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2017年11月24日 (金)

「酒蔵めぐり」②…神戸酒心館 

 613回目のブログです

 

 “雲ゐより つらぬきかくる 白玉を たれ布引の 滝と言ひけん”
 
             藤原隆季(平安後期・詞花集)

 

 この滝は白布を引いてさらしたようだと聞いていたが、空から懸け下げた数珠つなぎの白い玉ではないか、誰が「布引の滝」などと名付けたのだろうか…。

 

 古より有名な布引の滝は神戸六甲山に位置し、雄滝(おんたき)、夫婦滝(めおとだき)、鼓滝(つつみだき)、雌滝(めんたき)からなり、那智勝浦の那智の滝、日光の華厳の滝とともに三大神滝とされています。

 

 日本酒は基本的に「清らかな水」と「うるわしき米」が必須の条件。この和歌からも、何となく六甲山系の水の清らかさが窺え、加えて、兵庫県には立派な播州の酒米がありますから、それが灘の美味しい酒に結びついているのではないでしょうか。

 

 さて2回目の酒蔵めぐり。前回の滋賀県の酒蔵「藤居本家」訪問が素晴らしい感動をもたらせてくれましたので、今回もワクワクしながら参加しました。総人数は10名(男性6人・女性4人)、田舎の高校OB連中ですので気の置けない人達ばかりです。

 

 JR茨木駅 ⇒ JR大阪駅/阪神梅田駅 ⇒ 阪神石屋川駅(集合) ⇒ 徒歩 ⇒ 蔵元「神戸酒心館」⇒ 阪神新在家(解散) ⇒ 阪神梅田駅/JR大阪駅 ⇒ JR茨木駅

 

 阪神電車に乗ったのは10年ぶり。阪神電車は総距離48.kmの短い距離を走りますが、中間にある甲子園駅は誰も知らない人はいない「甲子園球場」の乗降駅であり、歴史と伝統を誇るプロ野球球団「阪神タイガース」の親会社でもあります。

 

 【蔵元・神戸酒心館】は、神戸市東灘区御影塚町にあり、阪神電車石屋川駅から歩いて8分、閑静な場所にあります。創業は江戸中期・宝暦元年(1751)、手造りにこだわる酒蔵として銘酒“福寿”を守る260年を超える老舗。現在13代目が蔵元を引き継いでいます。

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 11月18日、土曜日「蔵開き」の催しが行われ、蔵元のご挨拶、灘の酒造り唄の実演、鏡開きの振る舞い酒、蔵人による蔵見学、そして、有名どころの屋台、各種お酒の販売があり、広い会場が満席のなかで、美味しいお酒を味わいながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
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 最初に「酒蔵見学。20代の若い蔵人さんが初めての案内役だったせいでしょうか、詳しく説明をしていただいたために、非常に分かりやすく、理解を深めることができました。
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 工程は…。精米 ⇒ 洗米・浸漬 ⇒ 蒸米 ⇒ 麹・酒母 ⇒ もろみ ⇒ 上槽(新酒・酒粕) ⇒ 濾過 ⇒ 火入れ ⇒ 貯蔵 ⇒ (びん詰め)
 

 工場内は、全ての醸造工程にわたり清潔さが保たれており、工具類も整然と並べられていることから、神戸酒心館の、お酒に対する真摯な姿勢と並々ならぬ心意気を感じます。

 

 上槽室を見学中、通路のところに「松尾大社のお守り」が貼ってありました。松尾大社は京都嵐山にある官幣大社であり、醸造家の信仰が篤いお酒の神様として有名な神社。おそらくは、神に祈る気持ちで酒造りに努めている証しだろうと推察したところです。

 

 さて、いよいよ美味しいであろうお酒を飲み始め、まずは、新酒・にごり酒・樽酒、馥郁としたそれぞれの味と香りを楽しみました。わたしは、灘の蔵元の蔵開きは初めての経験ですが、参加する人の皆が皆、楽しく酒談義やら身近な話題で盛り上がっており、本当に明るく愉快な雰囲気に包まれている様子に感動を覚えた次第です。

 

 これだけ大勢の人が、押し合いへし合い、お酒を、それも半端ではない量を飲めば、何がしかのトラブルが生じるものですが、そんな現象は皆無、明るい談笑に終始している光景は、まことに見事なものと認識を改めたところです。

 

 お酒は、大吟醸、純米大吟醸、純米吟醸、純米酒、本醸造寒造り、純米にごり生酒、など各種あり、ここ神戸酒心館は、すべて兵庫県産米が原料とのこと。
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 受賞歴は、全国新酒鑑評会、インターナショナル・サケ・チャレンジ、インターナショナル・ワイン・チャレンジ、ワイングラスでおいしい日本酒アワード、ロンドン・サケ・チャレンジ、全米日本酒鑑評会、KURA MASTER、で軒並み金賞という実績を誇っています。今や、日本酒は世界から評価されており、今後の大きな発展が期待されます。
 

 神戸酒心館はノーベル賞との縁があり『純米吟醸 福寿』ノーベル賞授賞式の公式行事で提供されるなど海外のソムリエから高く評価されています。(下の青色のびん)
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 数時間の飲酒と談笑、あっという間に予定の時間が過ぎ、お土産には、ノーベル賞に縁のある『純米吟醸 福寿』を選択。平成24年(2012)ips細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授の授賞式でも、この『純米吟醸 福寿』が出されました。……雰囲気だけでも少しあやかりたいと思いまして。

 

 少しほろ酔いであり、さわやかな風が肌に心地よく、およそ10分ばかり歩き阪神電車の駅に到着。わずかばかりの後引きの余韻を感じながら一路家路へと向かいました。

 

 みなさんにも酒蔵めぐりをお薦めします。

 

次回は
時事エッセー
です。

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