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2018年2月16日 (金)

“民意”とマスコミ…名護市長選をめぐって!

 625回目のブログです

20182161

“吹きくれば 香をなつかしみ 梅の花 ちらさぬほどの 春風もがな”
 
             源時綱(平安中後期・詞花和歌集) 

 風が吹いてくると、かすかに梅の香がして、もっと嗅いでいたくなるので、風は吹いて欲しいのだが、風が吹けば花は散ってしまうであろう。だから、梅の花を散らさぬ程度の微かな春風であったらいいのだが…。

 

 まだまだ寒い日が続きますが、関西の梅の開花情報を見ると、どの梅林も「つぼみ」「咲き始め」「五部咲き」といった具合でこれからが見ごろを迎える頃合いではないでしょうか。

 

 世の中が、内外ともにささくれだっているとすれば、今年くらいは梅林を観賞し、心に余裕を持ちたいものと考える今日この頃です。

 

 さて、先日24日、沖縄県の名護市で市長選が行われました。普天間から辺野古への飛行場の移設をめぐり、賛成、反対の両陣営が、国政レベルの支援のもとに壮絶なバトルを繰り返しましたが、市民は辺野古移設問題と生活問題などを総合的に判断し、安倍政権の支援を受けた新人が移設拒否の現職を破る結果となりました。

 

 【沖縄県名護市市長選】

   当  渡具知 武豊 20,389票 (54.6%)
       (自民・公明・維新推薦―新人)
   落 稲嶺 進     16,931票 (45.4%)
       (民進・共産・自由・社民・社大推薦、立民支持―現職)

 今回の選挙で投票先を決めるポイントは、普天間飛行場の移設問題、地域振興策が上位に並び、経歴と実績、支援する政党や団体などが続いていました。

 そして、驚くことに、投票率は76.9%でしたが、期日前投票が44.4%、当日投票が32.5%となり、当日投票よりも期日前投票の方が多いという、何とも珍しい選挙だったことです。

 

 この原因は、基地移転問題で市外、県外からの支援部隊などの過激な応援により激闘を繰り返している政争が「投票日に静かに投票する」雰囲気と真逆であり、あまりにも騒々しすぎたことが挙げられます。当日投票を避けた選挙民の気持ちは十分理解できます。

 

 さて、名護市市長選の戦前の予想はどうだったのでしょうか。現地マスコミの記事を引用してみましょう。

 

 投票日の1週間前の朝日新聞と琉球朝日放送が実施した情勢調査では、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に「反対」が63%で、「賛成」の20%を大きく上回っていると報道。

  また、移設に反対し現職の稲嶺市長を支援する沖縄県の翁長知事を「支持する」が54%で、「支持しない」の23%を上回っていると紹介。

  いずれにしても、移設反対の現職市長が圧倒しているとの雰囲気の記事でした。

 

 ・同様に、琉球新報社と沖縄タイムスと共同通信社の世論調査から。辺野古移設阻止を掲げる翁長雄志知事を「支持する」「どちらかと言えば支持する」を合わせて65%、一方、移設を進める政府の姿勢を「支持する」「どちらかと言えば支持する」は27.9%だった。と報道し辺野古移設阻止勢力の強さ印象づける記事です。

 

 いずれにせよ、戦前のマスコミの予想は、名護市辺野古への基地移転反対の現職市長・稲嶺進氏の勝利、というよりも圧勝のはずでした。

 

 ところが、ふたを開けて見れば、まさかの逆転、敗北。マスコミの落胆たるや目も当てらないほどです。要するに、選挙前の市民の意識を素直に、冷静に読んでいなかったと言えるでしょう。ここでも【トランプ現象】(広い意味でのフェイクニュース)を見ることができます。

 

 これは、トランプ大統領が選ばれた時の、マスコミの捏造、印象操作、出鱈目さ、不誠実さや、安倍総理が総選挙で圧勝した時のそれと、通底(ある事柄や思想などがその基本的なところで共通していること)しているのではないでしょうか。

 

 時代は動いています。国民の意識、市民の意識もいつまでも同じではありません。ITの世界が情報をより広く、より早く、より深く、提供するようになって来ており、SNSなどの発達で、国民も「真実」という宝と不断に接することにより、マスコミのバイアスのかかった報道に距離を置こうとする動きを見せていることを注視しなければなりません。

 

 すなわち、現代の日・米のマスコミは、自らのイデオロギーに固執して、現実の選挙民の意識を確認せず、また、確認する手段を開発していく努力もせず、従来通りの不確実な手法により調査した予測数字が、選挙結果という事実に裏切られることになったのです。

 

 しかしながら、マスコミの視点は全く別の所にありますから、いかにも面妖、異様、異常と言わねばなりません。彼ら、マスコミのご高説を聞いてみてください。

 

  「名護市長選の陰の勝者は、安倍政権だった。
  そ
して陰の敗者は、この国の民主主義だった。」
     
(沖縄タイムス 25日 【記者の視点】)

 

  「名護市長選 民意は一様ではない」
         (朝日新聞 26日 【社説】)

 何とまあ、どういうことなのでしょうか。「選挙」というものは、ルールに基づいて、その時の民意を代表する者を選ぶことではないのでしょうか。今回の名護市長選はいろいろな対立事案(辺野古への移設・産業振興など)があるなかで、当然、市長に相応しい人物かどうかをも含めて、それらを綜合的に判断し、投票した結果の当選者に市政の舵取りを任すことにほかなりません。

 

 それを、選挙結果が気に食わないからという理由で、この選挙が民主主義ではないと言うことはこの新聞社の無知を表わしているようなもの。

 

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、中華人民共和国(いわゆる中国・チャイナ・シナ)を見てごらんなさい。前者は金正恩という個人独裁、後者は中国共産党という1党独裁、これらの国に自由で民主的な選挙というものがありますか。目を良く開いて冷厳な事実をみるべきではないでしょうか。それができないとすれば、これらマスコミは、不遜で冷酷無残なイデオロギー人間の集合体であり、いよいよ断末魔の声を上げようとしているのではないかと思えるほどです。

 

 選挙結果を素直に認めましょう。

 

 さいごに、私は、マスメディアとマスコミを次のように分けて使っています。

 

   【マスメディア】:それなりに敬意を払う場合
 
【マスコミ】  :多少揶揄的な雰囲気で使う場合

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

おはようございます。インターネット情報空間では、「マスゴミ」表記が既に一般化。過半の既存マスコミに対する国民の信頼は昨年(2017年)崩壊。今年も真摯な反省無いまま、自壊の道を歩んでいます。

投稿: 野中志郎 | 2018年2月16日 (金) 10時43分

野宗先生

何時も素晴らしい共感の持てる論調ありがとうございます。
古江拝

投稿: 古江常太郎 | 2018年2月16日 (金) 09時59分

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