ウイグル人100万人強制収容…人権主義者は何を思う!
654回目のブログです
“野辺見れば なでしこの花
咲きにけり わが待つ秋は 近づくらしも”
詠人知らず(万葉集)
野辺を見やると、なでしこの花がもう一面に咲いているではないか。わたしが首を長くして待っている秋はもうそこまできているようだ…。
猛暑、熱暑、酷暑と言われる今年の夏も、自然の流れと言うものでしょうか、遅まきながらも、朝晩は随分と肌に風を感ずるようになってきており、いよいよ秋の到来を予感させるものがあります。(とはいうものの、超大型台風の惨禍には、嘆き以外のなにものもありません)
なでしこと言えば、現代では、サッカーでしょうか。女子サッカーのトップ選手で構成される日本女子代表チームが「なでしこジャパン」の愛称で親しまれていることは周知の通りです。
なでしこ(撫子)は「秋の七草」。秋の七草と言えば万葉集の山上憶良を想い起します。七つの草花を「萩の花
尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」と歌い上げた格調の高さに感動を覚えるのは私だけではないと思います。
日本列島が、今や、まさに秋を迎えようとする時、中華大陸では、やはりと言うべきでしょうか、ナチス・ドイツのアウシュビッツやソ連のラーゲリーを連想させる「強制収容所」の驚くべき存在が報道されました。
■「中国がウイグル族100万人を強制収容」「国連で米委員指摘」
……中国側「完全な捏造」と反論
国連人種差別撤廃委員会で「中国のウイグル族ら100万人以上が新疆ウイグル自治区の再教育施設に強制的に収容されている」と米人権活動家らが指摘し、中国側が「完全な捏造だ」と反論した。
ロイター通信によると、米のマクドゥーガル委員は「新疆ウイグル自治区に大規模な秘密の収容所が存在することを示す報告が数多くある」と懸念を表明。
新華社によると、中国政府代表団は「新疆ウイグル自治区はテロの被害を受けた場所。軽微な罪を犯した者を職業技術教育就業訓練センターで学ばせている。合法的な権利も保障されている」と主張。
(2018.8.14 産経ニュース)
ウイグルやチベットに対する中国(中華人民共和国・中国共産党)の苛烈な迫害は以前から多少は知っていましたが、まさか、こんなに大勢のウイグル人を強制的に収用しているとは、迫害されている方たちを思うと胸が痛みます。
現在、中国(チャイナ・シナ・支那)の辺境自治区は次の通りです。
|
首 府 |
人口(万人) |
面積(日本比) |
新疆ウイグル自治区 |
ウルムチ |
2,200 |
4.4倍 |
チベット自治区 |
ラサ |
300 |
3.2 |
内モンゴル自治区 |
フフホト |
2,500 |
3.1 |
新疆ウイグル自治区は、東トルキスタン(本来は国家・現在は中国の植民地)とも呼ばれますが、世界メディアの取材が中国共産党政府から厳禁されているために、なかなか真実の姿が伝わってきませんでした。
ところが、今年になってから、いろんな情報が流れてくるようになりましたので、それから一部を抜粋してみましょう。(福島香織女史の論稿およびその他から)
・米国の衛星写真で、ウイグル・ムスリム(イスラム教徒のこと)を対象にした強制収容所が急拡大していることが判明した。少なくとも100万人~200万人と推定。
・外国の記者らの取材は2009年のウルムチ事件(死者192人+負傷者1,721人))以来、全面的に禁止されている。
・ウイグル人弾圧を表で問題視し出したのはトランプ政権がウイグル人権問題を対中外交カードとして積極的に活用しようとするもの。
・収容所では、イスラム教の信仰・ウイグル語・男性の髭・女性のベールなど、ウイグルのアイデンティティを放棄させ、共産主義を信じさせようとする「洗脳教育」を行う。習近平主席の子飼である陳全国氏が自治区の書記に登用されてからは、毛沢東語録の暗唱・毛沢東による新疆解放への感謝を唱えることを強要する教育が実施。
