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2017年12月22日 (金)

対立軸を考えてみよう!

 617回目のブログです

 

 “朝露に 競いて咲ける 蓮葉の 塵に染まざる 人の尊さ”
 
             良寛(江戸後期の僧・歌人)

 朝の露とその清らかさを競っている蓮の花のように、世俗の塵に染まらない人の何と尊いことよ…。(蓮葉→はちすば)

 

 もう1週間で平成29年も終わり、新しい年を迎えますが、年々、歳末の季節感あふれる風景が薄れてきているように思えてなりません。これは偏に、わが身が、良寛和尚の和歌にある蓮の花の清らかさから遠く離れ、世俗の塵埃に薄汚れたために、感受性を弱くさせてきているのではないかと反省あるのみの年末です。

 

 今年はいろいろな出来事がありました。残りわずかな日数の中でも何が起こるかわかりません。

 

 拉致進展なし、韓国問題、従軍慰安婦問題、フェイクニュースのオンパレード、北朝鮮の核・ICBM、トランプ大統領、総選挙与党圧勝、モリ・カケ報道、有効求人倍率の大幅改善、着々と進む中国の歴史戦、わたし達日本人の平和ボケ、小池都知事の信頼度大幅低下、ネット社会の隆盛と影響力増大、格差の進行、憲法改正、ついには阿蘇山の9万年に1回爆発することを理由にした原発稼働停止命令…などなど盛り沢山なテーマが発生しています。

 

 こうしたなか、今年は、喧騒にあけくれ、ポピュリズムも目立ち、論理からはずれた感情的な言論が横行した感を強くします。これはとりもなおさず、立ち位置を不明確にぼかしたままの主張が溢れたものであり、主義・主張・立場・見解・信条などで、分かりやすい対立軸のもとで議論する必要がありそうです。

 

 それでは、政治、経済、軍事、エネルギーなどで、どのような【対立軸】がありそうか、ランダムに記してみましょう。

 

   ・護憲      改憲
 
 ・大きな政府   小さな政府
 
 ・左派(左翼)   右派(右翼)
   ・保守      革新

 
 ・保守      リベラル
 
 ・ポピュリズム  エリート主義
 
 ・増税      減税
 
 ・デフレ脱却   デフレ歓迎
 
 ・財政拡大    財政縮小
 
 ・景気対策    構造改革
 
 ・教育費無償   教育費有償
 
 ・新自由主義経済 自由主義経済
 
 ・日米安保賛成  日米安保反対
 
 ・自衛隊・必要   自衛隊・不要
 
 ・核武装賛成   核武装反対
 
 ・先制攻撃・是   先制攻撃・非
 
 ・防衛力増強   防衛力削減
 
 ・原発賛成    原発反対
 
 ・独裁主義国家  民主主義国家
 
 ・属国意識(媚態) 独立意識(矜持)
  ・移民受入賛成  移民受入反対

 
 ・………

 

 あるはあるは、いくらでもあります。これらのなかで最も重要な対立軸は、現行憲法への評価である「護憲」or「改憲」と統治機構への基本的スタンスである「大きな政府」or「小さな政府」ではないかと思います。

 

 今年行われた総選挙の結果をあらためて振りかえって見ますと…

 

  【平成29年衆議院議員選挙(人)
 
       当選者数  公示前    増減
 
 自由民主党  284  290   ▲ 6
 
 立憲民主党   55   16   △39
 
 希望の党    50   57   ▲ 7
 
 公明党     29   35   ▲ 6
 
 日本共産党   12   21   ▲ 9
 
 日本維新の会  11   14   ▲ 3
 
 社会民主党    2    2     0
 
 無所属     22   37   ▲15
 
 (合計)  (465)(472

 

 これらのうち、主力政党を対立軸で表示すると、つぎのようになるのではないでしょうか。

          (大きな政府)
             |
    共産    公明 |希望
      立民     |  自民  維新
(護憲)―――――――――|―――――――――(改憲)
             |
             |
             |
          (小さな政府)

 

 これを見て判断できることは、わが国には、小さな政府を志向する保守政党が存在しないことです。自由民主党は自らを保守政党と言っていますが、リベラルの範疇に入るのではないでしょうか。言うなれば、リベラル・セミ改憲派というべき存在であり、純粋保守政党を名乗るのは全く間違っており、おこがましいと考えます。

 

 今後とも、税と社会保障をどうするのかという問題は引き続き議論されるでしょうが、地方自治についても道州制も含めた議論が必要であり、それにはわが国の歴史、特に江戸幕府の自治政策に学ぶことも大切だと思います。勝海舟も言っています。

 

 “地方自治などということは、珍しい名目のようだけれど、徳川の地方政策は、実に自治の実をあげたものだよ。名主といい、五人組といい、自身番といい、火の番といい、みんな自治制度だからのう”(勝海舟『氷川清話』明治31年)

 

 自身番は警察、火の番は消防のこと。福沢諭吉も自治に関しては江戸時代の自治を手直しするくらいでよいと言っているのですから、それを歴史の遺産として参考にしたいものです。

 

 現在、東京都の知事部局などの職員数は38,000人。ところが江戸時代の役人数は166名。奉行1人、与力25人、同心140人。たったの166名で一般行政、警察、裁判所などの業務の元締めを行うことができたのは、ほとんどの問題は民間人である町役人が処理していたからです。町役人とは、役人と名前はついていますが、何らかの役についている民間人のことで、町年寄・町名主・家主たちを言います。(H28/1/11DAIMONDonline松本崇元内閣府事務次官の論稿より)

 

 たしかに、人口も違い、時代も違うとはいうものの、統治機構については、今一度、わが国の歴史と世界の良き実例に学び、考えていくことが大事ではないでしょうか。

 

 もろもろの対立軸を組み合わせながら、考え方を深めていきたいものです。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

一年間ありがとうございました。時宜に適した時事評論を古典の智恵の中に織りまぜて,楽しくもまた厳しい指摘に我が身を反省すること多々ありました。これからもよろしくお願いします。

投稿: 安見隆雄 | 2017年12月23日 (土) 08時20分

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