言葉の重さと軽さ…総選挙に思う!
609回目のブログです
“いにしへの 難波のことを 思ひ出でて
高津の宮に 月のすむらん”
源の師頼(平安後期の公卿・歌人)
古のどのようなことを思いだして、難波の高津の宮では月が澄んで明かりを照らしているのだろうか…。
高津宮は大阪市中央区にある由緒ある神社。第16代・仁徳天皇の皇居があったところであり国見の話は有名です。即位後、仁徳天皇は高殿から国を見渡され“民家のかまど”に煙が立っていないのをご覧になり「これは民が貧しいからである。今、宮に3年分の備蓄があるから、今後3年は徴税を禁じる」と命じられ、そのため天皇御自ら衣服や履物は破れるまで使用され、屋根の茅が崩れても葺かれなかった。仁徳天皇の治世は“仁政”として知られ聖帝と言われています。
さて、現代にもどって、10月22日、空前の大型台風のもとにおいて総選挙(衆議院議員選挙)が行われ、狂騒の中での結果は、政権与党の大勝に終わり、安倍政権、安倍政治は国民の圧倒的な支持を得たものになりました。(極端な悪天候にもかかわらず、投票率は53.7%で前回よりも1.0%アップ)
【平成29年衆議院議員選挙】(人)
当選者数 公示前
増減
自由民主党 284 290 ▲ 6
立憲民主党 55 16 △39
希望の党 50 57 ▲ 7
公明党 29 35 ▲ 6
日本共産党 12 21 ▲ 9
日本維新の会 11 14 ▲ 3
社会民主党 2 2 0
無所属 22 37 ▲15
(合計) (465)(472)
自民党は過半数の233議席を大幅に超え、与党(自民党+公明党)としては3分の2の310議席をも超え、憲法改正を発議できることになりました。
「憲法改正」については、それぞれの政党の主張において、従来の分かりにくさがなくなり、次のように分かりやすく色分けできます。(一応無所属はのぞく)
改憲勢力(右派)
自由民主党 284(人)
希望の党 50
公明党 29
日本維新の会 11
(計) (374)……84.4%
非改憲勢力(左派・護憲/安保法制反対)
立憲民主党 55(人)
日本共産党 12
社会民主党 2
(計) (69)……15.6%
この選挙をめぐっては、いろんな言葉が乱舞しましたので、マスメディアのようにイデオロギー的ではなく、素直に考えてみたいと思います。
【排除の論理】【さらさらない】
台風の目となった希望の党の小池代表が、民進党からの入党希望者に対して、理念の異なる人物は「排除する」民進党全員の受け入れは「さらさらない」とした発言に対して、マスメディアはこれをとんでもない言葉であり、希望の党敗北の主因だとしていますが、果たしてそうでしょうか。
確かに、このような強い言葉は上から目線的であり、もう少し穏やかに「希望の党は新党であり“志”を同じくする人を集めたいと考えている」と言えばあまり角が立たなかったかも知れません。
ところで、政党って本来どういうものなのでしょうか。『政党とは、共通の政治的主義・主張をもつ者によって組織され、一定の政治的利益や政策の実現のために活動し、政権獲得をめざす集団』(大辞泉)と定義されています。…とすれば、思想・信条(安全保障・憲法改正など)が大きく異なる人には遠慮していただくという方針は「排除」という言葉の厳しさを除けば、決して間違っているとは思えません。
もうひとつ。マスメディアは、希望の党は大敗北したと言いますが、新党で曲がりなりにも50名もの当選者を確保できたことは、それなりに大いに評価してもいいとのではないでしょうか。
【自民党1党独裁】【安倍1強政治】
メディアや野党政治家が、たびたび口にする言葉に「自民党1党独裁」がありますが、現在のわが国の政治制度は民主主義そのものであって、独裁政治ではありません。独裁政治とは、中国や北朝鮮のように、すべての自由が厳しく制限され、特に言論の自由や思想の自由などが全く無い国家のことを指します。こんな政治のイロハのイを知らない無知蒙昧の人には政治を語る資格はありません。
