日本の領土が危ない…ファーウエイ事件に思う!
673回目のブログです
“夕されば 衣手寒し 高松の 山の木ごとに 雪ぞ降りたる”
詠み人知らず(万葉集)
夕方になると、着物の袖がうすら寒い。ふと見上げると、高松山の木という木すべてに雪が降り積もっているではないか、寒いはずだ…。
松の内も過ぎ、漸く世間に活気が出てきました。とは言うものの、国際情勢や国内の動きも愈々難しい局面をむかえており、本格化には一歩も二歩もと言うところでしょうか。自然界も、上掲の和歌にあるように、寒さも一段と厳しく、立春過ぎまではまだまだ厳しい寒さを覚悟しなければなりません。
さて昨年より、米中経済戦争、覇権争奪戦が耳目をそばだたせていますが、その内の大きなものが、ファーウエイ事件です。ファーウエイ問題は、米中だけの問題ではなく、わが国にも密接に関係しているはずであり、このことを考えて見たいと思います。
■ 昨年12月5日、カナダ司法省は、中国通信機器大手・華為「ファーウエイ」副会長・孟晩舟(創業者の娘・後継有力者・CFO<最高財務責任者>)を逮捕しました。逮捕の理由は、米制裁措置への違反の疑いがあるためとなっています。
米当局は2016年から着々と捜査していたそうで、本音は米中ハイテク戦争のなかで「第5世代移動通信システム」(5G)から中国を排除していこうという動きの一環です。
中国の先端企業が、軍や政府とグルになり、世界の先進技術をあらゆる非合法手段によって獲得していることは、今や公然となっており、それに対する米国の危機感は半端ではありません。(残念ながら、日本は甘い甘~い対応しかしていないと言われます)
ファーウエイ創業者の任正非は人民解放軍の出身であり、軍と強いつながりがあり、このことを窺わせるのが、逮捕された孟晩舟・副会長が何と「8通の名前の異なるパスポート」を所有していたことです。これらが偽造ではなく「国が発給」していることに注目しなければなりません。これの意味するところは、孟晩舟が「スパイ」だということに他なりません。
さすがに世界の先進国は即座に対応しました。ファーウエイ排除を決めたのは、まず、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、日本、少し遅れて、フランス、ドイツとなっています。
わが国は、いつもならばモタモタするのですが、今回は極めて迅速な対応となりました。日本政府は、省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器については“安全保障”の懸念から、中国通信機器大手のファーウエイ(華為)とZTE(中興通訊)の製品を排除することを決めました。…当然と言わねばなりません。
国内携帯大手各社(ドコモ・AU・ソフトバンク)も、政府の方針に従い「第5世代移動通信システム」(5G) からファーウエイを排除することを発表したところです。
そうは言っても、このような素早く対処するのも、アメリカ(トランプ政権)からの強い要請があってのことと推察します。わが国独自で率先して対処することはできないのではないでしょうか。
それは、残念なことですが、日本国にはスパイ防止法がないこともひとつの要因と言えるでしょう。日本国憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という有名な字句があり、他国を信頼しなければならないと諭している限りは、スパイ防止法なんてとんでもないというところに落ち着く他はありません。
しかし、例えば、中華人民共和国(中国)や南北朝鮮が、平和を愛し、公正で信義があると言えるでしょうか。近年のかの国の言動からはそのような雰囲気は微塵も感じられません。隙あらばわが国を足蹴にし、夜郎自大の面で周囲を睥睨していると見てもよいのではないでしょうか。その事象を一部ごらんください。
・平成29年(2017)9月、翌年行われる韓国平昌冬季オリンピックの「公式」ホームページにおける世界地図に日本列島が表示されていなかった。
・平成30年(2018)4月、韓国の人気グループ「東方神起」のMV
(Music Video)で日本列島が削除されていた。
・上記2点は日本からの指摘で修正。度重なる嫌がらせ。
油断も隙もありません。
・中国通信機器大手・華為「ファーウエイ」のスマホP20の
プロモーションにおいて大型の地球を模した展示物を公開。
そこには日本列島がない。
・「ファーウエイ」のスマホは日本でも大々的に売られている
にもかかわらず、このような状況です。嗚呼!何たる様。
わが国は、周辺国からこれだけ軽んじられている、というよりも、無視されていることを厳しく認識しなければなりません。問題を見つければ、即時、指摘していくことを、全国民が心がけねばなりませんが、国のリーダーには率先してそうしていただきたいものです。
油断をしていると、蟻の一穴から国が崩壊してしまうことになるのではないでしょうか。偉大な英国の首相、マーガレット・サッチャーの心意気と覚悟を見習いたいものです。
鉄の女と言われたサッチャーは、政治家として筋を通しました。フォークランド諸島に進出したアルゼンチンに対して、国防大臣をクビにしてまでも、
“人命に代えてでもわが英国領土をまもらなければならない。
領土とは国家そのものであり、
その国家なくしては国民の生命・財産の根拠が失われる”
と言って、周りの反対を押し切って戦争に踏み切りました。英国病と言われ衰退の一途だったイギリスが復活したのは、サッチャー首相のリーダーシップに負うところが大きいと言われます。
日本の領土が危ない!
サッチャー首相の上記の言葉を反芻し、心に刻みたいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
科学技術を通じた経済のグローバル化が進んでも、諸国家の政体や民族意識は千年前、二千年前とあまり変化はない。19世紀まで欧米白人世界の常識であった人種による能力の優劣観は、19世紀からの日本の奮闘をきっかけとして21世紀の今日見られなくなったが、国家・民族の壁は現在も大きい。問題は、中国のような膨大な人口を抱える国家が中世の専制国家・独裁国家そのままの政体で、科学技術・経済のグローバル化の利をほしいままにする危険をわが国も含めて世界の識者が見過ごしていることだ。最新の科学技術で自国民だけでなく世界を支配することが可能な時代、国民が自由な選挙によって数年ごとに政権を変更できる制度が必須条件であり、まして外国の独裁政権によって他国民の自由が奪われたり、行動が監視拘束されるようなことを許してはならない。中国に限らず国民に政権選択の自由のない独裁国家に対して経済的権益を与えてはならない。
投稿: 齋藤仁 | 2019年1月20日 (日) 08時56分