素晴らしきかな古都…京都の最南端を散策する!
612回目のブログです
“緑なる 一つ若葉と 春は見し 秋はいろいろに 紅葉けるかも”
良寛(江戸後期・僧侶/歌人)
春には、緑一色の若葉に見えた山が、秋には、葉がさまざまな色に色づいている。若葉の時も良いものだが、秋の紅葉もすばらしく美しいものだ…。
秋のもみじは、大昔は「黄葉」と書き、今は「紅葉」と書くように、緑の葉を黄色から紅色の間にある無限の色合いを醸し出す自然の情趣として、わたしたち日本人の心に、静かに見せてくれます。(…と同時に、良寛和尚は、自然の現象を人生にたとえ、人は少年から大人になっていくが、人それぞれ得手があるはずだと、言外に説法しているようでもあります)
さて、気の置けない10名前後の友人と、四季のなかで最も情趣豊かな春と秋に、古都である京都や奈良、およびその周辺の歴史と文化と自然に触れるべく、散策をはじめてから今回の散策で20回目、早、10年を経過しました。
それにしても、どこを訪ねても、書物から得た多少の知識はあるものの、未知の所ばかりであり、新鮮な驚きの連続です。わが国の歴史の奥行きの深さにあらためて感動するとともに、日本の四季のきめ細やかな変化と色彩の豊かさにも、心からのときめきを覚えてしまいます。加山雄三の歌ではありませんが“
♪ 僕は幸せだなあ~”と同時に“日本人は幸せだなあ~!”と思わずにはいられません。
11月12日、日曜日、わたし達は京都の最南端の由緒ある場所を訪れることにしました。当日は快晴、気温も散策に適した温度で降水確率もゼロ、空は適度に澄み渡り、これ以上ない絶好の天気であり、丸一日を満喫しました。
京都駅集合 ⇒(近鉄50分)⇒ 近鉄奈良駅
⇒(奈良交通バス25分)⇒【浄瑠璃寺】/ 昼食⇒(コミュニティバス20分)⇒【岩船寺】⇒【石仏の道】⇒ 浄瑠璃寺 ⇒(奈良交通バス25分)⇒ 近鉄奈良駅 ⇒ 打ち上げ・解散
さて、近鉄京都駅から1時間弱で近鉄奈良駅に到着。満員のバスで浄瑠璃寺へ、北へ北へ、山また山、結構田舎の風景ばかりですが、どんな狭い田圃でもお米を栽培している姿に、やはり日本はお米が一番だとの印象を持った処です。
【浄瑠璃寺】
浄瑠璃寺は京都府の最南端にある真言律宗の由緒あるお寺。創建は1047年。極楽浄土を想わせたであろう庭園の池を中央にして、
東に 三重塔(国宝) 薬師如来像(重要文化財)
西に 本 堂(国宝) 阿弥陀如来9体(国宝)
が鎮座しています。
太陽の昇る東方にある浄土(浄瑠璃浄土)の教主が「薬師如来」であり、その太陽がすすみ沈んでいく西方にある浄土(極楽浄土)の教主が「阿弥陀如来」だそうで、いままで知らなかったことを恥じた次第。
それにしても、浄瑠璃寺という名の響きには仏教としてのほのかな艶を感じさせます。国宝や重要文化財が数多くあり、上掲以外に、四天王像(国宝・仏教を守護する四つの神・東方/持国天、南方/増長天、西方/広目天、北方/多聞天)や吉祥天女像(重文)は特に注目されています。
わたし達は本堂の阿弥陀如来9体を拝ませていただきましたが、黄金色ひと色、いずれの佛さまも穏やか、堂内も厳かな雰囲気で、さすがに歴史ある品格を感じた次第です。
このあと、浄瑠璃寺の門近くの食堂で、熱いうどんを食べ、腹一杯になったところで、近くの小さなお土産屋さんをのぞきながら時間を過ごし、1時間で1本のバスで岩船寺へ移動しました。
【岩船寺】
岩船寺はこれも京都府最南端にある真言律宗の寺院であり、天平元年(729年)行基の創建と伝わっています。地理的には奈良に近いけれども、山深いところでもあり、南都(奈良)の寺院の世俗化を厭う僧侶たちの修行の場となっていました。
そういえば、何となくそのような雰囲気を醸し出しており、俗化とは程遠い歴史的文化遺産である重要文化財の宝庫ともなっていることに気づきます。また、お寺の境内には紫陽花が多く植えられており、梅雨時には紫陽花寺の異名をいかんなく発揮しているようです。
わたしたちは、紅葉には1週間ばかり早かったと悔やみましたが、それでも部分的にはかなり紅葉しており、すっかり目の保養になりました。
【石仏の道】
岩船寺から浄瑠璃寺バス停まで徒歩で約2キロ弱。途中、多くの石仏にも目をやりながら、なだらかな坂道を下ります。四方山のことをしゃべりながら、のんびりと歩くことも、いわゆる散策の醍醐味でもあります。このくだり道が鄙びたところにもかかわらず、どことなく品のある小道であることを感じさせるのは、近くに岩船寺や浄瑠璃寺を控えているからでしょうか。
途中には、この地の農産物、沢庵の古漬け・日野菜の漬物・草餅・奈良漬・柿・つるし柿・菜っ葉などが山道で無人販売されていました。無人販売は日本ならでは、素朴な山奥ならではとの感想を持ち、何はともあれ、とにかく100円位の安さですから、いろいろと買い込みました。(家に帰り食しましたが、美味しさ抜群でした!)
さいごに、例によって、打ち上げとして近鉄奈良駅の近くで冷たいビールをごくり、疲れを癒したところです。
自然と歴史の宝庫はわが国の特徴でもあり、まだまだ、この散策を続けたいと思うこの頃です。皆さんも是非、歴史と自然の散策をお薦めします。
次回は
時事エッセー
です。
| 固定リンク
コメント
この5月、友人と浄瑠璃寺を参詣しました。京都永観堂禅林寺の「見返り阿弥陀」、泉湧寺の「楊貴妃観音」とともに、そのお姿の艶なるを称えられる「吉祥天女」さんにやっと拝顔できました。西域、インド、中国、朝鮮と大いなる時間と空間を経て、極東日本に結実した「仏心を象る美」の姿に感動しました。岩船寺には寄らず、奈良薬師寺に足を延ばし「吉祥天画像」の端麗なるお姿にもお会いできました。
ひとり年中行事にしている、神宮外苑の銀杏並木もそろそろ見頃でしょうから、散策に出かけます。
投稿: kawaski akira | 2017年11月17日 (金) 11時31分