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2018年11月 9日 (金)

外国人移民激増政策…不誠実極まりない安倍首相の言葉!

 663回目のブログです                 

20181191

“ますらをの 恥を忍びて 行く旅は すめらみくにの 為とこそ知れ”
 
             伊藤博文
(長州藩士・初代内閣総理大臣)

 洋行などは武士として恥を忍んでのことなのだが、これも日本のためであることを知れ…。

 と自分に言い聞かせるべく、長州ファイブとして横浜より英国へ向けて出発した際に詠んだ歌です。長州ファイブは、井上馨(初代外務大臣)・山尾庸三(東京大学工学部開設・初代法制局長官)・井上勝(日本初の鉄道開通・鉄道局長)・遠藤謹助(大阪造幣局長)・伊藤博文(初代内閣総理大臣)の5人ですが、いずれも明治の礎を築いた人物として歴史にその名を大きく残しています。

 

 伊藤博文は、文久3年(1863)、密航による渡英に際して、激動の日本を離れることに躊躇したと思われますが、すめらみくに(天皇御国・皇御国)のためにと自らを鼓舞したのではないでしょうか。

 

 今年は明治150年、明治維新150年、あるいは幕末維新150年とも言われます。歴史をひもとけば、幕末明治の状況は国家存亡の淵にあったと言っても過言ではありません。それを何とか近代国民国家にまで建設した維新の英傑には目を見張る思いがします。

 

 翻って今日、国を背負うという気概を持った政治家がどれほど存在するのか、些か不安な気持ちになってくる事案が目の前に置かれました。11月2日閣議決定された「出入国管理法改正案」がそれです。閣僚のだれ一人として異見も述べず、議論もせず、流れに流され合意したものです。この法案は国の根幹を左右するものとして認識し、その全体像を把握し、全閣僚がひとりひとり、国家のありようをどうするかとの真剣な自問自答を繰り返し、相互に濃密な議論をすることが必要だったのではないでしょうか。

 

 明治維新の時と比べれば、月と鼈(スッポン)、それも時代でしょうか。何はともあれ、外国人労働者、いわゆる移民の問題を真剣に考えてみましょう。

 

 出入国管理法改正案が11月2日 閣議決定しました。来年4月から外国人労働者の受け入れを大幅に拡大し、わが国の人手不足に対処しようとするものです。

 

 【新設する在留資格】
  ・特定技能1号(一定技能) 在留期間通算5年 家族帯同不可
  ・特定技能2号(熟練技能) 家族帯同可能 永住にも道

 

 【受け入れ対象業種】
  ・介護・外食・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造・建設
  ・造船舶用・自動車整備・航空・素形材産業・産業機械製造
  ・電気/電子情報関連・ビルクリーニング

 

 安倍内閣は、日本に移住した外国人労働者(いわゆる移民)について、これまで国民に詳しいことは伝えず、なし崩し的に増加させ、経済開発協力機構(OECD)の統計によれば、平成28年(2016)では、42万人となっており、何と、ドイツ、アメリカ、イギリスに次ぐ第4位となっているのです。

 

 すでに、膨大な数の移民流入があると国際機関が認めているにもかかわらず、安倍首相が移民を否定するのは「移民」の定義が大きく異なっているからに他なりません。見てみましょう。

 

安倍首相(衆議院答弁)
   「深刻な人手不足に対応するため、即戦力になる外国人材を
    期限付きで受け入れるものであり、移民政策ではない」

 

政府答弁(H30/3/9衆議院・移民に関する質問主意書に対して)
   「お尋ねの“移民”や“移民政策”という言葉は様々な文脈で
    用いられており、一概にお答えすることは困難である」

 

自民党政務調査会(2016/5/24)
   「『移民』とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、
    就労目的の在留資格による受入れは『移民』には当たらない」

 

国際移住機関(IOM)
   「理由の如何に関わらず、本来の居住地を離れて国境を越えるか、
    一国内で移動している、または移動したあらゆる人」

 

国連経済社会局
   「移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を
    国際移民とみなす。3ヶ月~12ヶ月間の移動を短期的または
    一時的移住、1年以上にわたる居住国の変更を長期的または
    恒久移住と呼ぶ」

 

 それでは、ここで安倍首相の外国人労働者受入政策についての問題点を指摘したいと思います。

 

