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2018年2月23日 (金)

強大化する中国…その圧力と工作!

 626回目のブログです

20182292

 “春の夜は 軒端の梅を もる月の 光も薫る 心地こそすれ”
 
                藤原俊成(千載和歌集)

 

 春の夜は、軒端に芳香を放っている梅の木の、その間から漏れてくる月の光さえも、梅が薫るような心地がするものよ…。

 

 さすがに和歌の名手・藤原俊成。垢抜けした優雅で美しい幻想の世界を詠っています。

 

 今は可憐で美しい梅の花を愛でる時ではありますが、それもつかの間、それを過ぎれば淡い色のなかにも華やかさを誇る桜の花へ変わって行くのが四季の流れというものです。この美しい自然をゆったりとした気分で観賞する日々を持ちたいと思うものの、世の中の流れ、世界の動向、特に近隣の厳しい情勢を見るにつけ、落ち着いた気持ちも萎えてくる今日この頃です。

 

 そこで今、東アジアで最も注視しなければならない中国(中華人民共和国)について考えてみたいと思います。

 

平成27(2015)アメリカの有力調査機関Pew Research Centerの中国に関する調査に注目しましょう。(一部抜粋)

 

   【中国をどう思うか】

 

             好き     嫌い
 
     日本      9(%)  89(%)
 
     ベトナム   19     74
 
     インド    41     32
 
     韓国     61     37
 
     パキスタン  82      4 

      ロシア    79     14
 
     ドイツ    34     60
 
     イギリス   45     37
 
     フランス   50     49
 
     アメリカ   38     54
 
     カナダ    39     48

 

     【中国は自国民の個人の自由を尊重していると思うか】

 

             はい     いいえ
 
     日本      3(%)  93(%)
 
     ベトナム   34     53
 
     インド    29     36
 
     韓国     15     81
 
     パキスタン  65     20
 
     ロシア    52     28
 
     ドイツ     6     92
 
     イギリス    9     82
 
     フランス    7     93
 
     アメリカ   11     84
 
     カナダ     5     86

 この結果を見ると、日本人は隣国を圧迫する中国を基本的に嫌っており、人権無視の弾圧国家と認識していることは明らかです。その数字も半端でなく「中国を嫌い」が89%「中国は自由を尊重しない」が93%…何とも驚くべき数字です。

 

 そうであるにもかかわらず、わが国の政治家やリベラルサヨクに、極めて多くの親中派、媚中派が存在することに驚きを隠せません。

 

 たとえば、元中国大使(伊藤忠商事元会長)丹羽宇一郎氏は著書で「日本人の中国嫌いは世界でも異常だ。現代の日本人は狭量すぎる。先の戦争で、中国共産党は勝者であり、日本は敗者。歴史は勝者の歴史であり中国の歴史観との違いを認めるべきだ(「戦争の大問題:それでも戦争を選ぶのか」H29東洋経済)との趣旨を述べています。

 

 要するに、中国との争いは避け穏やかに対処すべきだということでしょう。丹羽氏は、日本は中国の属国になって生きていくべきだとの考えを持つ人物であり、中国の人権弾圧については、中国の事情があるのだろうということで批判はしません。とにかく、日本国民の思考に異を唱える親中派サヨクです。わたしにはどうにも理解できません。

 

3月の全人代(全国人民代表大会)でおこなわれる憲法改正案が先月中央委員会第2回全体会議で可決されました。5回目の憲法改正。内容は未公開ですが「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」が盛り込まれ、毛沢東時代のへ文革憲法への先祖がえりと共産党独裁を規定し党治=法治を明確化するのではないかと報道されています。

 

そうなれば、いよいよ、中国の行動は、圧力と工作で外国の意見を操る「シャープパワー」として激しさを加えていくはずです。(1)破壊活動、(2)弱いものいじめ、(3)圧力を自在に組み合わせ、豊富なカネを使い影響力を発揮するに違いありません。もうすでにそんな状態ですから、これからはさらにスピードアップとグレードアップがなされると予測されます。

 

 (その対策としては、①スパイ活動防止策、②法律の整備、③メディア・大学などの外国マネーの排除と真の独立が必須となります。)

 

昨年1120日東京の人権財団で中国民主化を目指す「諸民族青年リーダー研修会」が催され、バノン元米国大統領首席戦略官が講演しました。驚くべき内容を引用します。

 

 【中国の覇権拡大に向けた3つの戦略】

 

 (第1)21世紀の全世界の製造業において中国が支配的な地位に立つ為に、シリコンチップの製造、ロボットの製造、AI(人工知能)といった10の産業分野で2025年までに世界的優位に立つという戦略。今後8年以内にそれを実現しようとしています。

 

 (第2)「一帯一路」の交易を通じて、経済的、文化的、政治的な影響を与えるという戦略。この構想は、世界を「ランドパワー」(大陸勢力)と「シーパワー」(海洋勢力)とに分け、そのいずれにおいても中国が覇権を握ろうとするもので「一帯一路」構想とは中国の覇権拡大に向けた地政学的戦略に他なりません。さらに、「一帯一路」が中国と中東とを結び付けた場合、イスラム原理主義の危険な国々と中国とが連携する危険性がある事を指摘しておきます。

 

 (第3)欧米諸国が中国に制裁を課すことが出来ないレベルになるまで金融操作を発展させ、人民元が米ドルに取って代わるという戦略。

 

 バノン氏は、また、これまでアメリカのエリートたちは「もし中国が経済的に発展したら、中国は市場を尊重した自由な民主主義国になる」と信じてきたが、結果は全く逆であり「中国はパートナーではなく敵であることに気付け」と警告しています。

 

 バノン氏の認識は、このブログで以前紹介した『China 2049―秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』(日経BP社)著者のマイケル・ピルズベリーの認識と同じです。それは、中国が中国共産党革命から100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治の覇権をアメリカから奪取することを目論み、現状、アメリカが深く静かに着々と中華人民共和国に浸食されている実態に気づけというものです。

 

 それにしても、中国の世界覇権をにらんだ長期戦略は侮れません。さはさりながら、一部の親中リベラルサヨクの人達を除いて、日本人が中国共産党のあらゆる言動に理解を示すことができないのは、基本的に文明・文化が異なっている考えるべきなのではないでしょうか。

 

 中国は中華文明、日本は日本文明であり、価値観の色合いは根本から異なります。日本は、自由・民主主義・人権・法の支配という西欧文明の流儀に共鳴していることを認識し、その真逆を歩む中国とは一定の間合いを置くことを基本としなければならないように思えてなりません。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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