安倍政権はどうなる…「青木の法則」から判断する!
636回目のブログです
“ 守成は創業よりも難し”『唐書』
何事であっても、物事を新しく始めることは容易ではあるが、すでに出来上がっている事を引き継いで、衰えないように守っていくことは難しいものだ…。
「創業」とは、孟子にある言葉で、業を創めることであり、「守成」とは、築き上げたものを守り続けていくこと。唐の太宗が側近に「帝王の業は創業と守成と、どちらが難しいか」と尋ねたときに、房玄齢は「創業が難しい」、魏徴は「守成が難しい」と答え、
それに対して太宗が「創業の難事は過去のこと。今は守成の難事に当たろう」と答えたという故事に基づくものです。
組織や権力を維持することはなかなか難しく、とてつもない努力と戦略と、ある意味では運さえも必要かも知れません。
組織は順調であればあるほど陥穽(かんせい/落とし穴)に嵌りやすく、今回の安倍政権をめぐるゴタゴタはまさしくそれを示しているのではないでしょうか。
今や、わが国の政治は、風雲急を告げる国際情勢には、見ざる、言わざる、聞かざる、三猿の姿そのままに、まったく上の空で眼中になし。まさしく政局only、安倍内閣を倒すことだけで駆け引きが行われているように思えてなりません。
確かに、政官界に於いては、森友学園小学校建設、加計学園獣医学部新設、自衛隊日報報告、働き方改革虚偽データ、財務省事務次官セクハラ、など緊張感のない場面が続出し、あわせて、それに対処する政権側の真摯さを欠く姿が見えてきます。
安倍政権を倒すことが使命だという朝日のようなマスコミもありますから、テレビや新聞、雑誌だけを見ておれば、安倍政権は、支持率ガタ落ちで青息吐息、崖っぷちで明日にも倒れ、谷底に落ちてしまうような雰囲気でもあります。
それが、果たして真実なのか、あるいは印象操作なのかを見分けるために、国民の意識実態がどうなっているのかを冷静に分析していきましょう。メディアは毎月、定期的に世論調査(内閣支持率・政党支持率・他)を行っておりそれを参考にします。
まず注目すべきこととして、内閣支持率と政党支持率に関しては青木の法則というものがあります。元・官房長官/自民党参議院議員会長の青木幹雄氏が唱えたもので、長い政界の中で把握した“政局の経験則”と言われているものです。
【青木の法則】
内閣支持率と与党第1党の政党支持率のふたつを足した数値
が、50を下回った場合に政権が倒れる。
【青木率】
内閣支持率と与党第1党の政党支持率のふたつを足した数値
のこと。
【安倍内閣:青木率】
内閣支持率 |
自民党支持率 |
青木率 |
|
共同通信 |
42.4 |
39.1 |
81.5 |
読売新聞 |
39.0 |
37.0 |
76.0 |
産経新聞 |
38.3 |
36.0 |
74.3 |
NHK |
38.0 |
35.4 |
73.4 |
TV朝日 |
29.0 |
37.6 |
66.6 |
時事通信 |
38.4 |
25.3 |
63.7 |
(単位:内閣支持率・自民党支持率は%、青木率はポイント)
これは4月度の各社世論調査の結果から引用しました。若い人達が圧倒的にスマホをつかっており、従来の固定電話だけの調査では実態を把握できないため、ごく最近、やっと、固定電話+スマホで調査するようになっています。
それにしても、各社の調査結果にこれほどバラツキがあるとは。最高と最低の数字の差が、内閣支持率で4.0%、自民党支持率で13.8%もあるのですから。色々な理由があるのでしょうが、内部告発の容易な時代ですから、昔のように、決して鉛筆を舐め舐め数字を触ることだけはしていないと思っていますが…。
ザッと眺めて、倒閣ラインと言われる「50」に至るには、まだまだの感がします。注目の青木率は、最高ポイントの共同通信では81.5もあり、最低の時事通信でも63.7もありますから。
今後、50を割るケースを考えれば、自民党支持率は最低でも25%あるでしょうから、内閣支持率が25%を切る場合が考えられます。それは、今以上の大事件が生じた時以外はありえないと思います。
現在、安倍政権が支持率を下げているのは、国民がマスコミの報道により政権に対して何かモヤモヤしたものを感じているからではないでしょうか。
その証拠に、リアリズムに徹さざるを得ないわが国の経営者(中堅・大企業)の意識は、安倍首相支持が圧倒的です。わが国マスコミとは異なる視点からの調査をごらんください。
■ ロイター企業調査:
安倍首相続投「望ましい」73%、安定重視
ロイター企業調査によると、安倍晋三首相が自民党総裁に3選されることが望ましいとの回答が7割を超えた。国民による政権への信頼は低下しているものの、企業にとっては政権安定によるアベノミクス継続が事業活動にプラスとの考えが勝っている。
一方、首相の3選は望ましくないとする回答も27%あった。
この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業542社を対象、回答社数は220社程度。
野党への期待は極めて低い。「世の中が大きく動こうとしている時に、モリカケ問題だけに固執する野党、マスコミのあり方にも問題がある」といった見方がある。
(2018年4月23日ロイター一部抜粋)
安倍首相を信任するのか不信認するのかにおいて、企業経営者は、ここ数年の為替円安や雇用の向上など、景気が浮揚しつつあるとの実感を背景に、ある意味でリアリズムに徹した反応を示していると判断します。
もちろん、政治は経済だけではなく、外交や憲法、財政、金融、教育、人口、移民、医療、そして最も重要な先端科学技術の振興、そして忘れてならないのが国民精神の涵養などなど、ありとあらゆる課題が山積していることを認識しなければなりません。
その意味で、国政を預かる政治家(選良)には、私を捨て去り、公のために力を尽くしていただきたく、その意識の高い政治家に内閣総理大臣の大役を担ってほしいと願うばかりです。安倍総理の続投か交代かは、その観点から判断すべきだと考えます。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
青木の法則を教えて頂き感謝申し上げます。更なる安定政権を願います。
投稿: 安見 隆雄 | 2018年5月 5日 (土) 08時20分