「北朝鮮ICBM発射」… 平和ぼけ日本はどうする!
597回目のブログです
“馬は足 扇はかな目
船は舵 人は心を 用いこそすれ”
細川幽斎(戦国~江戸/武将)
皆それぞれ大切なものがあり、それが無ければ値打ちがなくなるもの。馬に例えれば足であり、扇に置いては要(かなめ)、舟で言えば舵がなければ何の用もたさない。人も全く同じであり真心がなければ人として生きてはいけないのだ…。
細川幽斎は熊本細川藩の祖。戦国から江戸初期を駆け抜けた武将に相応しい道歌です。政治や社会が混乱する時、最後に頼りとするのは「真心」だと喝破しているところに、当時の最高の教養人の心意気を読むことができます。
現代に戻って、わが国の実態を眺めてみますと、何となく、張り詰めた雰囲気が感じられず、微温的、ぬるま湯的、無感動、無感応、すなわち、緊張感のない空気に覆われているような気がしてなりません。
森友(学園・財務省・大阪府・首相) 問題、加計(学園・文科省・獣医師会・今治市・首相)問題、豊洲(小池知事・科学)問題、いずれも的外れな議論の応酬ばかりであり、本質的な問題点を掘り下げることはできていません。要するに、200%、政争に利用しただけ、利用されただけの話です。
喧しいこの議論の過程において、細川幽斎の言う「真心」が一瞬でも垣間見えたことがあるでしょうか。その心を有しない政治家とメディアが手に手を取り合い、政治劇場において、延々とパフォーマンス劇を演じ、国民を楽しませようとしたのが真実というものだと思います。
しかし、世界は、近隣は、とんでもない『時』を迎えていることに注目しなければなりません。もう「見ざる・聞かざる・言わざる」の三猿では対処できないことは自明ではないでしょうか。
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北朝鮮、ICBM発射 飛行時間・高度は最高に
日本政府は29日未明、北朝鮮が28日午後11時42分ごろ弾道ミサイルを発射し、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したとみられると発表した。ミサイルの飛行時間、高度はともに過去最高。日米両政府は大陸間弾道ミサイル(ICBM)だとの見解を示した。北朝鮮の朝鮮中央通信は、ICBM「火星14」の2回目の試験発射に成功したと伝えた。
(2017/7/29 日経新聞一部抜粋)
ICBM(intercontinental ballistic missile/大陸間弾道弾)は、射程が5,500km以上の弾道ミサイルと定義されますが、米国国防省は、今回の北朝鮮の発射したミサイルについてアメリカ本土を攻撃できる大陸間弾道弾と断定しました。
北朝鮮は、今後ICBMの更なる精度を上げることに注力するとともに、念願の本格的な核実験を繰り返し、名実ともに、有力な核保有国としてその存在感を高めるに違いありません。
ここまで北朝鮮をのさばらせたのは、中・露・韓の支援と米国の優柔不断的宥和政策にあったと言わざるを得ません。アメリカも苦慮していると思われますが、アメリカ在住のジャーナリスト・古森義久氏は著名な米国外交評論家・クラウトハマー氏の意見を紹介しています。(2017/1/11JBプレス)
【北朝鮮の核武装を阻止する5つの措置】
①ミサイル打ち上げ施設に先制攻撃をかける
②北朝鮮の実験用ICBMを撃墜する
③米軍の戦術核兵器を韓国に再配備する
④中国が北朝鮮に経済的圧力をかける
⑤日本の核武装を許容して中国を動かす
(2017/1/5 ワシントン・ポスト)
①は戦争への可能性が高く韓国に打撃を与える。②は迎撃したとしても、反撃として戦争に踏み切る可能性がある。③は北との交渉材料にはなっても核開発を止めることはできない。④トランプ大統領は中国に対して貿易面で強い圧力をかけてはいるが、習近平主席はのらりくらり、北を追い詰めることはできそうにもない。⑤は中国にとって日本の核武装は最も忌避したいことであり、そうしないために、北に対して本格的な圧力をかけるに違いない。…と考えられます。
米国にとって眼前に迫る深刻な危機に対する上記5つの政策はいずれも悩ましいことに違いなく、アメリカは、いよいよ、日本の核武装を許容することの議論に入らざるを得ない局面に至ったと認識しているように思えます。
