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2018年1月12日 (金)

“大相撲暴行事件”…問題の本質を見失うな!

 620回目のブログです

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 “いづかたに ながれゆきても にごりなき
 
          清水を人の こころともがな”
 
              明治天皇御製(明治45年) 

 どのような方向に流れて行ったとしても、濁りのない真清水のように、人のこころもそうありたいものである…。

 

 明治天皇の御製を心静かに拝読しますと心が清らかになるような気がします。上に掲げた御製の意味するものは、まさしく大御心(おおみこころ)を示しており、わたし達も濁りの無い清水のような心を持つようにつとめなければと思わざるを得ません。

 

 ところで、わが国の伝統を誇る儀式を伴った競技である“大相撲”の世界においては、昨年11月、複数の横綱がからむ「暴行事件」が発生し、それが今年の正月まで延々とマスメディアを騒がせ、混迷と混乱の坩堝となっていました。

 

 今でも、根本的な問題は全く解決しておらず、まだまだ騒動が続きそうで、日本相撲協会も濁りに濁った組織を脱却できているとは到底考えられません。人の心の源泉は清らかなものであり、はやくそこに戻り心を清らかにして、対策を講ずる必要があるのではないでしょうか。

 

 ここに、経過と処分、問題点の本質を考えてみましょう。

 

 【暴行事件】

 

 モンゴル出身力士の二次会において、横綱・白鵬が平幕・貴ノ岩を説諭中に、貴ノ岩が彼女からのスマホを操作したことに対して、横綱・日馬富士が激高、謝罪させようと平手で多数回、カラオケのリモコンで頭を数回殴った。貴ノ岩は頭を医療用ホッチキスで10針縫う大けがを負った。(日本相撲協会・危機管理委員会発表)

 

 【処分内容】

 

 加害者  日馬富士(横綱) 引退相当(※既に引退していた)
 
     伊勢ケ浜親方  理事辞任(役員待遇へ降格)
 
     白鵬(横綱)   1月給与100%・2月給与50%カット
 
     鶴竜(横綱)   1月給与100%カット

 

 被害者   貴ノ岩(平幕) 九州場所前頭8枚目→初場所十両3枚目
 
            (初場所全休でも春場所は十両に置く)
 
     貴乃花親方  理事解任(役員待遇へ2階級降格)

 

 協 会 八角理事長   3ヶ月給与返上

 

 ●鳥取簡裁は4「傷害罪」で略式起訴された元・日馬富士関に
               罰金50万円の略式命令を出した。

 

 事件もさることながら、この処分についてはかなりの違和感を持ちます。以下に感想を記したいと思います。

 

 テレビでは連日連夜、この大相撲暴行事件を報じており、食傷気味でしたが、どれを見ても歯切れが悪く、腑に落ちないものを感じざるを得ませんでした。それは、コメンテーターのほとんど全てが相撲記者、相撲評論家であり、相撲協会の現行体制寄りの発言であったことによるもの。まあ、相撲および相撲協会が飯の種であり保身上仕方ありませんが、テレビ局の報道サイドとしては、一方に偏らないようバランスのとれた報道にすべきだったと思います。

 

 大相撲暴行事件は単純な問題です。これはあきらかな暴行事件であり、それ以上でもそれ以下でもありません。無抵抗の相手に素手(…とはいっても力士の手ですから準凶器というべきもの)と、リモコンという固い凶器を使って頭に10針()縫うまで殴り続けたのですから。これは暴力そのものであり、完全に“違法行為”です。

 

 神様の領域を意味する注連縄(しめなわ=横綱)をつけ、人格、実力ともに普通の人よりも格段に優れていると認定された横綱が、こんな違法行為をするとはもっての他と言わざるを得ません。

 

 この暴行事件を掘り下げてみましょう。問題点は2つあると考えます。ひとつは、日馬富士が貴ノ岩を強烈に殴っていた間にも、モンゴル・横綱・白鵬やモンゴル・横綱・鶴竜らがほとんど傍観視していたことであり、これはまさしく『密室の集団リンチ』とも言うべき恐るべき行為ではないでしょうか。

 

 もう一つは、以前から指摘されている『八百長』八百長とは、相撲や各種の競技などで、一方が前もって負ける約束をしておいて、うわべだけの勝負をすることであり、 真剣勝負(ガチンコ)ではないことで、相撲の場合は「無気力相撲」とも呼ばれています。