・中共のウイグル・ムスリムへの暴虐に対して、あのイスラム原理主義過激派「IS」(イスラム国・ISIL・ISIS)が報復を予告しており、予断を許さない状況である。
・新疆が習近平戦略「一帯一路」の重要拠点であるだけに、人権問題だけでなく、安全保障、覇権戦略に絡んでくることは必至であろう。
中国・チャイナの人権無視の迫害に対して、日本のマスコミはほとんどと言っていいほど報道しません。特にリベラルサヨクは、常に、いろんな場面で、人権、人権と叫び、人権を水戸黄門の葵の印籠の如く高く掲げ、我こそは人権尊重の主だ、下がり居ろうと、上から目線で人権主義者を自称します。
しかし、中国版ホロコーストに対して沈黙を続けているのは、ウイグル人弾圧を容認していることを示していると言わざるを得ません。リベラルサヨクの方々は、もう、人権とか人権尊重とかいう麗しい旗を、こそこそと仕舞い込むべきではないでしょうか。
彼らは、ナチスのホロコースト(大虐殺)には厳しく批判するにもかかわらず、なぜ、中国版ホロコーストには批判しないのでしょうか。これはまさしく二重基準。二重基準の人を知識人とは決して言えません。
彼らリベラルサヨクの根底には「独裁」「共産主義」「儒教道徳下の中国」への“強い憧れ”あるいは“淡い憧れ”が間違いなく存在しています。
独裁や共産主義を選択するのは、自由な精神と穏やかな人間性を欠いているからであり、中国が儒教道徳下にありと思うのは完全な事実誤認。中国は“論語”の世界から真逆のところに位置していると認識すべきではないでしょうか。
もういい加減、人心を惑わす言論を吐き散らすのではなく、普通の常識的な言論を展開してほしいものです。ウイグル人の人権問題については、リベラルサヨクよりも、彼らが大嫌いなトランプさんの方が余程マシだと考えます。
人権主義者に申し上げたい。今日からでも遅くはありません。中国のウイグル民族弾圧に厳しい怒りの声を上げてはいかがでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
チベット自治区では男性の断種(パイプカット)が全ての男性に強制的に行われている。(過日チベット族の人からある講演で直接聞きました)
従わない人間は投獄され暴力的に断種されるそうです
その状況の中で中国人の男性が送り込まれてきて、チベット人の女性と半ば強制的に結婚し子供を作り、民族浄化を展開しているとの事でした。
おびえながら涙混じりに訴えていました。
日本も近い将来そうなる可能性排除できません。
投稿: 成松 | 2018年9月 8日 (土) 00時21分
中国の人権問題が、世界に拡散することは、日本にとっても大きな外交圧力になりますね。全世界のイスラム教徒が、中国の人権弾圧に敏感に反応することにより、対中国包囲網が拡大中と理解しています。23年前、私が天津駐在時、天津市内には回教寺院(回教徒が住んでいる住宅エリア)がありましたが、その後、中国共産党に宗教弾圧を受け続けています。また、当時、天津市内には、遠い昔、ペルシア民族の血を継いだ青い瞳の中国人もいました。当時、中国国内での回教徒(ウルムチ)⇔都市部(天津市)間ので相応の人口移動も体感しています。
投稿: 野中志郎 | 2018年9月 7日 (金) 15時46分
このブログを読んで、思い当たる節があります。
あるウイグル人男性と話した時の、彼の中国に対する強烈な反感です。少数民族政策は、今まできれいごととして報道されていますが、現実の差別と圧迫は凄まじいようです。日本では中国の批判がやりにくい為に報道されることが少なく、報道されても無視される傾向があります。四川地震の時も、チベット系住民が多い地域のインフラ整備が他に比べて遅れていたことが、甚大な被害を招いたとの言われました。
この辺の事情に関しては、静岡大の大野教授(モンゴル)の著書や発言が参考になります。
投稿: 鎌倉國年 | 2018年9月 7日 (金) 09時20分