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2019年3月 1日 (金)

中国・伊藤忠社員拘束事件の不可解!

 679回目のブログです             

2019311

 “春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ”
 
                 大伴家持(万葉集)

 春の庭が紅色に美しく照り輝く桃の花が木の下まで照り映えている道に出てたたずむ少女よ…。

 小ブログを始めたのが、平成18年(2006)3月3日、桃の節句、雛祭りの日でしたから、早いもので、この3月3日で丸13年になります。13年、679回、われながらよく続いたものだと思っています。

 

 続けるにはなかなか骨が折れ、そういう時には、古都散策エッセーを筆休めにしながら、今日まで何とか繋いできました。ブログ発信の内容は大したものでないことは重々承知していますが、自分なりのプロットをつくるべく多少の工夫は凝らしたつもりでいます。もうすぐ700回になりますので、そこまでは1週も欠かさずに続けたいと考えています。まあ、内容はともかくとして、無欠勤だけが自慢の種とは、何とも地味だなと思ってしまう今日この頃です。

 

 …という風に、多少回顧にふけようとはするのですが、現実の国際社会が断然と厳しさを増してきていることの方に心が向いてしまいます。

 

 去る2月14日、伊藤忠商事につとめる40代の男性社員が、昨年2月より1年に亘って中国広東省広州市の国家公安局に逮捕、拘束されていることが判明しました。

 

 男性社員は、国家の安全を害したとして、スパイ行為を取り締まる国家安全局に拘束され、昨年6月に「国家機密情報窃盗罪」で起訴されたようです。

 

 この事件については不可解なことが多過ぎますので、いろいろと考えて見たいと思います。

 

 中国ビジネスでは「最強の商社」を誇る伊藤忠商事の社員がなぜ逮捕拘禁に至ったのでしょうか。中国共産党との太いパイプを有している伊藤忠が、本来ならば逮捕されるというヘマなことをするはずはなく、その理由について巷間では、①権力闘争(電力利権 伊藤忠=李鵬 ⇔ 習近平)、②反スパイ法絡み、など種々の憶測を呼んでいます。

 

 それにしても、伊藤忠はなぜ、逮捕されたことを即時に公表しなかったのでしょうか。これが不可解の①。1年間も公表しないということは、中国ビジネスに従事している数多くの社員の恐怖感にあまりにも鈍感であることを意味します。いつ拘禁されるかもしれない恐怖を事前に出来るだけ除去するよう努めることこそ企業が配慮すべき重要なポイントのはずです。これでは、高級なブラック企業と言われても返す言葉はないのではないでしょうか。企業は、社員の命と安全を守るべきです。

 

 また、政府、外務省も1年間何をしていたのでしょうか。中国へ赴く日本人に“危険”の警鐘を鳴らすことこそ国家の役割のはずです。いつまでも、親中・媚中・屈中の姿勢のままで、伊藤忠社員の逮捕拘束の理由さえ問いただそうとしないとは全く言語道断。これが不可解の②。

 

  外務省の海外安全情報によれば、中華人民共和国は、新疆ウィグル自治区とチベット自治区がレベル1(暴動など・十分注意してください)で他は危険度ゼロとなっています。中国が危険度ゼロとは…本当ですかね。甘すぎる判定ではないでしょうか。

 

 125日の小ブログにおいて、中華人民共和国では習近平主席になってから安全保障法案が立て続けに法制化されてきたことに留意すべきと書いています。

 

     2013年「国家安全保障理事会」設立
 
2014年「反スパイ法」     (新設)
 
2015年「国家安全法」     ( ∥ )
 
2016年「インターネット安全法」( ∥ )
 
  ∥  「反テロ法」      ( ∥ )
 
2017年「NGO管理法」    ( ∥ )
 
  ∥ 年「国家情報法」     ( ∥ )

 

  ものすごい安保補強態勢であり、中国共産党独裁、あるいは習近平個人独裁ならではという感じがします。

 

 この事件について、マスメディアはどのように報道しているのでしょうか。一例を挙げましょう。218日の日経ビジネスon lineでは
 『伊藤忠社員の拘束は中国が進める“近代化”の余波か?』
というタイトルで、副編集長が寄稿しているのです。

 

  えっ!と吃驚しました。中国は、上に記した苛斂誅求極まりない法律によって、全国民を、全中国訪問者を「スパイ嫌疑」で合法的に逮捕できるようになりましたが、果たして、それを近代化というべきなのかどうか、これが不可解の③です。

 

  「『習政権になってから次々新たな立法をして取り締まりを強化している』というイメージがあるが、過去に中国人相手には法律に基づかない苛烈な取り締まりがあった。皮肉を言えば、人治を、全人代が関与した法治に変えようとしているとも言える」という識者の発言を紹介していますから、マスコミの人は、中国を、明るい未来、近代法治国家、民主主義国家へ着々と進んでいるとの幻想に捉われているのではないでしょうか。

 

  習近平氏は、2012「中国国家の偉大な復活を実現することは現代中国の夢である」とぶち上げており、世界覇権、世界制覇への道をまっしぐらに歩んでいますが、これはいわゆる「民主主義への道」とは全く異なるものであることを知らなければなりません。詳しくは、『China 2049』秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」マイケル・ピルズベリー著 日経BP社 をお読みください。中国の長期戦略にまんまと騙されたアメリカの驚愕と恐怖がまるで知的サスペンスのように描かれており、背筋の寒くなること請負いです。

 

 当局は、過去法律に基づかず苛烈な取り締まりを行っていましたが、2013年~2017年の安保関連法7本により、スパイ容疑での逮捕に御墨付けを貰ったことになります。今後、スパイ容疑での逮捕が激増するであろうことは大いに予想でき、これは、まさしく、近代化ではなく、弾圧の強化と見るべきではないでしょうか。

 

 いよいよ恐ろしい国になりました。外交評論家の宮家邦彦氏「中国にとって、外国人は基本的にみんなスパイだと思われています。なぜかというと、中国のシステムでは外国に行っている中国人は誰でもスパイになり得ると思っているからです」「港で不用意にスマホを出してカシャッと撮るなんてやめて下さい、お願いだから」と警告を発しています。

 

 くわばら、くわばら。中華人民共和国には警戒を怠ることのないようにしたいものです。

 

 みなさんはどのようにお考えでしょうか

 

次回は
時事エッセー
です。

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