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2017年9月22日 (金)

「罵倒語のオンパレード」…北朝鮮メディアを読む!

 604回目のブログです

 

 “曇りなく 千歳に澄める 水の面に 宿れる月の 影ものどけし”
 
                 紫式部(新古今和歌集)

 

 千年の長きにわたって澄みわたっている池の水面に、曇りもなく明るく輝いている月の光、この美しい風情には穏やかな永遠の安らぎが感じられるものだ…。

 

 台風一過、秋の趣がいっそう色濃く感じられるようになってきました。紫式部のような世界超一流の女流文藝作家にかかれば、この穏やかな四季の風情を、五・七・五・七・七の和歌の調べのなかで、美しい言葉を自在に綾なし、自然体で見事に表現しています。

 

 わが国には、美しい言葉、品のある言葉、風格のある言葉、重厚な言葉、あるいは軽みある言葉を中心として、自らの思いを表現することを専らにしてきた歴史があります。ところが、近年、マスメディアから流れてくる語句には汚く荒っぽい、品位を欠く言葉(たとえば『保育園落ちた。日本死ね!』)が流行語として溢れる風潮になっているように思えます。

 

 わたし達は、今、もう少し言葉に注意を払い、エキセントリックで、ヒステリー的な、荒っぽい言葉を避け、穏やかな言葉を発するようにすべきだと思います。もしも、そうしなければ、あの北朝鮮の言葉づかいと同じようなものになっていくおそれがあるのではないでしょうか。その観点から、北朝鮮の発する言葉を子細に見ていきましょう。

 

 まず、最も印象の深いのは、テレビで重大放送を行う朝鮮中央放送委員会のアナウンサーである「リ・チュンヒ女史」です。彼女は、民族主義を発揮する意図を込め、暖色系のチマチョゴリ姿で登場。そして、その特異な話しぶりの大仰さにはほとんどの日本人は驚かされているのではないでしょうか。

 

 リ・チュンヒ女史は、報道内容によって言葉づかいや抑揚を変えているそうです。(Wikipediaより)

 

  ・金正日や金正恩に関する報道では、荘厳、丁重な語調で
金正日や金正恩への慈悲の念を表現する際は声を震わせる
国民への喚起・統制に関する報道では絶叫調
アメリカ、韓国、日本についての報道では強い語調で
敵国を非難する声明には威圧的な語調で

 

 北朝鮮のテレビ画面を見ても、朝鮮語は皆目分かりませんが、彼女の独特の抑揚には、またか、とは思いつつも目を見張らされます。さすがに、平壌演劇映画大学俳優科を卒業後、国立劇団で女優を経験してきただけのことはあります。

 

 それにしても、独裁国家・朝鮮民主主義人民共和国における報道の有り様は、お隣の中華人民共和国と同じように、大いなる違和感を懐かないわけにはいきません。北朝鮮のえぐい言葉の乱発は、逆に、北への信頼感を失わせているのではないでしょうか。

 

 次に、新聞を見てみましょう。北朝鮮のミサイル発射と水爆実験をふまえて国連は912日「対朝鮮制裁決議」を議決しましたが、それに対しての「朝鮮アジア太平洋平和委員会代弁人声明」を引用します。

 

 『我が軍隊と人民の敵撃滅の気概を
 
      米国と追随勢力ははっきり見るべきだ』

 

  …米国の制裁策動に便乗して軽率に振舞った日本の島国夷に対する指弾の声も激しく出ている。

 

  千年来のであるウェノムのざまを見るほど目に火がつくようだ、わが人民に千秋にすすげない罪を犯しておきながらも謝罪をまともにせず、米国の「制裁」の笛に踊りながら憎らしく振る舞う奸悪チョッパリらをそのまま放っておけない、日本列島の上空を飛び越えるわれわれの大陸間弾道ロケットを見ながらもいまだ気を確かに持てず、意地悪く振る舞う日本のやつらにはっきり気概を示すべきだ、取るに足りない日本列島の4島をチュチェの核爆弾で海の中に押し込むべきだ、日本はこれ以上われわれの近くに置く存在ではない、これがわが軍隊と人民の激昂した声である。
      (9/13 朝鮮中央通信 日本語版から一部抜粋)

 

 「島国夷」「ウェノム」「チョッパリ」は日本人に対する侮蔑語です。いやあ、とにかく最大限の脅迫、恐喝、侮蔑語のオンパレード

 

 …千年来の敵・奸悪・気を確かに持てず・日本のやつら・取るに足りない日本列島4島・核爆弾で海の中へ・日本は朝鮮の近くに置く存在ではない …。

 よくもまあ、これだけの言葉を並べたもので、ある意味で感心しますが、何と幼稚な言語ばかりでしょう。もっと高邁で格調高い言語でわが日本国と日本人を侮蔑できなかったのでしょうか。

 

 北朝鮮は、正式には「朝鮮民主主義人民共和国」ですが、自国を“共和国”とか“朝鮮”とも言っています。朝鮮半島を代表するのは北だと思い込んでいるのでしょう。北朝鮮が、自らを大きくみせるために、朝鮮と言ったり、幼稚な言語を使ったりすることに何となく憐れみを感じてしまいますが、これは私だけの感想でしょうか。

 

 彼らは、今、何を考えているのか全く不明。アメリカに対しても、脅迫、侮蔑語のオンパレードです。

 

 …横暴・卑劣・テロ犯罪・米国を狂犬のようにこん棒で叩き殺す・米国はわが人民を殺戮し、いびっている不倶戴天の敵・そのまま生かしておくことのできないオオカミの群れ・白昼強盗の群れ・米帝侵略者・米国の地を焦土化しよう、暗黒世界に作ろう・恨みを晴らそう…。

 

 こんな汚い言葉を使う人や民族や国家は、それだけ汚い存在だとみられても仕方がありません。本来、人間も国家も、美しいもの、大きなもの、清らかなもの、豊かなもの、歴史のあるものに憧れ、自らもそうありたいと願っているのではないでしょうか。

 

 そうであるとするならば、汚い言葉、罵倒する言葉を発することは慎重に避けなければなりません。北朝鮮がほんの少しでも尊敬される国になろうとするのであれば、汚い言葉や罵倒する言葉を使わないように自制すべきだと考えます。

 

 それとも、民族全般がそういう言葉を使う体質に染まってしまっているのでしょうか。たとえそうであったとしても、自戒と教育によって、より高い人格、いや、いや、普通の人間になる努力を重ねるべきではないでしょうか。

 

 同じことはわが国にも言えます。北朝鮮国営メディア(テレビ・新聞)の歪で異様な言葉づかいを反面教師として、そのような汚い言葉を断固として排除し、日本人らしい穏やかで美しく率直な言葉づかいが溢れる良き社会をつくりたいものです。現時点において、半島に学ぶべきものはないと考えるべきでしょう。

 

 小ブログは、3回連続で北朝鮮問題に触れましたが、悪しからずご了解ください。しばらくは触れないようにします。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

ブログを拝見するたびに,新たな発見かあり楽しみです。山鹿素行先生の門人が記した「武教小学」に「言語応対」という一章があります。「言語応対は志のゆく所なり。戯言なれども思いより出づと云ふはこれなり。……柔弱の言,鄙劣の言,尤も慎むべし。……鄙劣凡下の語をなすは,上品の士にあらず」。古人は,一言を発するにも注意を払い,発した言葉には責任を負った。すなわち,その言葉は,その人の人格,品性,学識を表すものとされた。いわんや下劣な罵詈雑言を発する者の程度はおのずから知れる。

投稿: 安見隆雄 | 2017年9月23日 (土) 08時07分

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