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2018年7月20日 (金)

緊張感なき自民党政治家!

 647回目のブログです

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 『いかに美しいものでも、行為によっては醜怪になる。
 
  腐った百合は雑草よりひどい臭いを天地に放つ。』
 
          シェイクスピア(ソネット集)

 連日「西日本豪雨」での被害状況がテレビのニュースで取りあげられていますが、その範囲の広さと甚大な被害には目も当てられません。

 豪雨による被害地域は、死者および安否不明者(合計238人・18日午後11時現在)が生じた府県として、岐阜・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・鳥取・岡山・広島・山口・愛媛・高知・福岡・佐賀・宮崎・鹿児島、というぐあいに、中部地方から九州地方まで、まさに西日本全域となっています。

 

 河川の決壊、水量の激増、山崩れ、崖崩れ、土砂の異常な堆積、などはテレビでの映像を見ると、まさに激甚災害というべきものであり、言葉もありません。そのなかで、警察、自衛隊、消防、役所の方々や、全国から馳せ参じているボランティアの方々の復旧への献身的な働きには、心から敬意を表したいと思います。  

 

 そのような状況下にあって、政治家の振る舞に疑問が投げかけられました。まず、事実関係を明確にしておきましょう。

 

 7月5日午後2時、気象庁は東京と大阪で緊急記者会見を開き、豪雨の広域性と甚大さに警告を発しました。

 

 7月5日夜、赤坂の衆議院宿舎で自民党議員有志の懇親会「赤坂自民亭」が催され、安倍首相、岸田政調会長、竹下総務会長、小野寺防衛相、上川法相ら約50人が出席し、懇親を重ねました。

 

 午後10時過ぎ、西村康稔官房副長官は、この懇親会の和やかな様子の写真をツイッターに添付し「和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を撮り放題!まさに自由民主党」などと発信。

 

 野党側は、この緊急事態到来の可能性が高い折にも関わらず自民党の「宴会」が催されたことに対して、厳しい批判の声を上げ、危機管理意識の低さをあげつらいました。

 

 このことに関して、わたしの考えを述べたいと思います。

 

 5日の夕方はまだ大雨レベルであり、翌日6日河川が決壊するまでのひどい状況になることは誰も予想できなかったのであり、懇親会自体に問題はありません。これが6日であれば大問題でしょう。

 

 災害発生後の結果論で「赤坂自民亭」開催を批判すべきではなく、また、感情的な批判は為になりません。立憲民主党も、5日、手塚仁雄議員の25周年パーティで枝野代表や蓮舫女史らがお酒を飲んでいるのですから、言わぬが花というもの。言うからブーメランで帰ってくるのです。

 

 要は、懇親会が問題ではなく、危機管理体制に問題があったかどうかということではないでしょうか。10日、政府の豪雨非常災害対策本部が行った「コンビニへの物資輸送車両を緊急車両扱いにする」とのスピーディな判断と指示は、今までにない的確な判断だと考えます。コンビニの国内流通での存在感が高い現状を考えてのことですから、素晴らしいと思います。

 

 懇親会・宴会がなぜここまで問題を引きずっているかと言いますと、夜10時の西村康稔官房副長官の“喜々とした”ツイッター発信にあります。西村議員の選挙区のある兵庫県は、豪雨による大災害も懸念されており、懇親会が終了したら、そのことに目を向けなければならなかったのですが、SNSを楽しんだのです。楽しんだとしか言いようがなく、まさしく「想像力の欠如」「共感力の欠落」「精神の弛緩」以外の何ものでもありません。実際に13万人の避難勧告が出たのですから。

 

  近年、安倍総理を含む政治家が、SNS(Social Networking Serviceインターネットや携帯回線を通じてオンライン上で不特定多数の人が交流をはかるサイトの総称・ツイッター/フェイスブック/インスタグラム/LINEなど)を通じて短文(ショートメッセージ)を発信していますが、あらためて考え直すべきではないでしょうか。

 

  例えば、ツイッターを見てください。熟慮なき反射的な言葉、激烈な短文の応酬、えげつない言葉の満載、哲学・歴史・文学・教養の欠片も見えない文面。そして何より、断章取義(文章の一部を切り取って自分の都合のいいように解釈すること)の横溢。あまりにも軽い軽~い情報発信であり、真の政治家にとっては、慎重に扱うべきツールだと思います。

 

 最も違和感を持つのは、上川陽子法務大臣です。大臣は翌6日、オウム真理教の麻原彰晃他6名の死刑を執行したのです。(私は死刑論者ですが…)死刑執行の前日は、心が騒ぎ、落ち着かず、例えば精神統一のために古典か宗教書でも読み、こころを落ち着かせようとするのではないのでしょうか。それを、宴会に参加とは、まことに強靭な精神の持ち主だと思わないわけにはいきません。それともかなり鈍感なのでしょうか…。

 

 それにしても、自民党は総裁選挙近くなると内向きになることがよくわかりました。安倍総理が自民党の宴会にまで出席するのは、間違いなく、総裁選を見越し、勝利への万全を期すことが最大の眼目であるとの認識があるからでしょう。そのためには党内若手の議員と膝を交え、一献を交わすことはやらねばならなかったのです。

 

 安倍総理の得意とするところは、危機管理に徹底することであり、普通の時であれば、おそらくは、このような懇親会には出席せず、天災の行方を気にしていたのではないでしょうか。今は、かなり緊張感が緩んできていると見ることもできるのではないかと思っています。

 

 しかし、ここは気を取り直し、真摯に、災害に対処する姿勢を示しました。即ち、11日から18日までの、ベルギー、フランス、サウジアラビア、エジプト訪問を取りやめたのです。

 

 古来、天変地異は、異常、異様な政治に起因すると考えられ、為政者は、天神地祇(てんじんちぎ/あらゆる神々)に深い祈りを捧げる祀りを大切にしてきました。そういう謙虚な姿勢、それが政治にかかわる者、為政者の心構えでもありました。

 

 政治家・リーダーには、このような感性を懐きつつ「まつりごと(政治)に当たってほしいものです。謙虚な姿勢には天も味方してくれるのではないでしょうか。

 

 さいごに。ところで「治山治水」は歴史的に見ても政治の基本。治山治水の予算を見てみましょう。

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  往時の半分以下の予算にしたのは誰ですか。“コンクリートから人へ”の民主党の責任だけではなく、自民党も全く同じです。政治のツケが大災害に繋がっているとも言えるでしょう。もう、公共工事が悪だという幻想からは脱却すべきではないでしょうか。

 世相漫才ではありませんが、責任者出てこい! と言いたくなります。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

「不幸な時にはできるだけしずかにしているのがいい。そして不満の感情はすべて抑えるほうがいい。というのは、こうした出来事のなかにどれほどの善いものと悪いものがふくまれているか、われわれには評価できないからである。また同時に、短気をおこしても何の助けにもならないからである。」プラトン『国家論』第604節より。

投稿: kawaski akira | 2018年7月20日 (金) 12時13分

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