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2019年5月31日 (金)

徳島・鳴門吟行会…素晴らしき仲間たちとともに!

 692回目のブログです

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“牡丹花は 咲き定まりて 静かなり 花の占めたる 位置のたしかさ”
             木下利玄(大正12年 歌集「一路」)

 牡丹の花は満開となっても静かに定まっており、その花の占めている位置も何とたしかなことであろうか…。

 牡丹の花は華やかさと重量感で他を圧倒していますが、一頭地を抜いているのは、その静かな空間において、不動の場に固定されているように見えるからなのでしょう。

 5月とは言え、今年も異常な気象となるのでしょうか、真夏日が続く先日、関西から四国の徳島・鳴門を訪ねる小旅行に参加しました。参加者16名、お互いに気心の知れた友人であり、有意義な2日間を過ごしました。

 (1日目)JR大阪駅⇒(JR高速バス)⇒徳島駅ホテル<昼食>⇒(徒歩)⇒徳島城博物館⇒(タクシー)⇒阿波踊り会館⇒(ロープウェイ)⇒眉山山頂(ロープウェイ)⇒阿波踊り会館⇒(タクシー)⇒山屋商店⇒(タクシー)⇒徳島駅ホテル⇒(徒歩)⇒「昴宿よしの」<懇親会>⇒(徒歩)⇒徳島駅ホテル<宿泊>

 (2日目)徳島駅ホテル⇒(タクシー)⇒大塚国際美術館⇒(高速バス)⇒大阪なんばOCAT

 JR大阪駅で高速バスに乗り込み一路鳴門・徳島へ。本州四国連絡橋は3つのルート(神戸-鳴門、児島-坂出、尾道-今治)がありますが、今回は神戸・鳴門ルート。当日の天候は良く、瀬戸内海も穏やかであり、世界最大のつり橋「明石海峡大橋」「大鳴門橋」などから見る風光明媚な景色はバスから眺めていても飽きが来ません。眼下には鳴門の渦潮なども見え興味をそそられます。

【徳島城博物館】

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 徳島藩と蜂須賀家に関する資料が豊富に陳列。蜂須賀家は代々徳島藩を領地とし、外様であっても一度も国替えがなかったことを知りました。また、阿波水軍の活躍を象徴する豪華な和船「千山丸」が展示されており目を引きます。庭園も見事でした。

【阿波おどり会館】

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 阿波踊りと言えば、まず、
   “踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々!”

 阿波おどりホールでは「阿波おどり公演」が約40分あり。三味線・鉦・笛・締太鼓・大太鼓の賑やかでリズミカルな鳴り物をバックに、有名連の選抜とも言えるメンバー男女各5人による阿波おどりを観賞しました。初めて見る生の阿波おどりは迫力満点です。

 阿波おどりの知識や踊り方の説明があり、最後には観衆の大半が踊りに参加、ステージも大いに盛り上がり、わたし達のグループから表彰者もでました。

【眉山山頂】

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(万葉歌碑・犬養孝先生の揮毫)

  眉山はどの方角から見ても「眉(まゆ)」の形をしているところから「眉山(びざん)」と呼ばれ、標高290mの山と言うよりも高台と言った方がぴったりでしょう。

 眉山山頂からは徳島市街地の方角に「吉野川」のゆったりとした流れを一望できましたが、本来、吉野川は暴れ川と言われ、日本国三大暴れ川のひとつです。

   『日本国三大暴れ川』
      利根川 (異名:坂東太郎)
      筑後川 (  ∥  :筑紫次郎)
      吉野川 (  ∥  :四国三郎)

 山頂には、碩学、万葉学者・犬養孝先生の揮毫による万葉歌碑が建てられています。

  “眉のごと 雲居に見ゆる 阿波の山 かけてこぐ舟 泊り知らずも”
                 (船王<ふねのおほきみ>/万葉集)

 眉のように横長く遥か彼方に見える阿波の山、その阿波の山を目指して漕いで行くあの船の今夜の泊りはいったいどこであろうか…。

 犬養孝先生は万葉集に登場する国内すべての地を踏査されただけでなく、学生たちとともにその地を訪ねる「万葉旅行」を企画実施された偉大な先生です。わたしも一度“山の辺の道”に参加しましたが、その感激はいまだに忘れることは出来ず、この度、新しい元号が万葉集に典拠することになったことに限りない喜びを感じています。

 たとえ、歴史は経ていても、現地を訪ねその地の息吹きを体感することは大切ではないでしょうか。三現主義 …「現場」「現物」「現実」を基礎とすべきであり、ともすれば空理空論を展開しようとする愚を戒めたいもの。あらためて犬養孝先生の学恩に感謝します。

【合資会社 山屋商店】

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  (山屋商店玄関)

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   (レンガの煙突)

 創業160年、江戸時代末期の安政から、万延、文久、元治、慶応、明治、大正、昭和、平成、そして令和の現在まで、昔ながらの静置発酵法による手作り醸造酢をつくり続けています。店構えもレトロ、工場もレトロ、それにこだわり、それゆえに美味しい「酢」「醤油」「味噌」「麹」。店主(5代目)も実直なお人柄。お土産に酢と醤油を買って帰りましたが、美味しくいただいています。

 山屋には、大正7年(1918)建立した高さ21メートルのレンガの煙突があります。徳島大空襲や南海地震にも耐え、平成16年(2004)現役を終えましたが、今や山屋のシンボルであるとともに徳島のシンボル的存在となっているようです。

 レンガの壁の積み方には、ドイツ、イギリス、オランダ、フランス、アメリカの各種積み方があり、山屋のレンガの煙突は「イギリス積み」だそうです。それにしても、見上げるばかりの威容に声も出ません。

【懇親会】昴宿よしの)

 徳島駅近くの料理屋で懇親会。乾杯の前に、山屋の店主の計らいで「阿波人形浄瑠璃」による目出度い「三番叟」を観賞しました。淡路や阿波の人形芝居では,序開きの祝言に「神舞」と称して演じられるそうです。見事な人形浄瑠璃観賞のあとビールで乾杯、それなりに疲れた一日を癒しました。

【大塚国際美術館】

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   (システィーナ礼拝堂天井画)

 大塚国際美術館は20,000坪を超える広大さを誇る「世界初の陶板名画美術館」であり、古代壁画から現代絵画まで、世界の有名な美術館が所蔵する西洋名画1000点を原寸大で展示しています。

 最初に目にするのが、原寸大の「システィーナ礼拝堂天井画」(最後の審判/ミケランジェロ)ですから、圧倒的な臨場感と微妙多彩な色相に度肝を抜かれました。

 展示は古代、中世、ルネサンス、バロック、近代、現代と系統的になされており、わたしはその通りに10時から14時30分まで1日、駆け足でざっと鑑賞しました。教科書に載っていた有名な絵画が目の前にゴロゴロ、これでもかという位に圧倒されてしまいます。

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 写真撮影もOK、手で触ってもOK。何せ1300℃で焼成し、2000年もそのままの状態を保持できる革新的職人的技術による陶板(大塚オーミ陶業株式会社で制作)ですから納得させられます。

 1000点を超える点数であり、とても1日では無理でした。次の機会に興味ある絵画、好きな絵画にだけ向き合いたいと思った次第です。

 最後に、この美術館を設立された大塚グループ総帥の(故)大塚正士氏の心意気に敬意を表したいと思います。

 徳島、鳴門の小旅行、心の通い合う仲間と一緒ですから充実した楽しい時を過ごすことができました。

次回は
時事エッセー
です。

 

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