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2019年7月 5日 (金)

世界時価総額ランキング…平成元年&平成30年!

 697回目のブログです

2019751

    “我が盛り またをちめやも ほとほとに
             奈良の都を 見ずかなりなむ”
                大伴旅人(万葉集)

 私の盛りはまた若返ってやってくるだろうか。いやいや、もう奈良の都をほとんど見ることもなく終わってしまうのではなかろうか…。

 大伴旅人は大宰府で最も大きな権限を持つ大宰師(だざいのそち/長官)。そんな大宰府での日々を送りながら「自分にももう一度奈良の都での隆盛が戻ってくるだろうか。もしかしたら、もう奈良の都を見ることもほぼないだろうな」との意気消沈した感じの歌です。

 人生いろいろ、企業もいろいろ、歴史もいろいろ。新しき御代となり、はや2ヶ月となりましたが、ここで平成30年間の企業の実態を見ていきたいと思います。

 週刊ダイヤモンド平成30年(2018)8/25号平成経済全史からデータを取り上げます。ついこの間の驚くべき歴史の実態をごらんください。

   【世界時価総額ランキング】(数字は時価総額/億ドル)

       【平成元年】                            【平成30年】
 1 NTT      1,639 日本      1 アップル         9,410 米国
 2 日本興銀    716 日本         2 アマゾン         8,801 米国
 3 住友銀行   696 日本         3 アルファベット     8,337 米国
 4 富士銀行   671 日本      4 マイクロソフト      8,158 米国
 5 第一勧銀   661 日本         5 フェイスブック      6,093 米国
 6 IBM        647 米国      6 バークシャー・H   4,925 米国 
 7 三菱銀行   593 日本         7 アリババG        4,796 中国
 8 エクソン      549 米国       8 テンセントH        4,557 米国
 9 東京電力    545 日本      9 JPモルガン       3,740 米国
10 R・D・シェル 544 英国      10 エクソンM        3,447 米国
11 トヨタ自動車 542 日本      11 ジョンソン        3,376 米国
12 GE        494 米国       12 ビザ            3,144 米国
13 三和銀行   493 日本      13 バンクオブアメリカ3,017 米国
14 野村証券   444 日本     14 ロイヤル・D・シェル2,900 米国
15 新日本製鉄  415 日本     15 中国工商銀行   2,871 中国
16 AT&T      381 米国      16 サムスン電子   2,843 韓国
17 日立製作所  358 日本     17 ウェルズファーゴ 2,735 米国
18 松下電器   357 日本     18 ウォルマート      2,599 米国
19 F・モリス      321 米国     19 中国建設銀行   2,503 中国
20 東芝       309 日本      20 ネスレ          2,455 スイス
21 関西電力   309 日本     21 ユナイテッドヘルス2,431米国
22 日本長信銀  309 日本     22 インテル        2,419 米国
23 東海銀行   305 日本     23 アンハイザー     2,372ベルギー
24 三井銀行   297 日本     24 シェブロン       2,337 米国
25 メルク      275 米国     25 ホーム・デポ      2,335 米国
26 日産自動車  269 日本     26 ファイザー      2,184 米国
27 三菱重工業  267 日本     27 マスターカード   2,166 米国
28 デュポン    261 米国     28 ベライゾン       2,092 米国
29 GM        253 米国     29 ボーイング      2,044 米国
30 三菱信託銀   247 日本     30 ロシュ・H          2,015 スイス
31 BT         243 英国      31 台湾セミコン    2,013 台湾
32 ベル・サウス  242 米国        32 ペトロチャイナ   1,984 中国
33 BP         242 英国        33 P&G         1,979 米国
34 フォード       239 米国      34 シスコ・S      1,976 米国
35 アモコ      229 米国       35 トヨタ自動車    1,940 日本
36 東京銀行    225 日本      36 オラクル       1,939 米国
37 中部電力   220 日本      37 コカ・コーラ       1,926 米国
38 住友信託銀  219 日本      38 ノバルティス     1,922 スイス
39 コカ・コーラ   215 米国      39 AT&T         1,912 米国
40 ウォルマート 215 米国      40 HSBC・H        1,874 英国
41 三菱地所    215 日本      41 チャイナモバイル1,787 香港
42 川崎製鉄     213 日本      42 ルイヴィトン     1,748  仏
43 モービル     212 米国      43 シティグループ  1,742 米国
44 東京ガス     211 日本      44 中国農業銀行  1,693 中国
45 東海上保険  209 日本      45 メルク         1,682 米国
46 NKK          202 日本       46 W・ディズニー   1,662 米国
47 アルコ         196 米国      47 ペプシコ       1,642 米国
48 日本電気     196 日本       48 中国平安保険  1,638 中国
49 大和証券     191 日本      49 トタル          1,611  仏
50 旭硝子        191 日本        50 ネットフリックス 1,572 米国

