世は“フェイクニュース”ばかりなり!
601回目のブログです
“夕まぐれ 荻ふく風の 身にしめば 秋きにけりと おどろかれぬる”
斎院中務(平安中期・女官)
薄暗い夕方、荻の葉がさやさやと音を立てており、その荻に吹く風をわが身に感じた時、もう秋がきたのだなあと驚かされることだ…。
朝晩はやっと涼しくなってきました。上掲の和歌に描かれた、夕方のさやかな風に秋を感ずるという女性の繊細な感性に、平安時代の豊かな文化、文藝を垣間見ることができます。
このように、文化は自然で伸びやかであることを理想としますが、現実社会で文化の一端を担っているであろうマスメディアの世界では、アメリカでも日本でもその真逆の道を歩んでいることに何とは言えない違和感を覚えざるを得ません。
先週のブログでは、吉田兼好の徒然草から“世は虚言ばかりなり”とい言葉をタイトルにしましたが、虚言は「そらごと」「きょげん」であり、たった今の言葉に置きかえれば「フェイク」、すなわち“世はフェイクニュースばかりなり!”となります。
それでは、フェイクニュースの具体例をあげていきましょう。「フェイクニュース」という言葉を鋭く発し世界に広めたのはアメリカの大統領選の時のトランプさんでした。トランプ氏は就任式のまえの記者会見でCNN、ニューヨークタイムズなどのニュースを偽ニュースとして名指しで非難。にもかかわらず、フェイクニュースは陸続と切れ間なく出てきますから、アメリカのマスメディアには誠実さが全くゼロだと断言できます。アメリカのマスメディアに信用を置くことは禁物ではないでしょうか。
具体例として。米ABCニュースは、2009年のオバマ大統領の就任式には180万人が集まったが、2016年のトランプ大統領の就任式の参加者は25~60万人と報じたのです。その写真(午前12時1分時点)をご覧ください。
2016年トランプ大統領 2009年オバマ大統領
これを見れば、トランプ大統領を祝福する参加者がオバマ大統領の時にくらべて圧倒的に少なく、トランプ大統領はアメリカ国民から支持されていない雰囲気を醸し出しています。
しかし、これは為にする真っ赤なフェイクでした。トランプ大統領の写真は、12時1分の就任式時点ではなく、午前8時頃の写真であると指摘するネットニュースが流れたのです。
トランプ大統領は150万人位だろうと述べていますが、実際の就任式時点での写真をごらんください。オバマ大統領の時と変わらないように見えます。
驚き以外の何ものでもなく、マスメディアが偽ニュースを真実のニュースとして流したのは間違いありません。自己の主張と利権の確保のためには、ウソのニュースも平気で流す生きた事例です。
これはアメリカだけの話ではありません。わが国も同じだという例を示しましょう。
【フェイクニュース】
① 捏造
② 情報操作(印象操作)
③ 誤報
8/25加計学園の獣医学部新設計画を審議している文科省審議会は答申を保留しました。政界で加計学園問題が政略的に扱われたために冷却期間を置いたものと考えられます。加計学園の獣医学部新設については、本来は、52年間新設の申請さえ認めないという利権異常構造にメスを入れる真摯な議論が重要であるにもかかわらず、その議論は一切行われず、矮小なことにのみ関心が注がれています。
この問題はマスコミと連動していることに注目しなければなりません。先月、国会休会中の審議で、前川喜平/前文科省事務次官・加戸守行/前愛媛県知事・原英史/国家戦略特区ワーキンググループ委員が参考人に呼ばれ意見を述べました。獣医学部新設反対は前川氏、獣医学部新設賛成は加戸氏・原氏ですが、マスコミでの取り上げられ方は、異常、異様、を通り越して不気味になるほどであり、これは、マスコミの中心部において陰湿極まりないそら恐ろしいマグマがとぐろを巻いていることを示しているのではないでしょうか。
【テレビでの3氏の報道時間】『直接引用時間』
前川喜平 2時間33分46秒 (94.8%)
