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2018年12月14日 (金)

改正入管法成立…不誠実な安倍自民党!

 668回目のブログです

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 “いづかたに 流れゆきても にごりなき 清水を人の 心ともがな”
 
                (明治天皇御製・明治45年)

 どのような方向に流れていったとしても、濁りのない真清水のように、いつも澄んだ人の心であってほしいものである…。

 どのような人間であっても、心の源泉からは真清水があふれてくるはずであり、特に、まつりごと、すなわち政治に携わる人には、ここという国家の重大な方向を決めるに際しては、極めて真摯に対処しなければならないと思います。

 

 先日、国会に於いて「改正入管法」が可決しました。この背景などに不実なことがあるのかどうか、詳しく見ていきます。

 

 外国人受け入れ5年で最大34万人 改正入管法が成立

 

  政府・与党が今国会の最重要法案と位置づけてきた改正出入国管理法が8日未明の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。深刻な人手不足に対応するため、2つの在留資格を新設し外国人労働者の受け入れを拡大する。従来、認めてこなかった単純労働分野への受け入れに道を開き、日本の外国人労働者政策の転換となる。改正入管法は2019年4月に施行する。
        (日本経済新聞 2018/12/8 一部抜粋)

 

 例によって、混乱の中、参議院本会議において法案は成立しました。この法案は、贔屓目にみても、制度が詰まっておらず、審議も不充分、拙速の限りであり、なぜ、平成31年(2019)4月に施行しなければならないのか、理解に苦しみます。

 

 さて、今後の外国人労働者は、改正入管法をふまえて分かりやすく記せば次のようになります。

 

 「高度外国人材」(教授・SE<システムエンジニア>・経営者)
 
「特定技能2号」(熟練技能・永住・家族帯同可…新設)
 
「特定技能1号」(一定技能・5年限/更新可・家族不可…新設)
 
「技能実習生」(働きながら技術習得)
 
「留学生」(アルバイト)

 

 国連の定義では、1年以上も移住すれば、それを移民としていますが、安倍首相は「特定技能2号」「特定技能1号」の外国人について、たとえそれが5年以上も移住するにもかかわらず、頑なに、言を左右して、移民ではないと言い張っています。しかしながら、これは実質的には「移民」に他なりません。

 

 今、技能実習生のうち、,000人以上が行方不明、失踪中です。彼らは、ブラック企業で過酷な労働を強いられ、やむを得ず失踪した者であり「日本国」の汚い裏面を象徴したものだと言われています。政府はこれらの数字をごまかし、素直にオープンにしませんでした。

 

 今後、歯止めがなければ、外国人労働者(実質的には移民)が34万人から50万人、100万人、200万人と増え、それに応じて不法滞在者などが激増するのは必然。それに対してどのように対処するのか、全く議論されていないのですから、あきれてモノも言えません。(自民党は最終的には1000万人の移民を目論んでいます)

 

 なぜ欧米における移民の負の側面を直視しようとしないのでしょうか。あまりにも不誠実、不正直、不実と言わざるを得ません。

 

 この改正入管法の第一の目的は、深刻な人手不足に対応するためと説明し、その分野は、

介護・外食・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造・建設・造船舶用・自動車整備・航空・素形材産業・産業機械製造・電気/電子情報関連・ビルクリーニング、の14業種を想定。

 

 しかし、本当に激甚な人手不足なのでしょうか。総務省の労働力調査によれば、非労働力人口は、高齢者・学生、出産・育児・介護などを除いても、その数は365万人います。ニートは57万人。また、フリーター(不完全労働力)は「約170万人」も存在しています。

 

 これをどう見るべきか。結論的に言えば、人手不足ではなく、人材不足であり、要は、人材のマッチングが上手くいっていないだけではないでしょうか。それでも、安倍首相や自民党などは、外国人労働者を移民的に受け入れようとしているのですから、そのあたりを誠実に説明してもらいたいものです。

 

 首相は、ことあるごとに「深刻な人手不足」を強調しますが、本当にそうかどうか、例えば、労働力不足だと言われる建設業界の実態をみてみましょう。日本建設連合会(日建連)の広報部長は「一部に人手不足感はあるものの、すぐに工事がストップしたり、倒産が増えたりする切迫した状況にはない(12/7西日本新聞)と発言。毎月調査している国土交通省の調査結果をごらんください。