また「安倍1強政治」を批判する声を耳にしますが、1強政治のどこに問題があるのでしょうか。政権は1強をもって自らの政治的理想を実現しようとするもの。安倍1強政治に厳しく非難を加えたいのであれば、自らが全力をあげて「○○1強政治」を目指し、安倍1強政治を凌駕すればいいのであり、単に1強の足を引っ張るのではなく自ら1強になる努力を重ねるべきなのです。
【大義なき総選挙】【解散権の乱用】
急迫する東アジア情勢は、戦後70年、カエルの楽園を満喫してきたわが国の「歴史的な転換点」を迎えています。そう考えれば、時の首相が正当な権力を行使し、政権選択として解散権を最高度に活用するのは当然のことであり、これは解散権の乱用にはあたりません。
「必要に迫られた際に、大胆で果敢であることは思慮に富むことと同じと言ってよい。国家の指導者たるものは、必要に迫られてやむを得ず行ったことでも、自ら進んで選択した結果であるかのように思わせることが重要である」(マキャベリ)
“有権者は愚にして賢、賢にして愚”と言いますが、今回、国民が投票に際して最も重視したことに注目しましょう。NHKの出口調査によれば、消費税25%、憲法改正25%、北朝鮮が17%、など生活と国の安全に関心が高く、リベラルサヨク・メディアが最も重要視する森友・加計問題は、わずか7%に過ぎません。これでは、モリ・カケ問題を主テーマにしたリベラルサヨクはとても勝てないでしょう。
このようなわたし達国民の意識を見れば「安全保障を政争の具にしない」という欧米の自由民主主義国では当たり前の政治に近づきつつあるのかも知れません。
(最後に。小池都知事の1年間の成果が、わずかに「屋内原則禁煙」条例を制定することであることに驚きを隠せません。さらに、豊洲、築地、オリンピック関連の問題は、軽薄なパフォーマンスにより傷口を広げたままであり、自己の野望は一旦捨て置き、行政の長として実直にことを進めていくべきだと思いますが。…しかし大いなる危惧も覚えるところです)
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
小池都知事の「屋内原則禁煙」条例を制定は、個人の自由を毀損する行政の不当な介入ではと驚かされました。彼女がモリ・カケ問題を口にした点と、空前の大型台風が首都圏に迫る中での小池都知事のフランス出張は、彼女の「わが身第一」を感じました。
追伸
商社の監査部員として、先週(10月22日~27日)、仙台空港に隣接する関係会社の監査に出張しました。3.11被災企業を往査することにより、危機管理の重要性を改めてリアルに体感することが出来ました。
災害現場でも国民の安全と生命を守るため真摯な努力を重ねる自衛隊員の活躍を改めて想起しました。
自衛隊の存在を明確に認めることを、戦後先送りしてきた歴史と、重ね合わせる監査出張ともなりました。
投稿: 野中志郎 | 2017年11月 1日 (水) 09時26分
やっぱり、安倍さんは素晴らしかった。詭道はドンピシャリ。街頭演説では、憲法問題には触れず、麻生さんの言うとおり、「北のお蔭」でノーマルな日本人の不安を捉まえたらしい。憲政の常道をあえて踏まず、野党の請求を無視して臨時国会を回避して総選挙に賭けた。結果オーライ、万歳。
今後は、覇道、詭道をなるべく取らずに、王道を歩んでもらいたいものです。安倍さんなら、きっと、吉田、岸、中曽根さんらを凌ぐ名宰相として、名を残すはずですから。
投稿: kawaski akira | 2017年10月27日 (金) 22時50分
柚木道義氏は希望からの比例での当選は辞退すべきだ。希望に風が吹きそうだ思って憲法改正、安保関連法容認が希望の立ち位置であるにも関わらず自らの信念(護憲、安保関連法反対)を曲げてまで協定書に署名して公認を取り付けたのだ。それで逆風が吹き始めるや小池批判をし始め結果的には希望の比例で辛うじてひっかかったのである。両議院総会では小池批判を繰り返し希望が第2自民党になるなら解党すべきとまで言っている。それなら自ら辞退して次の比例候補に譲るべきである。希望の代表は小池氏なのである。小池氏も民主党合流組の品性のなさに呆れているようである。
投稿: 福井凜風 | 2017年10月27日 (金) 11時25分