加戸守行 6分 1秒 ( 3.7%)
原 英史 2分35秒 ( 1.5%)
(平和学研究所調査)
これは、加計学園問題を扱った東京キー局(NHK・日本テレビ・テレビ朝日・TBS・テレビ東京・フジテレビ)番組のなかで、3氏の意見を直接引用した時間を合計したもの。前川氏は「正しい行政が政権によってゆがめられた。52年間の規制は正しかった」加戸氏は「歪められた行政がこのたび正されたのだ」原氏は「規制改革のプロセスに一点の曇りもない」と主張しました。
これを見て、読者の皆さんはどう思われますか。52年間新規参入を認めない文科省の主張を94.8%も垂れ流し、他の2名の主張はほんのわずかしか報道しないテレビメディアの姿勢は、歪、不公正、悪質極まりない所業ではないでしょうか。ここまでくれば、まさにフェイクニュースであり、情報操作、印象操作そのものであることは間違いありません。
テレビメディアは、もちろん自己主張すべきではありますが、少なくとも、3人の参考人の発言と意見については、公平にならべ、それぞれに真摯な論評を加えるべきです。それが「電波特権」として、国民の財産をほぼゼロに近い金額(キー局合計わずか年間39億円!)で寡占させていただいているテレビメディアのせめてもの最低限の矜持ではないでしょうか。
大変心の荒んだ時代になりました。その先頭を走るのが、NHKや民放、新聞、雑誌であり、彼らは、フェイクニュースはネットにあり、自分たちが報道しているニュースは健全であるという奢った意識をもっているのです。
一方、ネットに接する人は、ネットにフェイク情報がかなりあることは良く理解しており、ネット情報をそのまま100%信ずる人などはおりません。
ところで、フェイクニュースに関して、下記の本が出版されています。
書 名 『信じてはいけない
民主主義を壊すフェイクニュースの正体』
著 者 平 和博(朝日新聞IT専門記者)
出版社 朝日新聞出版(2017/6/13出版)
あの朝日新聞の記者が、自社系列の出版社から、こんなタイトルの本を出版するなんて、悪い冗談としか思えません。朝日は、従軍慰安婦問題、靖国問題、教科書問題、吉田調書事件、珊瑚傷つけ問題、などなど、日本が誇るフェイクニュースメーカーのトップメーカーではありませんか。この本には一切の反省の言葉や新しい見解はないのですから、自社のフェイクニュースも他人事なのでしょう。人間性の欠片も感じられず、難しいことかも知れませんが、朝日の人達には、早く普通の正常な精神に立ち返られることを祈って止みません…。
わたし達は、公正を装うマスメディアの情報が、いかに事実を無視し、捏造や印象操作によって歪められているかということを認識しなければならないのではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
政府を含めた様々な公権力に対する批判は勿論のことだが、民間の宗教団体や営利企業さらにメディアなども含めた組織が国の民主主義を侵害する可能性が高いと判断した時点で、国民が自由に批判し是正を求める権利と手段が保証されて、初めて健全な民主主義社会といえる。だが現在の日本やアメリカのメディア世界は、リベラルと称する無責任な人道主義・平等主義・グローバリズムばかりを報道し、それらの思想・政策がもたらしている国内外の問題を無視または軽視し、批判の場も殆ど提供していない。メディア組織もお互いを監視し批判しあわねば、結果的には自由な情報のない社会、即ち中国やロシアのような国作りを、凡庸な我々一般市民でなく、エリートを自負するメディアが誘導することになる。既に現在進行形だと見えるが。
投稿: 齋藤仁 | 2017年9月 1日 (金) 09時00分
ブログ600回超え感服 継続は力なり 700回超え拝読できるよう こちら後期高齢者も頑張ります 所 功
投稿: 所 功 | 2017年9月 1日 (金) 08時51分