大村知事は何者か…異常な「表現の不自由展」に思う
714回目のブログです
“時ありて 花も紅葉も ひとさかり あはれに月の いつも変はらぬ”
藤原為子(鎌倉時代後期の歌人)
花も紅葉も、それぞれの決まった季節があって、盛りを見せるのに、月はいつも変わらぬ姿で空にかかっているものだ…。
ひとり静かな存在を保っている月の不動の姿は、ある意味で、わたし達の生きて行くべき道を示しています。これと同じような趣意の俳句もあります。
“樫の木の 花にかまはぬ 姿かな”
芭蕉(野ざらし紀行)
春の百花は美しさを競ってはいるが、そのなかであたりにかまわず高く黒々と聳える樫の木は、あでやかに咲く花よりも、かえって風情があるものだ…。
さて、愛知県で平成22年(2010)から3年ごとに開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の『表現の不自由展・その後』という企画展が深刻な物議を醸していますので、それにメスを入れてみたいと思います。
令和元年(2019)8月1日『表現の不自由展・その後』が開幕。実行委員会会長は大村秀章愛知県知事、会長代行は河村たかし名古屋市長、芸術監督は津田大介氏。作品にいわゆる反日を主張したものや、特定イデオロギーに偏ったものが多く、それも超過激なものであったために大いなる物議を醸しました。
【作品群】に下記内容多くあり
● 反米
● 反基地
● 反ヘイト
● 憲法9条
● 従軍慰安婦像(平和の少女像)
● 慰安婦おばさんの写真
● 裁判になっている群馬県朝鮮人強制連行追悼碑オブジェ
● 朝鮮人強制連行追悼碑
● カセットバーナーで、昭和天皇の肖像を焼いていき、最後は
燃え尽きて灰になった肖像を足で踏みつけるシーンの映像作品
● 英霊を侮蔑する半球状の「間抜けな日本人の墓」
● まるで踏み絵のごとく星条旗を床に敷き米国を愚弄
これを視察した河村名古屋市長は展覧会の中止を大村愛知県知事に求めました。市民、国民からも批判の電話が殺到、なかには「ガソリン携行缶持参」のFAXテロ予告や脅迫もあり、不承不承、3日で一旦中止。(今も、大村知事と河村市長は大喧嘩、厳しい対立状態にあり)
また、文化庁は9月26日、「あいちトリエンナーレ2019」に対して、補助事業の申請手続において不適当な行為であったと判断し、交付予定の補助金7,820万円を全額不交付と決定。
大村知事はこれに怒り心頭。文科省と法的に争う構えです。また、展示は体制を整え、警備を厳重に、来場者は抽選で少人数に限定し、10月8日再開され14日閉会となりました。
8/1の開会から10/14の閉会まで、この展示が妥当であるかどうかに関して、表現の自由をめぐって、現在も議論がヒートアップしています。例えば、野党(立憲民主党・国民民主党・共産党)は10/24の記者会見で、「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付は検閲であり不当であると激しく反発しているのです。
一方、世論調査を見てみましょう。
【あいちトリエンナーレ緊急アンケート】(夕刊フジ10/4)
《質問1》
昭和天皇の写真を焼き、足で踏みつけるような映像作品の
公開への税金投入をどう思いますか?
賛成3% 反対94% どちらでもない3%
《質問2》
憲法21条の「表現の自由」をめぐり、「内容は問わない」という
愛知県の大村秀章知事と「限度はある」という名古屋市の河村たかし
市長が対立しています。あなたが賛同するのは?
