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2019年5月24日 (金)

上高地・立山黒部アルペンルートを訪ねる!

 691回目のブログです

  “梓弓 磯辺の小松 たが世にか 万代かねて 種をまきけむ”
               柿本人麻呂(新古今和歌集)

 あの岩の上にある松は誰がいつ、その木の万年の寿命を願って種を蒔いたのだろうか…。

 磯辺に立つ、一本か二本の、緑豊かな松の木を感嘆した歌でしょうが、この柿本人麻呂の伸びやかな和歌の調べに、わたし達の心も清澄になってくるような気さえしてきます。

 先日、観光バスで、かねての念願であった上高地/立山黒部アルペンルートを1泊2日で訪ねました。天も味方したのでしょうか、両日とも素敵な晴れの天候、快適な旅となったのは幸いでした。

 (1日目)新大阪⇒平湯⇒上高地⇒安曇野⇒長野県栂池高原ホテル宿泊 (2日目)ホテル⇒扇沢駅⇒(関電トンネル電気バス)⇒黒部ダム⇒(徒歩)⇒黒部湖⇒(黒部ケーブルカー)⇒黒部平⇒(立山ロープウェイ)⇒大観峰⇒(立山トンネルトロリーバス)⇒室堂<雪の大谷>⇒(立山高原バス)⇒美女平⇒(立山ケーブルカー)⇒立山駅⇒新大阪

 JR新大阪駅で近鉄観光バスツアーに乗り込み、一路北陸へ。観光バスでの長旅ははじめてですが、座席もゆったりとしており、添乗員も大阪流のユーモアを散りばめ気づかいもよく、快適な2日間でした。

【上高地】

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 上高地は、長野県飛騨山脈南部の梓川上流の景勝地。中部山岳国立公園の一部でもあり、国の文化財に指定されています。標高約1,500m。少し肌寒いくらいで、90分ほど自由散策しましたが、遠くに見える冠雪の山脈、生き生きした若緑の山々、透き通った清流のせせらぎ、散策コースの脇にある林を遊び場とするお猿さん親子、など「自然」を満喫するに相応しい絶好の散策道です。

 都会の猥雑な生活環境から見れば別世界の自然美に彩られた雰囲気に、心が洗われること必定。何度でも訪れたい所です。

 さて、2日目は立山黒部アルペンルート。ホテルからルートの入口である「扇沢駅」までは現地のバス。ここから、いよいよ期待の黒部ダム・室堂となりますが、このルートには6種の輸送手段があり、これも大いに楽しめます。

  関電トンネル電気バス
  ・黒部ケーブルカー
  ・立山ロープウェイ
  ・立山トンネルトロリーバス
  ・立山高原バス
  ・立山ケーブルカー

【黒部ダム】(黒四ダム)

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 黒部ダムは、関西電力が建設、昭和38年(1963)竣工したアーチ式コンクリートダム。標高1,470m。高さ186m、幅492m、貯水量2億トン(東京ドーム160杯分)の威風堂々としたものであり、堤の上を歩いても、その堂々たる姿とそこから眺める景観の素晴らしさに圧倒されました。(噴出する放水は6/26~10/15までであり、今回は見ることはできず、次回に持ち越しとなりました)

 黒部ダム建設の困難さを乗り越えた物語として、三船敏郎・石原裕次郎主演の「黒部の太陽」を観たことがありますが、実際に現地、現物を見るとそのスケールの大きさに驚かされます。

 “時代”だったのでしょうか。産業発展には致命傷となる「電力不足」に対応するために全身全霊を打ち込んだのが産業界の傑物(関電社長・太田垣士郎)であったこと、それを国が全面的に支援したことであり、歴史の風雪に耐えている建造物を目の前に見るにつけ、それを建造した人々の“偉大な精神”に、心の底から感嘆しました。 

 それにしても、今、令和の時代の幕開け、時代を大胆に拓くためにも、各界に偉大な精神を求めたい心境です。

【大観峰】

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 標高2,316m、パノラマ的に眺めれば最高に美しく、しばしうっとりとします。

【室堂】“雪の大谷”

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 標高2,450m、アルペンルートの最高地にして中心地。今回の旅の目的は“雪の大谷”にあります。すでに5月中旬になっていましたので、道路の両側に聳える「雪壁」は20mもあるものから徐々に溶け出し14~15mになっていました。それでも、見上げる雪の壁は圧巻!であり「雪の大谷ウォーク」を満喫しました。

 雪の大谷は平成5年(1993)から始まり今年で26回目。約500mにわたる「ウォーキングゾーン」は、除雪車2台で高原バス道路に積もった約20mもの雪を除雪してできています。今ではGPS(人工衛星による位置情報計測システム)で道路の位置を正確に計算できるようになっているそうです。

 高度100mで0.7℃下がるため、この季節はまだまだ寒いとのことで冬の服装を準備していましたが、当日は極めて暖かくそれを着用せずに済みました。

【弥陀ヶ原】(みだがはら)

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 標高1,930m、東西4㎞・南北2㎞の溶岩台地ですが、5月の弥陀ヶ原はまだまだ雪が覆い被さっていました。見事な雪原でした。

【美女平】

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 標高977m、立山ケーブルカーと立山高原バスの乗継地点。駅周辺は樹齢1,000年を超える立山杉やブナの巨木がそびえたつ原生林が広がっています。このあたりでは立山を開いた佐伯有頼と許婚者の美しい姫にまつわる話が言い伝えられ「美女平」の地名の由来にもなっています。

 いよいよ立山ケーブルカーの終着点【立山駅】に到着。ここから一路大阪へ。2日間にわたる強行軍にもかかわらず、天候に恵まれ、快適なバス旅となったことに感謝するばかりです。

 それにしても、国内にはまだまだ訪れるべき土地がいくらでもあることをあらためて強く認識した次第です。

 旅行、散策の醍醐味は、上掲の柿本人麻呂の和歌にあるように、種を蒔いた人間の偉大な精神に触れることにもあるのではないかと思います。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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