トランプ大統領の“国連演説”を読む!
605回目のブログです
“祖国の存亡が かかっているような場合は、
いかなる手段も その目的にとって有効ならば、正当化される。”
(マキャベリ/伊ルネッサンス期の政治思想家)
いよいよ、衆議院議員総選挙が行われることになりました。大半のマスメディアは、大義のない選挙だと非難していましたが、そんなことはありません。衆議院議員選挙は政権選択の選挙でもありますから、それだけでも大義があります。
加えて、大東亜戦争・太平洋戦争以後はじめてというべき祖国の存亡がかかっている国際情勢でもありますから、政権の信任を問うことも時機を得たものと考えられます。来年になれば、もっと緊迫化し、何が起きるか想像さえできない事態となり、早めに選挙を経ておくことは、極めて妥当なことであり、危機の回避のためにも望ましいと思います。
ただし、選挙結果が政治の不安定化をもたらすとすれば、それは国民の選択ということで甘受しなければならないでしょう。
こんな国際情勢の真っただ中において、9月19日、トランプ米大統領が国連総会で初めて演説をしました。トランプ大統領は、現下の国際情勢と国連に関して、例によって、率直に述べ、またまた世界の関心を呼び起こしましたので、その一部を具体的に見ていきたいと思います。
・『それぞれの国家の首脳である皆さんは、常にあなた方の国の国益を最優先するだろうし、またそうすべきである。アメリカ合衆国大統領として、私は全く同様に、アメリカを最優先するであろう。』
大統領は、国際社会とはアメリカの国益を最優先に置きながら関わっていくことを明言したものであり、いわゆる“America First”です。
・『われわれは、日本のわずか13歳の少女が、北朝鮮のスパイに日本語を教えさせるため、母国の海岸から拉致されたことを知っている。』
(We know it kidnapped a sweet 13-year-old Japanese girl
from a beach in her own country to enslave her as a language tutor for North
Korea's spies.)
大統領は、米大学生が余命わずか数日という状態で帰国し死亡したこと、兄・金正男氏を毒物により暗殺したことに加えて、拉致被害者の「横田めぐみさん」に言及し、北朝鮮を厳しく非難しました。
今日、思いを馳せねばならないのは、北朝鮮に拉致された方々の身の上です。横田めぐみさんが新潟で拉致されたのが昭和52年(1977)、40年間、故郷の街と自然に触れることなく北朝鮮にとどめ置かれたまま、軟禁状態にあるのは、悲惨極まりない悲劇そのもの。
拉致は、主権侵害であり人権蹂躙でもあります。拉致被害者の一刻も早い帰国こそ、最優先されねばなりませんが、政府はこの13年間手をこまねいたまま何らの実績も残していないのです。それに加えて、国民の関心も薄れに薄れていっている今日、トランプ大統領のこの明確な発言に対し、わたし達日本国民は深甚の謝意を示すべきではないでしょうか。
・『アメリカは大きな力とともに忍耐力も持ち合わせているが、もし自国、または同盟国を防御せざるを得なくなれば、北朝鮮を完全に壊滅させる以外の選択肢はなくなるだろう。』
“…to
totally destroy North Korea.”北朝鮮を壊滅するという厳しい言葉を使ったため、会場ではざわめきの声が聞かれたとのこと。アメリカ大統領の本気度がどこまであるのかは分かりませんが、深刻に捉えておくことが大切だと思います。この後、大統領は金正恩をロケットマンと揶揄していますが、同じ罵倒言葉でも、トランプ大統領は「陽」、金委員長は「陰」だと思います。それにしても、激しい言葉の応酬に目を離せません。
・『国連は、結果ではなく過程や官僚主義に気をとられている。』
・『この組織の高邁な目的を破壊しようとする国が、まさにその目的のための機関をハイジャックした。
例えば論外な人権状況にある複数の国が国連人権委員会に席を持っていて、これが国連の大きな問題の原因になっている。』
トランプ大統領の指摘するように、人権蹂躙国が人権委員会のメンバーになっているのは、とんだお笑い草。国連が結果を出さず、人権委員会という形だけを守るのは、まさしく官僚主義そのものであり、無責任極まりないと言えるでしょう。
人権委員会は、現在は「国連人権理事会」に改組され、世界の各地域に理事国が配分されています。しかし、この理事国に、共産党独裁政権として、民主活動家を逮捕し、客観報道記事を書く新聞記者を摘発し、チベットやウイグルの少数民族を徹底的に弾圧する人権蹂躙国として悪名高い中華人民共和国(中国)が鎮座、睨みを効かしているのですから、戯画そのもの。
国連が官僚主義に陥っており結果を出していないと指摘するトランプ大統領の発言はまさに当を得たものと言わねばなりません。
中国には「国連人権理事会」理事国の資格は全くありません!
・『アメリカは、国連の193の加盟国のうちの1つである。だが予算全体の22%を負担している。』
アメリカのトランプ大統領の嘆きもわかりますね。22%も負担しているのですから、もっと自国の主張を理解してほしいと願っているのでしょう。国連分担金の上位を見てみます。
【2017年度の国連分担金】
①アメリカ 22.0(%)
②日本 9.7
③中国 7.9
④ドイツ 6.4
⑤フランス 4.9
⑥イギリス 4.5
⑦ブラジル 3.8
⑧イタリア 3.7
⑨ロシア 3.1
⑩カナダ 2.9
(外務省データ)
同じことは、わが日本でも言えます。第2位、9.7%の負担ですから、トランプ大統領に倣って、もっと厳しい発言をしてもいいのではないでしょうか。それだけの気迫と勇気を出し、北朝鮮や韓国や中国に屈しない外交を望みたいものです。
それにしても、トランプ米大統領の国連演説は迫力があったと思います。演説はこうでなければ様になりません。ひるがえって、わが国は国連に翻弄され過ぎているように思えてなりません。平和・人権大国である日本は、近隣諸国からの歴史捏造や人権抑圧のいいがかりを排除し、国連を正しく主導していく気迫を持ち、大暴れしてもらいたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
こんにちは。ブログ記事の配信、毎回ありがとうございます。外務省は北朝鮮に対して、横田めぐみさんを含む拉致問題に対して、どのような言葉でこれまで非難・抗議をしているのでしょうか。国民に判る形で開示して欲しいです。今回の選挙では、”近隣諸国からの歴史捏造や人権抑圧のいいがかりを排除し、国連を正しく主導していく気迫を持ち、大暴れ”してくれる議員を選択したいと考えています。
投稿: 野中志郎 | 2017年10月 2日 (月) 09時47分
トランプ大統領の“国連演説”を読む!を拝見しました。公正にして根本的で深刻な判断を示していただきましてありがとうございました。吉田松陰先生は,「松下村塾記」の中で,「人の最も重しとするところは,君臣の義なり。国の最も大なりとするところは,華夷の弁なり」と記しています。人としての礼儀・道徳,同時に「人権」を重んじることが大事であり,また国家は自国の安全・独立を図ることが「第一」である。国民,特に政治を務めとする人々には最も心がけて欲しいところである。今,その志の有無が問われつつある。
投稿: 安見隆雄 | 2017年9月29日 (金) 06時58分