わたし達は、北朝鮮のICBM・核兵器の開発・実験、というよりも今や、実戦に向けた運用訓練に対して、どのように考えるべきかを記します。
①わが国は永く非核政策をとっており、国民の反核感情から判断すれば、現実的には核武装のオプションはなかなか難しいと考えられます。現在、憲法九条の部分的改正でさえ、困難を極めているのですから。それでも、一度は核武装を俎上に載せ「国民的な議論」をすべきではないでしょうか。その先鞭は、政治家とメディアが担うべきです。
②北朝鮮の先端的軍事力であるICBM、核兵器、生物兵器などについてのわが国の危機感がほとんど感じられないことに大きな危惧を覚えます。政府としても、国民と共に危機を認識するために、特別声明を発すべきだと考えます。
③マスメディアも深刻な懸念と危機感を持つべきです。それにもかかわらず、北朝鮮の主張を取り上げるのみ。たとえば、TBS系列情報ワイド番組(平日10:25~13:55)は、年中、連日のように北朝鮮のことを取り上げますが、それも単に垂れ流し。宥和的迎合的な報道に終始しており、北朝鮮シンパが社内で力をもっているような雰囲気。まるで北朝鮮のプロパガンダかと思えるほどです。
戦前、ソ連コミンテルンのスパイだった朝日新聞記者の尾崎秀実が、裏から、反日姿勢、日本攪乱の先頭に立ったのと同じような雰囲気が、TBS東京放送にもあるのではないかと考えてしまいます。
メディアは、もっと「日本の立場」にたって、北朝鮮に怒りの声をあげるべきです。そして、わが国の生存のために取るべき政策を論じる場を設けなければ、どこに、ジャーナリズムとしての存在価値があると言えるでしょうか。
④わたし達日本国民は「日米安全保障条約」によって永年の“いわゆる平和”を保ってきました。ほとんど全てを米国に頼りながら。しかし、次の米国要人の発言をお読みください。
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北朝鮮「ICBM保有で日米同盟弱まる」米WSJ編集長
米紙ウォールストリート・ジャーナルのジェラルド・ベーカー編集局長は、北朝鮮がICBMを保有した場合「サンフランシスコが核兵器で壊滅させられるかもしれないのに、米国が日本や韓国を防衛する見込みはまずない。同盟の力は弱まり、日韓は非常に脆弱になる」と懸念を示した。さらに「この半年間で、米国が北朝鮮に先制攻撃をする可能性は高まった」とも語った。
(2017/5/22 朝日新聞デジタル一部抜粋)
「北のICBMの登場により、日米安保の存在価値が大幅に低減する」とのアメリカの政権中枢に近い要人の発言にとてつもない緊張を覚えます。今一度、日米安全保障条約について、真剣に考える時が来たのではないでしょうか。
平和ぼけ日本!
北朝鮮のICBMが、わが国民に突き付けてきたことの意味するものは、わたし達が、過去の歴史に学び、感応力、感受性をとり戻し、真剣に日本の安全保障、日本の防衛を考えなければならないことではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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中国IT企業が人工知能AIに「愛国とは何か」と質問した所、「官財が結託して一般の人民の圧迫が激しくなっても中国人であることを選ぶこと」と答えたという新聞記事があったが、「日本の国土および日本人の生命と財産を守り続けるために我が国がとるべき政策は何か」と質問したらAIは何と答えるか?社会事象を思い込みと情念でしか理解できない単細胞型の人なら即座に「憲法九条を守ることだ」と返答するだろう。一方、知性豊かな論理派の人は問題点とその対応策を列挙した上で、どの策を採るかは国民が決める、などと言って究極の解決策を示さないだろう。社会も個人の人間関係も感情抜きで動くことはないが、そのため個人も集団も判断を誤ることが少なくない。では、人工知能AIに尋ねたらどう答えるか。度の過ぎた情緒国家であることを考えると、我が国の近未来の安全はAIに預けるのも・・・?
投稿: 齋藤仁 | 2017年8月 4日 (金) 08時29分