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2017年12月15日 (金)

教科書から消える…「吉田松陰」「坂本龍馬」!      

 616回目のブログです

 

“親思ふ こころにまさる 親ごころ けふの音づれ 何ときくらむ”
 
             吉田松陰(勤皇の志士・松下村塾)

 親を思う子供の心よりも遥かに深い、子を思う親のお心は、この便りをどんなお気持ちでお聞きになるでしょうか…。

 

 吉田松陰が安政の大獄で処刑される1週間前に、父、兄、叔父に宛てて永別、辞世の手紙にある和歌です。

 

 吉田松陰は幕末長州藩の生んだ英邁なる勤皇の志士であり、思想家、求道者であり、松下村塾を通じた教育者であり明治維新の根元となる英傑と言わなければなりません。吉田松陰なかりせば、維新の大業も覚束なかったでしょう。門人には、高杉晋作・久坂玄瑞・前原一誠・伊藤博文・山形有朋・山田顕義・木戸孝允(桂小五郎)など維新の傑物が綺羅星のごとくいることを見ても、その存在の偉大さが分かります。

 

 ところが、…。

 

 高校教科書から消える? 脱暗記へ「用語半減を」執筆者ら提言

 

  大学入試で歴史の細かい用語が出題され、高校の授業が暗記中心になっているのは問題だとして「高大連携歴史教育研究会」が用語の精選案を発表した。教科書の本文に載せ、知識を入試で問う用語を現在の3500語程度から約半分にすべきだとしている。…「クレオパトラ」「ガリレオ・ガリレイ」「武田信玄」「上杉謙信」「吉田松陰」「坂本龍馬」などは「実際の歴史上の役割や意味が大きくない」として削った。
       (1114日 朝日新聞デジタル一部抜粋)

 

 現在の世界史や日本史の大学入試においては、些末な歴史知識を問う入試問題が多く、受験生は歴史用語や人名を暗記しなければなりませんが、その用語や人名が1950年代に較べて3倍になっており、それを半分に減らそうとするもの。

 

 歴史教育で大切なことは、些末な用語や人名を暗記することではなく、歴史の流れや歴史の因果関係を理解し、歴史の中心にあるものを認識することにあります。現状の暗記主義を克服し、若者の歴史嫌いをなくし、近現代史も学ぶ余裕を持つためにも、用語や人名の削減は避けて通れないことだと考えられます。

 

 しかしながら、高校や大学の先生方が作成した、歴史用語の精選案には、極めて大きな問題点を含んでいることを指摘したいと思います。『日本史』を例に具体的に見ていきましょう。

 

 【教科書から削るべき歴史用語】(一部)
     楠木正成
 
     武田信玄・上杉謙信
 
     吉田松陰
 
     高杉晋作
 
     坂本龍馬
 
     中山道・甲州街道・奥州街道・日光街道

 

 歴史に関心を示し愛着を持つ要素の大きな部分を占めるのは、壮大な“ロマン”を感ずるところであり、その主軸を成すものは歴史に光彩を放つ偉大な人物ではないのでしょうか。

 

 ところが、先生方は、教科書には「裏方」や「地方」の人物は取り上げなくてよいとの判断をしているのです。しかし、歴史は表だけではなく、裏方も重要であり、ましてや江戸時代などにおいては偉大な人材は地方を加えた国中に散在していました。吉田松陰については、明治維新の根元の偉人として冒頭で取り上げましたし、坂本龍馬についても、薩長同盟、大政奉還、5箇条の御誓文などで果たした影響は極めて大きく、決して削るべき人名ではないと考えます。

 

 龍馬が結成した名前から取った、フォークグループ「海援隊」の武田鉄矢さんは、龍馬の名前を教科書から削れという報道に「なんだよ~お前ら」と激怒。「歴史は人間が作っていくものであって、歴史が人間を語っていくというのは逆さですよ、手順として。人間を語るところから歴史が始まるんです」とまくし立てました。

 

 また、歴史学者で東大史料編纂所の本郷和人教授『先生の大半は「歴史は学問だからロマンはいらない」と言うわけだけど、僕はそうではないと思っている。クイズのような試験を出す学校に合わせて“単語を覚えさせるだけの授業が行われてしまっている現状”が悪いのであって坂本龍馬という単語が悪いわけではない。子どもたちの歴史離れが進んでいるのは、はっきり言って今の歴史教科書がつまらないからだと思う。』と述べています。

 

 【教科書に載せるべき歴史用語】(近現代史・一部)

