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2019年12月20日 (金)

若者は未来に悲観的…18歳意識調査に見る!

 721回目のブログです

201912201
   川端康成 筆

“大和は 国のまほろば たたなづく 青垣 山ごもれる 大和し 美し”
          倭建命(ヤマトタケルノミコト・古事記)

 大和は国の中でも最もすぐれた国である。重なり合った樹々の青々とした山。その山に囲まれている大和は美しい国である…。

 悠久の歴史のなかには、穏やかな時代と厳しい時代、麗しの文化を誇る時代とそうでない寂しい時代などいろいろとあったでしょうが、色々な糸を織りなして時代の特徴を紡いできたのではないでしょうか。そこには国民としての哀歓がいやが上にも溢れているように思えてなりません。

 ノーベル文学賞を授かった川端康成は、日本の美を象徴するものとして、「大和は 国のまほろば たたなづく 青垣 山ごもれる 大和し 美し」を大和の山の辺の道の石碑に揮毫したのです。

 わが国には、縄文から弥生、飛鳥、奈良から現代に至るまで、素晴らしい文明、美しい日本を築き上げてきました。瑞々しい感性を誇る文豪・川端康成は万感の思いを込めて上掲の倭建命の歌を選んだのではないでしょうか。

 私たちも、瑞々しい精神を持ち続けなければなりませんが、ましてや将来がある若者は希望にあふれた感懐を持たねばなりません。

 ところが、近年の若者に、「希望」を持たず、「覇気」が薄まってきているという確かな調査データが発表されていますので、心配でなりません。

 令和元年(2019)11月30日、日本財団は『18歳意識調査 第20回・社会や国に対する意識調査』を発表。対象はインド・インドネシア・韓国・ベトナム・中国・イギリス・アメリカ・ドイツ・日本の9ヶ国。各国の17歳~19歳の男女各500名、各国1,000名。調査項目はいろいろありますが、その中から一部をとりあげます。

         【自分の国の将来について】

          良くなる     悪くなる
  中国      96.2(%)   1.0(%)
  インド      76.5      7.3
  ベトナム    69.6       9.3
  インドネシア  56.4       11.7
  アメリカ     30.2        29.6
  イギリス    25.3       43.4
  韓国      22.0       26.7
  ドイツ      21.1        35.5
  日本       9.6       37.9

 何と、『日本』は「良くなる」が9.6%で9ヶ国中一目瞭然の最下位。「悪くなる」のスコアは高く、イギリスに次いで2位(これは、おそらくブレグジット<イギリスのEU離脱問題>の混迷でイギリスは高くなっているものと思われます)。「変わらない」20.5%、「どうなるか分からない」32.0%が9ヶ国中最多で、自分の国の将来に希望を持てない人の割合が突出して多いことがわかります。

 【どのようにして国の役に立ちたいか】(日本:複数回答)

   ・きちんと働いて納税する                31.1(%)
 ・学業に励み立派な社会人となる             25.3
 ・ボランティアをする                         23.7
 ・選挙を通じて政治に参加する                20.4
 ・ビジネスを通じて社会課題を解決する          14.1
 ・国際交流に取り組む                       13.2
 ・子供達の教育に携わる                     12.8
 ・医療看護介福祉分野などで働く                11.1
 ・住んでいる地域の課題解決に取り組む          9.8
 ・省庁や自治体など公共的機関で働く            5.7
 ・政治家として活動する                         3.0
 軍隊に入って国を守る                    1.4
 ・具体的にはないが何らかの分野で役に立ちたい   12.3
 国の役に立ちたいと思わない                   14.2

 全体的には、「国の役に立ちたい」具体的な項目のほとんどで9ヶ国中低位にあることに気づきます。特に、「軍隊に入って国を守る」1.4%は最下位であることに留意が必要。そして、飛びぬけて多いのが最後の項目である「国の役に立ちたいと思わない」が14.2%もあるという事実です。

 わが国の若者がなぜ将来に希望を失っているのかについて考えてみたいと思います。

 まず、17歳~19歳の若者が、日本や世界の情勢を考えて「日本の将来」が悪くなると判断したとは到底思えないのです。彼ら若者のほとんどは巷にあふれるスマホなどのSNS、TV、雑誌、クチコミなどの情報に影響された結果とみるのが正しいのではないかと思います。

 巷では、日本の将来に悲観的な情報、言論が溢れかえっています。年金は貰えなくなる、人口は激減し今世紀末には5,000万人を割る、少子高齢化、老々介護の覚悟、治安の悪化、移民の激増、結婚ができない、離婚も増えるばかり、給与があがらない、安定した正社員にはなかなかなれない、ますます格差社会へ、不公平・アンフェアー、悪が栄え善が滅ぶ社会、暗黒ばかりの日本の歴史、日本の社会は有史以来差別を許してきている、日本人は暴虐だ、大東亜戦争は100%日本の侵略戦争だった。長崎・広島の原爆投下は日本が戦争を仕掛けたからだ、などなど…。

 確かに、日本の良いところや美しいところ、あるいは正しいことや優れたことを示す言論が少ないのは事実でしょう。しかし、ここで、若者は、日本がそんなにダメな国かどうか、冷静に客観的に考えてほしいのです。

 たとえば「パスポート」。これは国の信頼度と安全度を示します。ここで、ビザ(査証)なしで何か国に入れるかというパスポート(旅券)の世界ランキングを見てみますと(調査は英国の有力コンサルタント会社)…。

   日本がトップで189ヶ国 … 【最強のパスポート】!

   日本のパスポートは最強のパスポートですよ。こんなにも世界に信頼されている国の将来をどうして暗く見なければならないのでしょうか。もう、間違った情報に惑わされないことです。問題点があれば積極的に取り組めば解決するはずです。

 ひとつの例を引きましょう。国際関係アナリストの北野幸伯氏は「ロシアの1999年の出生率は1.16だった。しかし政策で出生率を上げることに成功し、今では1.75になった。ロシアの人口は1億4,000万人。日本より2,000万人多い。ロシアでは毎年190万人、つまり日本の倍の子供が生まれている。…だから“少子化の流れは絶対変えられない”というのは、『ひどいフェイク情報』だ」と述べています。

 若き人たちよ、フェイク情報】やフェイクニュースに騙されないように。また、日本の力、歴史の力を信じ、希望を持とうではありませんか。

 最後に、弱冠17歳で9代目米沢藩主となり、藩政改革を行い莫大な財政赤字をかかえ傾いていた藩の財政を立て直した上杉鷹山の言葉を…。

 “為せば成る なさねばならぬ 何事も ならぬは人の なさぬなりけり”

みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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