 

  モンゴルの出身者だけで集まれば、相対する部屋であることも希薄化し、星の貸し借り、すなわち八百長の温床となる可能性が高くなることは必然。元野球選手の長嶋一茂氏は、日馬富士暴行事件の舞台となった「モンゴル会」について、敵同士となる力士たちが懇親会を開くことに「野球界ならあり得ない」と首を傾げています(11/18 ディリースポーツ)。何とも暗~い闇を感じてしまいます。

 

 ところが、処分結果を見ると吃驚仰天。支離滅裂、無茶苦茶。「石が流れて木の葉が沈む」とはこのことを言うのでしょうか、まさしく加害者と被害者が逆転、あまりにもバランスを欠いています。

 

  普通の神経ならば、加害者側に重い罰が下され、被害者は同情されるだけのはずです。加害者・日馬富士は相撲界追放、伊勢ケ浜親方は理事解任、白鵬は3場所出場停止、鶴竜は1場所出場停止、被害者・貴ノ岩は現状番付のまま(前頭8枚目)、貴乃花親方は口頭注意までが妥当ではないでしょうか。

 

  特に、直接強烈な被害を受けた貴ノ岩関が平幕から十両へ降格なんて、どう考えても異様、異常としか思えません。たとえば、企業で、他部の本部長から理不尽に頭を割られるほど殴られ肉体的にも精神的にも傷つき、3ヶ月休まざるを得なくなり、身体が一応健康になって出社したら、係長から主任、それも下位の主任に降格していたのと同じです。一般の社会では、そんなことは逆立ちしてもあり得ません。

 

 問題の本質がズレているのです。理事会、評議員会、危機管理委員会などの日本相撲協会とメディアは、相撲界の「暴力行為」から目を逸らし、貴乃花親方一人の「理事適格問題」に矮小化、変質化させようと蠢いていることが問題だと考えます。

 

 ネットでは貴ノ岩はアイスピックで刺されようとし、殺されるとの恐怖に慄いたことが情報として流されており、それが事実とすれば、貴ノ岩関はトラウマ(心的外傷)に罹っているとも考えられます。大変な事態であり、まだまだ真相は解明されていません。

 

 理事会も、評議員会も、危機管理委員会も、臭いものに蓋をすることなく、正しく清らかな道を歩み、相撲界にはびこる“暴行体質”“八百長疑惑”を根絶する根本的な対策を講ずることが本筋ではないでしょうか。

 

  たとえば、モンゴル会の禁止や暴行の厳罰化など、いくらでもあるはずですが、今回の事件があっても、改善への諸対策が聞こえてきません。マスコミも全く同罪であり襟をただすべきことは言うまでもありません。

 

 相撲は伝統ある神事でもあります。日本相撲協会は正しい道を歩まねばなりません。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

喫緊の政治問題ではないが、今回の事件に対する大手マスコミの報道(新聞・テレビ)に改めて失望した。これは森友・加計問題での空騒ぎや、かつての教科書書き換え問題や「従軍慰安婦」などの捏造騒ぎと同種の問題だが、立場の異なるマスコミ媒体まで同種の悪臭を放ったことに驚く。筆者指摘のように、相撲界で最も重視すべき改善点は、1に八百長根絶、2に暴力追放だったはずだが、結果は八百長問題を全く無視し、暴力追放の件では、明らかに白鵬を番長とした同郷(同国)の力士による後輩へのリンチ事件であるにもかかわらず、そこにも踏み込んでいない。そして「国技」として最も問題にすべき、神事としての相撲の品位については宗教に絡むと考えてか、どのマスコミも一切触れなかった。だが大相撲は神事と大いにかかわりがあるが故に神社での奉納があり、横綱は「注連縄」を張って大地に四股を踏むのである。結論として、現在の相撲協会執行部も横綱審議会等も、大相撲の何たるかを知らない、そのことにも唖然とする。事件の現場にいた横綱は初場所出場停止にすべきだったが、外部からの名士らしき委員も噴飯者である。本質を意図的に無視した執行部は総辞職すべきだ。

投稿: 齋藤仁 | 2018年1月12日 (金) 08時42分

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