世界最大の債権国・日本…大胆な政策を!
641回目のブログです
“弱体の国家は、常に優柔不断である。
そして決断に手間取ることは、これまた常に有害である。
このことについては、私自身確信をもって言える。
国家活動において、物事を曖昧にしておいたことが、
フィレンツェ共和国にとっていかに有害であったか
私自身が体験した事であったからだ。”
(マキャヴェッリ・伊ルネサンス期の政治家)
6月に入り、初夏を通り越して盛夏ともいうべき暑い日々が続いています。そんな時、国際政治ではメトロノームのように情勢が多きく振れているため、著名な識者もなかなか予測がつかないようです。
いよいよ、米朝首脳会談が行われる手はずになっており、安倍内閣は、それに関連する当事者として、耳をそばだて、目を皿の如く注視しているのではないかと思われます。
一方、大方の野党およびリベラルサヨクのマスコミは緊迫する国際情勢には目をつむり、相変わらずモリ・カケという内輪の問題に執心のご様子。米朝会談の進展はわが国にとんでもない影響を及ぼすことは確実であり、その対応について、すべての政治家が、みずからの使命として、真剣に議論しなければならないのではないでしょうか。
わが日本国は、世界の中で、まだまだ経済では、押しも押されもせぬ大国であることを認識し、それを背景に政治の局面で“渾身の力”を発揮してほしいと願うものです。
とは言うものの、マスコミや識者には、わが国が、大国から中堅国へと弱体化の道を歩んでおり、将来には悲観あるのみとの言説を唱える人が多く存在しているのは確かです。ここでは一つの観点からそれが事実、真実かどうか考えて見たいと思います。(5月25日発表された「本邦対外資産負債残高」財務省などを参考にします)
【本邦対外資産負債残高】(平成29年<2017>末現在)
(資産) (負債)
直接投資 175 直接投資 29
証券投資 463 証券投資 378
金融派生商品 34 金融派生商品 34
その他投資 198 その他投資 244
外貨準備 142
(資産合計) 1,012 (負債合計) 684
(純資産合計) 328
※単位:兆円
日本経済は良くなってきてはいますが、財政状況の劇的な好転は見込めず、マスコミやエコノミストの中には、日本経済は明日にも破綻するとの論を説いている人が大勢います。それにもかかわらず、為替市場においては、相変わらず「安全資産としての円」が求められているのです。その要因の大きなひとつが、上記の対外純資産が健在であり27年間も世界最大だということを認識しておきましょう。
【本邦対外資産負債残高の推移】
(資産) (負債) (純資産)
平成24年末 659 360 299
25 ∥ 798 472 326
26 ∥ 942 579 363
27 ∥ 950 611 339
28 ∥ 986 650 339
29 ∥ 1,012 684 328
※単位:兆円
推移を見ても、対外純資産が堅調であることはわかります。
【対外純資産】(平成29年<2017>末現在)
(上位3ヶ国)
①日本 328(兆円)
②ドイツ 261
③中国 205
2016年は、ドイツと中国がほぼ同じでしたが、2017年末にはドイツは中国を蹴落とし、日本を追い上げる勢いを増しています。
【円/USドル 為替レートの推移】
平成24年(2012) 79.8(円)
25年(2013) 97.6
26年(2014) 105.9
27年(2015) 121.0
28年(2016) 108.8
29年(2017) 112.2
30年(2018) 108.0(1月~5月平均)
為替の変動も、第2次安倍政権(平成24年末発足)の金融政策から円安になってきましたが、今年はどうやら円高の傾向を迎えてきています。
ところで、わが国では、財政収支における赤字が声高に指摘されます。国際的にはどうなっているのかということに目を向けてみましょう。
【財政収支の国際比較】(2018年 対GDP)
アメリカ ▲4.5%(社会保障基金を含む)
日本 ▲4.2 ( ∥ )
フランス ▲2.8 (一般政府ベース)
イギリス ▲2.1 ( ∥ )
イタリア ▲1.6 ( ∥ )
カナダ ▲1.4 ( ∥ )
ドイツ △1.5 ( ∥ )
わが国は一般政府ベースでは▲3.8%となります。それにしても、世界で悪い方の二番手ですから根本的な対策が必要になることは論を待ちません。
財政は大幅な赤字。一方、対外資産残高は世界一。どう考えればいいのでしょうか。単純に考えれば、財政を改善するには、GDPを大きくするか、あるいは財政支出を減らすか、あるいはどちらの政策も追求するかしかありません。
そうであるとすれば、対外資産残高を誇れるうちに、積極的で大胆な政策を講じて成長路線を歩むことが大切だと考えます。もう成長なんて出来っこないという敗北主義は脱ぎ捨てて、新しい時代を創造するのだとの強い姿勢を持つことが求められます。将来人口の減少に怯えるのではなく、それを克服する政策(人口増対策、AI・ロボットなどの産業技術振興、新技術の創生など)を積極的に打ち出すべきではないでしょうか。
そのためにも、あらゆる政策を総動員しなければなりません。ただし、原則を欠いたやみくもな政策はとんでもない結果を招くことを認識し、軸と絆を失いふらふらしている社会から、真の“国家・国民主義”にもとづく豊かで安定した国への展望に沿った政策を採るべきではないでしょうか。たとえば、間違っても、安倍内閣の推進する現在のような原則なき移民政策は採るべきではありません。近い将来に大きな禍根を残すことは間違いありませんから。
わたし達は、もっと自信をもって、経済の成長を含めた将来を語ろうではありませんか。わが国は世界最大の債権国であり、大国ですから、それなりの使命があるはずです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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