“台湾”Good News…米下院「台湾旅行法」可決!
621回目のブログです
“ 斧入れて 香におどろくや 冬木立 ”
与謝蕪村(江戸中期・南宋画の大家)
冬枯れした木に斧を打ち込んだところ、中から新鮮な木の香がしてきた。冬木立は見た目こそ枯れてみえるけれど、その内部の生命力が脈々と生きていることには驚かされるものだ…。
緑の葉が豊かな樹木を見ると、何となく生命力あふれるものを感じますが、蕪村の俳句は、一時的に冬枯れした木々にも、その内部には沸々と燃えたぎる力を蓄えていることを教えてくれます。
先週、地上波テレビで、台湾の若い女性たちが大挙して北陸の古都・金沢を訪れている光景を放映していました。その目的は台湾の大恩人である「八田與一」(はったよいち)の生誕地をたずねることであり、八田与一は金沢ふるさと偉人館で顕彰されており、今、台湾の方々が続々と大挙して訪れているようです。
八田与一は、明治43年(1910)東京帝大工学部土木科を卒業した土木技師であり、大正9年(1920)から昭和5年(1930)まで台湾南部の巨大な「烏山頭ダム」の工事を指揮し、幾多の苦難を乗り越え完成させました。このダムのお陰で広大な嘉南平野は豊沃な土地に一変、現在も稼働を続けています。
台湾の中学生向け教科書では、八田与一の業績が詳しく載っており、日本では知る人は少ないのですが、台湾では誰でも知っている偉人なのです。今、烏山頭ダムは公園としても整備され「八田與一」の銅像とお墓、そして顕彰のための記念館も併設されており、毎年多数の参列者により慰霊祭が行われています。これは、台湾の方々が八田与一や日本人に対し心からの感謝の気持ちを有している証しと言えるのではないでしょうか。
これを見ると、台湾と朝鮮<韓国・北朝鮮>のわが国に対する思いの極端な差異に驚かざるを得ません。台湾は感謝<ありがたいと思うこと>、朝鮮は怨嗟<抑え切れない恨み>、感謝と怨嗟ですからまさに真逆。その差は地勢、民族、民俗、DNA、何でしょうか。
先年の東日本大震災の時、わが国は、台湾の方々から200億円超というダントツの巨額の義捐金を受け取りました。その温かい志にほとんどの日本国民は目頭を熱くしたことでしょう。
しかし、政府は翌年の「東日本大震災一周年追悼式」において台湾に対して外国代表の指名献花もさせず、某大手地方紙は義捐金一覧表から台湾を外すという、真に愚劣、失礼極まりない態度を示したことを忘れてはなりません。これでは、日本は、低劣さにおいて韓国と同じではないかと言われても反論できません。日本人が誇ってきた道徳の低下がここまで来ていることを嘆くだけではなく、深く反省し、その根本を見直すことが肝要ではないでしょうか。
さて、この台湾にビッグニュースが舞い込んできました。どういうわけか、わが国の新聞、テレビなどのマスコミでは一切無視、全く報道されていないニュースです。これでは、マスゴミ(マスごみ)と揶揄されても仕方がないと思わざるを得ません。いつまでも北朝鮮と韓国のプロパガンダをやるべきではないでしょう。
■ 米下院で「台湾旅行法」可決、高官の交流強化
アメリカの議会下院は現地時間9日、台湾旅行法を可決した。この法律が成立すれば、台湾とアメリカの高官による相互訪問が奨励されることになると期待されている。この法案は、さらに上院で可決された後、大統領の署名を待って、法律として発効する。
(2018/1/10 RTI)
RTIは「Radio Taiwan
International」台湾中央放送局のこと。「台湾旅行法」を具体的に見ていきましょう。
台湾旅行法(Taiwan
Travel Act)は、米下院外交委員会の共和党/民主党議員・ロイス委員長によって1月に草案が提出され、6月に下院外交委員会アジア太平洋小委員会、10月には同外交委員会を通過していました。それが今回下院で“全会一致”の可決となり、今後、上院で可決されトランプ大統領が署名すれば法案が成立します。
この法案は宮崎正弘氏の表現を借りれば“すごいニュース”です。
①米国の全てのレベルの政府関係者による台湾訪問および対等な行政レベルにある台湾の政府関係者への訪問を解禁する。
②台湾の政府関係者の尊厳を守る原則の下、台湾の政府高官の訪米および国務省や国防総省を含む米政府高官との対面を解禁する。
③米駐在の台湾の代表機関、駐米台北経済文化代表処および台湾が
設置した全ての機関による米での正式な活動を奨励する。
この法案の凄いのは、分かりやすく言えば、蔡英文総統を国家元首としてホワイトハウスに迎え入れることも可能になるということなのです。
米国は、昭和54(1979)中華民国と国交を断絶し、台湾関係法を施行して以来、双方の高官の相互訪問を規制してきました。それを大転換し、台湾を、一地域、チャイニーズ・タイペイ、中国台湾省ではなく、実質的に、ひとつの独立した国家として扱おうとするものです。驚くべき転換と言わねばなりません。そして、これが全会一致ですから、共和党も民主党も、台湾を支援することを明確に示したことになると考えられます。これがビッグニュースでなくて何をビッグニュースと言うのでしょうか。
さらに、米国政府が台湾の国際的地位を促進し、地域の平和と安定を確保することを目的とした「台湾安全法」(Taiwan Security Act)も審議されていることにも注目したいと思います。
また、下院は同日、台湾が再びWHO(世界保健機関)にオブザーバーとして参加できるようにするため、アメリカの国務長官に対して、対応を検討するよう求める決議案も可決しています。(台湾は蔡英文総統の就任後、中国大陸の妨害を受け、招待を受けられていないのです)
ところで、米国の両議会が台湾を正当に扱おうとする法案を可決したとしても、はたして、トランプ大統領は署名するでしょうか。楽観はできないと思います。その理由は…。
・トランプ大統領の外交顧問であるキッシンジャー(94歳・ニクソン/フォード大統領の時の国務長官・安全保障担当大統領補佐官)は、ユダヤ人ですが、どういうわけか親中、超反日の大物であり、中華人民共和国(中共・中国)寄りの政策を進言する可能性があるのではないでしょうか。
・「習近平政権がいよいよ台湾統一に向けた攻勢を強化してきた。“踏み絵”…外資系企業に対し、台湾、香港、チベットを“国扱い”していることに対して、謝罪を要求し、今後国扱いさせないことを確約させている」
「中国外交部は定例記者会見で“香港、マカオ、台湾、チベットが中国の一部であることは客観的事実であり国際社会の共通認識。中国に進出する外国企業は、中国の主権と領土の保全を尊重し、中国の法律、民族の感情を尊重してもらわねばならない”と改めて企業に対するイデオロギーチェックの必要性を強く打ち出した」
「中国の元中央党校機関紙・学習時報編集者の鄧聿文によれば、中国は2020年に台湾を武力で統一する可能性がある、と改めて指摘している」
(この項 1/17日経ビジネスonline福島香織女史論稿より)
という具合に、キッシンジャー、習近平ともども手ごわい相手であり、台湾もよほど上手く立ち回らないと足をすくわれそうで心配です。
台湾の動向はわが日本にも密接な影響があります。マスコミは真のマスメディアとして公平に幅広くニュースを選んで報道してもらいたいものです。何はともあれ、台湾を心より応援します。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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