大村知事4% 河村市長93% どちらとも言えない3%
表現の自由についてどう判断したら良いのかについて考えて見ます。
● 展示を推進する「表現の自由を尊重する」派の根拠
【憲法21条】
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
これを保障する。
2. 検閲は、これをしてはならない。
通信の秘密は、これを侵してはならない。
● 展示を批判する「反日・日本ヘイトで不快」派の根拠
【憲法12条】
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力に
よつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用
してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用
する責任を負ふ。
わたしは、表現の自由と言えども節度が必要だと思います。常識で考えても分かることですが、天皇の肖像を焼く行為の表現は度が過ぎるというものです。考えてもごらんなさい、例えば、あなたの親、息子さんや娘さんの写真がバーナーで焼きつくされ、燃え尽きた灰を足で踏みつけている映像が全国民に晒されることを、許すことができますか。できるわけはないでしょう。
ましてや、天皇陛下は特別の存在です。天皇の条項が、押し付けられたと言われている現行憲法にさえ、どのように書かれているのか、今一度認識すべきです。
【憲法第1条】
天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて…(略)
歴史と郷土と日本国をヘイトする反日思想や、ガチガチに硬直した左翼イデオロギーからは距離を置き、もう少し穏やかで豊かな道義ある社会を築く努力をすべきではないでしょうか。
ところで、大村愛知県知事は、政治プロパガンダの産物である従軍慰安婦像(平和の少女像)やわが国の永い歴史を体現されている天皇の肖像を焼く映像の展示に大賛成ということですから開いた口が塞がりません。大村知事は、東大法学部卒、農林省、自民党国会議員経験のエリートですが、自民党の暗~い闇も見え、怖気を奮いたくなります。大村氏は真の日本人でしょうか。これでは、日本の政治を任せられないように思えてなりません。
大村知事の言動…を。
「陛下や皇族の方々が愛知に行幸啓やおなりをいただくことを国に要請しながら陛下に対して最大の不敬を働く。ご見学いただくにあたり、御視察先や沿道にあっては陛下や皇室の皆様より目立つ形で県民に対して手を振ったり、表現は悪いがはしゃいでいるような姿を見せる。奉迎者の顰蹙を買っていることすらご存じないようだが今回は名古屋市長とまで大喧嘩しながら、昭和天皇への非難を国税県税を投入してまで行おうとされたのである。それも陛下御即位後の最初のご公務として愛知の植樹祭にお越しいただき、尾張旭市やあま市、岡崎市にお招き申し上げながらである」(草莽の記/杉田謙一/10.25より)
陛下に対し明らかに不敬を働く大村知事は何者なのか、一体、日本をどうしたいのか、大いなる疑問を懐かざるを得ません。また、愛知県民がこんな軽薄な知事を支持していることにも大きな違和感を覚えるところです。
この事態を黙って見逃すわけにはいかないでしょう。こころ有らば、わたし達国民は、愛知県庁に電話なりメールで厳しい意見を伝えるべきではないでしょうか。
現代においては、単なる感想や評論では力になり得ず、小さくとも確かな行動の積み重ねが大きな力になり、世の中を良くしていくものだと信じます。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
歴史哲学を学ばないまま経産省官僚から、県知事に転身。このような薄っぺらな政治状況で問われているのは、県知事だけでは無いはず。中国チベット、ウイグル、南モンゴル、法輪功、香港での人権侵害にも、黙りを決め込む経団連の薄っぺらさとは、実は同根と。
投稿: 野中志郎 | 2019年11月15日 (金) 21時36分
戦後日本の平和は「井の中の蛙」の平和であって、しかも現実には日本の周囲に井戸塀がないにも関わらず、現実の世界各国で起きている紛争に目も耳も塞いで、日本が平和なら世界も平和、日本人が戦争を欲しなければ世界に戦争は起きない、他国人のヘイト感情も宮沢賢治のように「そんなに怖がらなくてもいい」という類の幼稚な平和主義である。この井戸の中に住んでいる日本人は、大人なら世界のどこでも経験する優越や差別、傲慢や卑屈といった感情さえ自覚したことがないのかもしれない。ところが、ヘイトを憎むそんな平和主義者が、己が代表する展示会の愚かしさを指摘され、頼むべき県民市民から非難されたところ激怒している。己を知らず・人間を知らず。ただそれが権力を握った知事となると笑うに笑えない。
投稿: 齋藤仁 | 2019年11月 1日 (金) 15時26分