 

 『建設労働需給調査結果』(平成30年10月)より

 

 【10月調査時点で3ヶ月後の労働者確保の見通し】

 

    困 難  24.2%
 
    普 通  62.4%
 
    容 易   6.3%
 
    不 明   7.1%

 

 普通が62.4%と最多であり、1年間「普通」が一貫して最も多いのです。「建設業は危険を伴う現場が多く、日本語の理解は欠かせない。外国人労働者と言われても、ぴんとこない業者が多い」との発言もありますから、入管法の改正を急いだ自民党、政府には大いなる疑問があります。

 

 そんなことよりも、国内の非労働人口を労働人口へ転化させる方策、そして、ブラック企業・ニート・フリーターへの根本的対策の方が重要ではないでしょうか。その方が、国内の不安を取り除き、安心した社会をつくるようになるはずであり、外国人労働者に低賃金で働いてもらうのは、あまりにも短絡的だと思います。

 

 外国人を大量に移住、移民させれば、一般労働者、勤労者の給与水準を低位水準に保つ作用となり、給与水準の向上にはつながりません。

 

 「賽は投げられたり」…ともかく法案は成立しましたが、2年後に見直すとのことですから、その時こそは日本国の繁栄と国民の安心・安寧の観点から抜本的に見直されなければなりません。

 

 それにしても、首相も、自民党も、粗雑な議論ではなく誠実な議論をすべきであって、移住政策、移民政策などという国の根本に関しては慎重に対処すべきではないでしょうか。あまりにも拙速、杜撰すぎます。安倍首相や自民党に猛省を促したいと思います。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか

 

次回は
時事エッセー
です。

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コメント

「今回の安倍首相、自民党の改正入管法の動きは、あまりにも拙速、杜撰、不誠実な対応です。」と私も思います。
最近の安倍首相、自民党は何か、何処か違和感を感じることが多く有ります。電力自由化に始まり、水道の民営化、移民政策の推進,TPP等、米国、EU(独)に追随し、さながら周回遅れのグローバリストを自認している様子が見受けられます。人、物、金の垣根を取っ払い、日本を売り払って、日本が日本でなくなっていく政策を、ナショナリストの仮面をかぶって推し進めているのではないでしょうか。残念でなりません。

投稿: 渡邉啓二 | 2018年12月17日 (月) 14時08分

国家国民の安全・国の伝統文化の継続といった「日本及び日本人」という概念に国民が共有するアイデンティティは、安倍首相の政治家としての基本スタンスであったはずですが、多くの識者が指摘するように、今回の判断は稚拙過ぎると思います。笊のような法を作って後は官僚や司法任せでは「日本が日本でなくなる」事態を招きます。緻密な法整備をして、外国人が訪れたくなる日本、日本人が今まで通りの安心感を持てる日本社会を維持できるでように早急に手を打つべきです。

投稿: 齋藤仁 | 2018年12月16日 (日) 09時11分

普通の日本国民にとって、今回の安倍首相、自民党の改正入管法の動きは、あまりにも拙速、杜撰、不誠実な対応です。このままであれば、歴史観・哲学無き、日本を破壊した歴代ワーストの国賊首相として名前が刻まれること必定と。一方でこれまでの安倍首相の外交手腕を高く評価してきただけに、とても残念です。野党にも期待できないなか、国民感覚を理解するまっとうな自民党議員の自浄能力発揮に期待したいと。

投稿: 野中志郎 | 2018年12月14日 (金) 12時04分

毎週金曜日にお送り頂くお言葉を拝読しながら、長らくの沈黙をお許し下さい。安倍総理が留学したと伝えられる南カルフォルニア大学(実際は9ケ月で帰国)の経営大学院コース(自宅のテレビでアメリカ講義受講)を66歳で修了した奇縁で、6年前から安倍総理の危険性(独裁性)への警告交信作業連続にて、貴兄ご発信への応答をさぼっていました。   

投稿: 岡村昭 | 2018年12月14日 (金) 10時01分

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