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2018年9月14日 (金)

文系学部入試に数学が必須に…早稲田の狙い!

 655回目のブログです


20189141

“草も木も 色は変われど わたつみの 波の花にぞ 秋なかりける”
 
                文屋朝康(古今和歌集)

 秋風が吹くと草も木も色が変わるけれど、海に立つ波の花はいっこうに色もかえず、秋らしい様子もないことだ…。

 ようやく秋らしくなってきました。それにしても今年は凄まじいばかりの天変地異。豪雨、大型台風、大地震が時を隔てず襲い掛かり、50年~100年に一度の恐怖が日本列島を覆いました。

 

 これからもまだまだ生じるかも知れませんが、もう良い加減穏やかな自然をとり戻してほしいと願うところです。しかし、古来、天の乱れは政治の乱とも言われており、正道に戻るにはかなりの時の経過が必要になってくるかも知れません。まことに残念ではありますが…。

 

 さて、先日、経団連会長が「就活ルール廃止」に言及しましたが、大学の入試もいろいろと変革を模索しているようです。

 

 早稲田大学は、政経・国際教養・スポーツ科学各学部の一般入試改革を発表しました。そのなかで「政経学部」入試で数学が必須になることが注目を浴びていますので、この是非について考えて見たいと思います。

 

 早稲田大学はここ30年で内容が大きく変貌してきています。

 

         (昭和62年<1987>)(平成29年<2017>
 
  無試験入学組    17%       36%
 
  一般入試組     82        59
 
  現役生       29%       69%
 
  浪人生       71        31
 
  女子学生      16%       37%
 
  男子学生      84        63
 
  学費       80.5万円    121.5万円

 

 政治経済学部の一般入試では、従来は、外国語・国語が必須科目、地理・歴史または数学から科目を選び、センター試験の成績は加味されていません。20212月の入試からは次のように改革されます。

 

  【大学入学共通テスト】から100点
 
    ①外国語      25点
 
    ②国語       25点
    数学Ⅰ・数学A  25点
 
    ④選択科目     25点
 
    (地理歴史、公民、理科、数学Ⅱ・数学Bから1つ選択)
 
  【英語外部検定試験】から30点
 
  【学部独自試験】  から70点(日本語・英語の長文読解)
 
    (合計)    (200点)

 

 吃驚。早稲田の政治経済学部の入試に数学が必須でなかったことは全く知りませんでした。文系私学の雄として君臨してきた政経学部は、独特の理念として、文系であれば数学はなくてもよいとの判断を下し、それなりの実力ある卒業生を輩出してきたものと思われます。

 

 それでは、なぜ数学を必須とする入試に変革しようとするのかを考えて見たいと思います。

 

 近年、早稲田大学の政経学部が、一方の私学の雄でもある慶応義塾大学法学部の偏差値で抜かれてしまっている現実があります。過去、文系私学のトップとしての誇りがあり、現況の就職戦線での優位を保つためにも、トップを何が何でも取り戻そうとの願望が強くなってきたのでしょう。数学に強い学生は頭脳も高く、そのためには数学的能力のある学生を選抜しなければならないとの結論を得たと思われます。

 

  報道によれば、経済学系教授は「経済学に数学は必須。せっかくなら数Ⅱ・数Bを必須にすべきだ」と主張。一方、政治学系の教授は「そもそも数学を必須にする必要はない」と反発。双方の妥協で数Ⅰ・数Aを必須化することになったようです。

 

 人類の歴史は、第1次産業革命、第2次産業革命、第3次産業革命(デジタル革命)を経て、今や、世界の戦いの場は、劇的に進行しつつある第4次産業革命です。第4次産業革命は、ロボット工学・人工知能(AI)・ナノテクノロジー・量子コンピュータ・生物工学・モノのインターネット(IoT)・3Dプリンター・自動運転車・仮想通貨などの多岐に渡る革新的な技術を特徴とします。

 

  これらの技術を支えているのが「プログラミング」の世界。そして、プログラミングを根底で支えているのが「数学」です。

 

  したがって、本当の願望は次のことではないでしょうか。

  「早稲田大学の政経学部が社会に送り出すべきは、革命期の世界において、日本の舵取りをする優秀な人材であろう。人間の仕事の半分をAIが代替するような世界において、国や企業が進路を誤らないためには、ワードやエクセルが使える程度のコンピュータ・リテラシーでは全然足りない。AIを怖がらず、自らの『外部脳』として使いこなせるだけの能力が必須なのだ」(サイエンスライター竹内薫氏の論稿より)

 

 早稲田大学の政経学部が、曲がりなりにも「数学」を入試の必須科目にした狙いが、①の慶応大学を凌駕したいという俗っぽい願望か、②の世界をリードする人材(=人財)を輩出したいという崇高な目的か、あるいは①と②の両方かはよく分かりませんが、この変革そのものは素晴らしいことだと思います。

 

 最近思うことですが、テレビでも新聞でも、主要なマスメディアでの論調がいかにも胡散臭い印象操作に溢れていることに驚かされます。隣の半島で展開される情緒的、感情的な議論に徐々に似てきつつあるように思えてなりません。

 

 もちろん、それは一部のことでしょうが、これは、緻密な「論理的思考」を欠いていることが要因であり、その基本にあるのは「数学的素養」が乏しいと言えるのかも知れません。

 

 以前にも小ブログで厳しく批判しましたが、著名なテレビ解説者でさえ、平気で嘘のグラフを作成し、自己に都合の良い印象操作をしているのが現状です。これも数学的素養が乏しいために緻密な論理展開ができないのではないかと思っています。

 

 何はともあれ、早大政経学部の入試改革が良い結果に結びつくことを期待したいものです。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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