたそうです。決まった後でもOBが「拉致問題に関わって大丈夫か」と懸念する声があるといいます。
五嶋龍氏の勇気ある行動に較べ、大学人の臆病さは極まっていると言わざるを得ません。そもそも、北朝鮮の拉致は、人権侵害であり、主権侵害でもあります。人権と主権を主張しない人間が大学人とはあきれてモノが言えません。
大学人は、何を学んできたのか。私利私欲ばかりではなく、公のために一肌脱ぐとか、力を貸すとか、支援するとか、エリートならば普通の日本人が考えることに一歩踏み込むべきではないでしょうか。
どうも、わが国の大半を占めるリベラルやサヨクは、拉致は朝日友好(ちょうにち/アサヒではない/朝鮮と日本)に刺さったトゲであり、大きく騒ぐテーマではないと言います。このような考えは、わが国の思考が徐々に大陸化・半島化してきていることを示すものであり、人間性を失った人々が増えていることに繋がっています。
その最たる組織が日本弁護士会ではないでしょうか。日本弁護士会は事あるごとに市民の人権を強調しますが、北の拉致に対しては、永い歴史のなかで、わずか1回(平成14年<2002>会長談話)触れただけに過ぎません。
朝鮮学校への補助金支給などでは何度も声明をだし、実質的に北朝鮮を支援しているにもかかわらず、拉致では1度だけとは。やはり、サヨク思想によるとしか考えられません。自由民主国家・日本よりも、共産主義、社会主義、全体主義、独裁主義の方に心が惹かれているのでしょう。
こんな人たちに人権を語ってほしくありません。
わたし達は、今一度、北朝鮮による拉致問題を真剣に考え直し、与野党すべての政治家に、解決への強い要請をすべきではないでしょうか。
バイオリニスト・五嶋龍氏の気高い思想と凛然たる姿勢に対しあついエールをおくります。
あわせて、大阪大学・関西学院大学・宮城教育大学の各交響楽団および交響楽団はやぶさにも、非難と雑音と臆病をはねのけた勇気ある姿勢に対してあついエールをおくりたいと思います。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
拉致問題を鋭く指摘していただき,ありがとうございました。国民の関心も薄れて来つつあります。それにしてもサヨク側は卑怯ですね。
投稿: 安見隆雄 | 2017年7月21日 (金) 17時53分
バイオリニスト・五嶋龍氏及び大阪大学・関西学院大学・宮城教育大学の各交響楽団および交響楽団はやぶさの各団体は、すばらしい。声を上げていない多くの方々はそう思っているでしょう。
母校の交響楽団の名前がないのが残念です。
投稿: 梅田太郎 | 2017年7月21日 (金) 11時50分
ある奇縁で20年前に横田めぐみさんのご健在を確信する情報を得てから、横田家のお支え深くかかわってる者です。627億円の銀行負債を抱えている朝鮮総連ビルは日本の整理回収機構に差し押さえられていたはずが、今は朝鮮総連に使用権付与(最高栽決定)されているこの重大な事実が一切報道されないのです。あらゆる重要な国家的課題の政府によるメデイアコントロールが国連から昨年6月に指摘(報道が後進国レベル)されているのです。 絶えに絶えてこられた横田めぐみさんの両親は今絶望の日々なのです。
投稿: 岡村昭 | 2017年7月21日 (金) 09時11分