安倍首相は、出入国管理法改正案について、頑なに「移民」ではないと強調していますが、これは、摩訶不思議で滑稽です。自民党が言う「入国の時点でいわゆる永住権を有する者」を移民という定義は世界中で日本だけの定義であり、完全に日本国民を愚弄していると言わねばなりません。国際的には1年以上の移住は移民とみなします。安倍首相は、モリ・カケと同じような不誠実な答弁をすべきではありません。この問題は、利権の問題ではなく、国家の基本にかかわる問題ですから、もっと誠実に対応すべきではないでしょうか。

 

安倍政権がすすめる「外国人受け入れ大幅拡大策」は誰が見ても「移民政策」です。この政策が実現すれば、いつまでたっても若者の賃金が上昇しないことは目に見えていると思われます。

 

 人手不足になれば、機械化、IT化、ロボット化、などのあらゆる合理化策を講じなければならなくなりますし、当然のことながら賃金も上がっていくことは、高度成長期で経験済みであり、政治家や経営者は、人手不足はむしろ歓迎、克服すべき課題だと考えなければなりません。これでこそ、産業力、国力が向上するというものです。

 

 それを、安易に、移民(外国人受け入れ)によって解決しようとするのは、目先の局面だけに対応しようとする愚策中の愚策ではないでしょうか。

 

 積極的に移民流入を促すべき対象は、高度技能労働者であり、
単純労働者ではありません。

 

現在、技能実習生のうち7,000人以上が失踪中であり、また、不法残留者は66,000人といずれも激増中であることに留意しましょう。これらが何を誘発するのかについては欧米を見れば一目瞭然、…いずれ治安の悪化に直面することは必定ではないでしょうか。

 

カナダ、アメリカ、英国、フランス、スエーデンなど名だたる先進国家が半端でない移民問題(暴動激発・民族ヘイト・宗教対立・極右隆盛・極左対抗)などに頭を悩ましていますが、それは、国内の問題を移民によって安易に手軽に解決しようとした報いが、今、遅れて来ているということなのです。ドイツをご覧ください。あの強大な政治家メルケル首相でさえも安易な移民政策の失敗により、先日、とうとう首相を降りることを言明せざるを得ない状況になりました。

 

 わが国は、欧米の移民問題に学ぶべきではないのでしょうか。安倍政権は不勉強すぎるとともに、国民に真正面から説明する義務を果たしていないと思います。欧米には格好の見本があるにもかかわらず…。

 

要するに、単純労働者・3K移民の受け入れで日本に起きる問題は

 

    1. 日本人失業者の増加と賃金水準の低下
 
   2. 差別意識の高まり
 
   3. 民族主義の高まり
 
   4. 生産性の停滞
 
   5. 移民のマフィア化
 
   6. 治安の悪化

 

 となります。移民政策を取るならば、併せて問題点への解決策を提示することが、誠意ある政治家の姿勢ではないでしょうか。

 

さらに、わが国には「在日」という特別な民族問題があることも知っておかねばなりません。韓国との関係もいろいろ複雑ですし、北朝鮮がらみは、本国の指示が絶対であり、反日の姿勢を教科書で教えているという、常識ではありえないことが有り得ているということも知っておかねばなりません。民族的情緒は難しいのですから、その観点からも移民問題を判断すべきだと考えます。

 

中国との関係では「戦略的移民」の実態を考えて置く必要があります。中国が、チベット、新疆ウィグルに大量の移民をさせ、今や完全に実効支配し、苛斂誅求、人権・自由を無視し、虐殺さえ行ってきていることを。また、かつて日本国で行われた長野オリンピックにおいて、中国共産党の指示のもと、暴動が起こされたことを想起しないわけにはいきません。

 

憲法前文の『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』のような絵空事は、現実の国際社会には全く存在しません。移民政策は絶対に失敗は許せないのです。問題が生じてからではどうにも手を打てず、その時ほぞを噛んでも手遅れとなり、その負の遺産を背負い込むのは将来の日本人であることを厳しく認識すべきではないでしょうか。

 

 安倍首相のすすめる移民政策が軽薄でないことを祈るばかりですが、余りにも問題があり過ぎているように思えてなりません。わたし達国民に対する明快な説明を求めたいと思います。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 

次回は
時事エッセー
です。

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