酒蔵めぐり③ …(橿原)蔵元・喜多酒造!
704回目のブログです
“終夜 燃ゆる螢を 今朝見れば 草の葉ごとに 露ぞ置きける”
健守法師(拾遺和歌集)
夜もすがら(一晩中)燃え輝いていた螢を眺めていたが、今朝みて見ると、螢に代わって、草の葉一つ一つに露が置いてきらきらとひかっている…。
台風一過、心なしか朝夕は涼しさを感じさせてくれる時もありますが、まだまだ残暑厳しき天候には変わりません。それでも、秋に向けての心の準備も大切かなと思う今日この頃です。そうです。秋と言えばお酒、…それも日本酒に限るのではないでしょうか。
日本酒と言えば、酒蔵巡りほど素晴らしいものはありません。その土地の本当の歴史を基盤とした雰囲気のある酒蔵を鑑賞するとともに、独自の伝統技術に近代バイオ技術を加味して醸し出されたお酒を賞味する、このふたつの至福、これぞまさしく“醍醐味”と言うべきものではないでしょうか。
今回で酒蔵巡りは3回目。人数は男女合わせて12名、田舎の高校OBの連中ですので気の置けない人達ばかりです。現地集合時間が正午過ぎでしたので、わたしは自宅を早朝に出て、午前中は、蔵元の近くにある橿原神宮と神武天皇陵に参拝しました。
JR茨木駅 ⇒ JR京都駅・近鉄京都駅 ⇒ 近鉄橿原神宮前駅 ⇒(徒歩)⇒ 橿原神宮 ⇒(徒歩)⇒ 神武天皇陵 ⇒(徒歩)⇒ 近鉄畝傍御陵前駅【集合】⇒ 喜多酒造 ⇒ 農家酒場 ⇒ 近鉄橿原神宮前駅【解散】⇒ 近鉄京都駅・JR京都駅 ⇒ JR茨木駅
【橿原神宮】
橿原神宮の御祭神は、第一代神武天皇と皇后。神域は、霊峰・畝傍山を背景にした53万㎡(甲子園球場の13個分)という広大さを誇ります。橿原は、建国の聖地であり、ここから日本と言う国が始まったことに思いを馳せると、おのずから凛然とした気持ちが湧き起り、二礼二拍手一礼の参拝にも心を込めました。
【神武天皇陵】
神武天皇陵は畝傍山の北東の麓にあり、橿原神宮からあるいて15分のところです。日本の国柄の中心というべき万世一系、万葉一統の初代天皇の御陵であり、心を落ち着かせて参拝しました。(今上陛下で126代、世界に誇るべき歴史と言わねばなりません)
【喜多酒造】
喜多酒造は、江戸中期の享保3年(1718)、大和三山(香具山・畝傍山・耳成山)に囲まれた奈良橿原の地に創業ですから、300年を超える蔵元です。
蔵元杜氏は9代目の喜多整(ひとし)さん。喜多整さんの福井の実家は江戸時代創業の造り酒屋であり、縁あって喜多酒造の娘さんと結婚。喜多酒造の初代・利兵衛は、生来のこだわり者だったと伝えられており、9代目の蔵元も名前の通り、昔ながらの製法を端正に整然と醸し続けているようです。
わたし達は、醸造蔵のなかを案内してもらい、各種玄米、その精米、洗米・蒸し・製麹・発酵・絞り工程などを詳しく教えていただきました。その語りっぷりは、熱意そのもの、こちらが圧倒されるほどで、その情熱が喜多酒造のお酒を美味しいものにしているのではないかと思った次第です。
蔵元の説明を受けた後、待望の試飲コーナーへ。大吟醸・白檮、純米大吟醸・嘉龍、純米大吟醸・利兵衛、純米大吟醸・あすか川、吟醸酒・大和の香り、純米酒・倭、本醸造酒・御代菊、普通酒・御代菊にごり酒、アルコールゼロの甘酒、など多彩そのものです。
格別に美味しかったのは、当然と言えば当然でしょうが、大吟醸の「白檮」(はくじゅ)と純米大吟醸の「利兵衛」でした。特に「利兵衛」は、奈良産米、奈良酵母、乳酸菌を使った秘法「水酛(みずもと)仕込み」のアルコール20度という、蔵元杜氏渾身の作品とのこと、見事という他ありませんでした。
お土産にお酒2本と甘酒1本を買い求めました。(蔵元からはお酒1本頂戴し恐縮の至り)
【農家酒場 どはってん】
喜多酒造から歩いて15分。農家がやっている居酒屋で昼食を兼ねた懇親会を行いました。お米と野菜は二上山麓の自家農園で栽培しているとのこと、なかなか新鮮で乙な味の料理と美味しい酒で12名の人の輪も一段と狭まったようでした。
蔵元杜氏が心を込めて醸す「喜多酒造」のお酒、これこそ“歴史と喜びを伝える大和の美酒”ではないでしょうか。
充実した印象深い3回目の酒蔵巡りでした。
みなさんにも、近間の蔵元巡りをお薦めします。
次回は
時事エッセー
です。
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