 時価総額 = 株価×発行株式数。絶対的なものとは言えませんが、企業価値を評価するひとつの有力な指標です。

 時価総額ベスト50に入っていた企業数を見てみましょう。

    “平成元年”      “平成30年”
   ① 日本 32社    ① 米国  31社
   ② 米国 15社    ② 中国   7社
   ③ 英国  3社    ③ スイス  3社
                   ④ 英国   2社
                   ⑤ フランス 2社
                   ⑥ 韓国   1社
                   ⑦ ベルギー 1社
                   ⑧ 台湾   1社
                   ⑨ 日本   1社
                   ⑩ 香港   1社

 吃驚! 時価総額で見たわが国の企業が平成元年には32社あり、世界の先頭を走っていた様子が窺える一方、30年後の平成末期には、何と「トヨタ自動車」1社がわずかに残っているだけ、それも世界35位とは…。

 もちろんのこと、平成元年はバブルの天井であり、日経平均株価が史上最高値の3万8915円を記録したり、消費税3%がスタートした異常な時代でもありましたが、総体的に見れば、平成時代は、企業が活力を失い経済が停滞した30年と言えるかも知れません。「失われた20年」「失われた30年」という言葉も、日本人の脳に深く刻まれているのではないでしょうか。

 ここで、なぜ企業が活力を失い、経済が停滞したのか、自分なりに考えて見ました。

  時代の大きな質的転換、すなわち情報化社会の劇的到来を見通せず、それに積極的にチャレンジしようとする“若い精神”を汲み上げようとしなかった。(これは日本全体に言えることであり、企業だけに限るものではありません)

  経営者が、防衛すなわち国家安全保障の知識と見識を欠くために、業界安全保障企業安全保障の重要性を認識していないという驚くべき欠陥に気づかず。したがって、技術移転や技術貸与を安易に考え過ぎ、自業界、自社の存立を危うくしてしまったと思います。

 自社の知的財産は単に自社のものだけではなく、その業界、国家の人的金銭的支援があったればこそ確立されてきたものだという社会性のある謙虚な姿勢が必要ではないでしょうか。

  会計期間を、従来の1年から、半年や3ヶ月(四半期)という短期にした弊害。いかに社会が激変していても、半年や3ヶ月をターッゲトにした企業経営ではまともな事業計画、設備投資、創造的技術開発などに注力できないはずです。

 何でもかんでもアメリカ基準に追随するのは愚というもの。日本人は本質的に農耕民族であり、その良さを生かすべきだと考えます。いわゆる安物の新自由主義も見直し、日本人の基本的な長所を生かす政策を進めるべきではないでしょうか。

  新技術開発が最も期待される今、国の総力を挙げて挑むべきであるにもかかわらず、歪な左翼イデオロギーがそれを阻んでいるのです。一例として、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野を代表する日本学術会議が軍事研究を禁止することを、あらためて平成29年(2017)声明として発表しました。

 新技術開発については世界各国が軍民融合ですすめているのが実情であり、大学や研究機関に自国の防衛組織からの技術依頼や技術相談に一切耳を傾けるなという国家は日本だけです。わが国の技術の遅れの一端はここにあるといわねばなりません。

 インターネット、パソコン、携帯電話、電子レンジ、腕時計、ロケット…などは軍事技術から民生用に転用されたものであり、ロボットやAI(人口知能)と同じく軍民両用技術(デュアル・ユース・テクノロジー)といわれ、これらは防衛用と民生用の境目をほぼなくしていることを認識すべきではないでしょうか。

  デフレ克服に時間をかけ過ぎた。

 ⑥ 大胆な財政投入に躊躇してきた。

 ⑦ 「復興特別税」などというとんでもない増税。東日本大震災からの復興のための財源確保として、所得税、法人税、住民税の増税をはかった。よくよく考えてみれば、震災復興は長期インフラである以上、歴史に学べば、本来は「特別復興国債」を発行して対処すべきものだったと思います。

 何はともあれ、平成の30年間は日本経済、日本企業の停滞の時代と言えるでしょう。しかし、万葉の和歌ではありませんが、国の隆盛を、都の勢いを、今一度見たいものです。その潜在的能力はあるはず。あらためて、先週のブログで触れた「日本の世界競争力」と併せて考えて見てはどうでしょうか。

 つめて言えば、平成は、昭和と次の変革の時代を繋ぐ長くて緩い助走期間にすぎなかったと言えるのかも知れません。

新しい時代…それは大胆な変革を“自覚”した「令和」の時代。ホップは平成で終わり、ステップ、ジャンプの時が今からではないでしょうか!

 みなさんは、どのようにお考えですか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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