     天皇制      ベトナム反戦運動
 
     ファシズム    排外主義的ナショナリズム
 
     軍国主義     歴史認識
 
     皇国史観     教科書問題
 
     日中15年戦争  戦時性暴力
 
     南京大虐殺    平和運動
 
     従軍慰安婦    ジェンダー主流化
 
     逆コース     家父長制
 
     基地反対闘争   格差社会

 

 吃驚、唖然! これを一瞥しただけで、先生方の偏向したイデオロギーが見て取れます。そして、すべてサヨクリベラルが常日頃よく使い、朝日新聞の好きそうな用語であることは一目瞭然。

 

 これらは、歴史用語というよりも、中共・中国と韓国・朝鮮の政治的プロパガンダ用語そのものであり、じゅうぶんに注意して使うべきものです。ましてや、これらをわが日本国の教科書に安易に載せるのは大問題と言わねばなりません。

 

 つい先日の1213日、中華人民共和国・南京市の「南京大虐殺記念館」での追悼式典が行われ、習近平国家主席も出席しました。そして韓国の文在寅大統領も参列。式典の演説では30万人が殺戮され無数の女性や子供が野蛮に虐殺された」とありましたが、これは史実ではなく、真っ赤な嘘と言うべきです。

 

 今、中国はわが日本に対して「歴史戦」を仕掛けてきており、この南京大虐殺もその重要な一環です。中国では、古来【歴史=プロパガンダ・宣伝・洗脳の道具】と位置づけられており、わたし達普通の日本人の考える【歴史=ヒストリー・学問・史学】とは全く別物であることは知っておかねばなりません。

 

 『プロパガンダ(propaganda)』
特定の思想によって個人や集団に影響を与え、その行動を意図した方向へ仕向けようとする宣伝活動の総称。特に、政治的意図をもつ宣伝活動をさすことが多い。

 

 歴史戦の材料として「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」をでっちあげ、中韓が共同し、世界に向けて“反日喧伝”につとめていることを、わたし達は認識すべきではないでしょうか。

 

 にもかかわらず、わが教科書において、中韓のプロパガンダに呼応して、これらの用語を何の検証もなく載せるのは大きな誤りであり、先生方には猛省を促したいと思います。あわせて文科省や政治家には強く反省してもらいたいものです。

 

 わたし達日本人は、矜持をもって「歴史戦」を戦い抜く覚悟が必要ではないでしょうか。

 

 そうしなければ、諸外国からの歴史戦に敗北し、日本が日本でなくなる日が近々に到来するような気がしてなりません…。

 

 教科書が危ない!

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

野宗邦臣先生
 冠省
たまに御配信いただき拝読させていただいてます。
有難うございます。
 次回もよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。

投稿: 古江 常太郎 | 2017年12月16日 (土) 15時06分

孵化した時に我が子のように育ててくれた人間を親鳥のように慕い続ける雛鳥、幼児期にオオカミの群れの中で育てられた結果、成長しても四つ足で生活し続けた少年、等々のように、幼児期・少年期の環境は、肉体的だけでなく精神的にも大きな影響力をもつ。長い歴史の中で社会に溶け込んだ宗教的情操や伝統儀式的な情操の環境は問題ないが、社会が受容しきれていない特定の思想や宗教或いは歴史問題や政治問題を社会に押し付け教化するには青少年を洗脳するのが最適である。イデオロギー政党や宗教団体がその主体となるが、宗教の場合は公教育の場の情宣活動は禁じられている。しかしイデオロギーは「思想の自由」「学問の自由」を隠れ蓑にして、日本が拠ってきた伝統や国家の形・在り様までを否定する反日活動をしてきた。その陰には戦後のGHQとコミュニズムが連携して、「日本否定」の教宣活動があったことはいうまでもないが、彼らは国民が収める税金をふんだんに使って、文科省やNHKという公的(準公的)組織を最大限に活用して国民を洗脳してきた。しかも「公の場」の情報は即ち「正しい」情報であり、それを語る人々が「正義の人・常識の人」という国民思想の流れを作ってきた。朝日新聞やNHKの職員の正義感は、彼らからすれば「戦後の常識」に過ぎない。但し、彼らは「一時代の流行思想」に染まっただけで、己の肉体と頭脳を最大限に使ってその思想を手に入れたわけではない。時代が与えた衣裳を何の疑念も持たずに纏ったに過ぎない。彼らの思想だけでなく彼らの顔も画一的に見えるのは、その思想に個性がないからであり、非人間的に過ぎるからである。

投稿: 齋藤仁 | 2017年12月15日 (金) 08時50分

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