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2020年3月27日 (金)

カタカナ用語の氾濫…武漢ウイルスをめぐり! 

 735回目のブログです

20203271 

  “山もとの 鳥の声より 明けそめて 花もむらむら 色ぞ見えゆく”
            永福門院(鎌倉・伏見天皇の中宮)

 山の麓でさえずる鳥の声から夜は明け始めて、花一群あちこちからその麗しい色が見えてくることです…。

 春の朝の麗らかで美しい景色を詠った和歌です。しかしながら、今年は例の武漢コロナウイルスの蔓延により息を詰まらせながらの生活を余儀なくされており、四季の中でもっとも明るく穏やかな春を満喫することは出来そうもありません。

 それでも、多くの人々が集う所には出向かず、こじんまりした会合などに出向けば、その途中には春の若々しい息吹が随所に見られ、上に掲げた紫モクレンの伸びやかな色合いにしばし見とれるほどです。

 今、世間の話題は武漢コロナウイルス一色、それに加えてオリンピック延期のこととなっています。テレビなどを見ても、朝からウイルス問題を延々と放映しており、そこに登場するいわゆる専門家と称する人たちが様々な説明や見解を述べています。

 ところが、そこで連発されるのが「難解なカタカナ用語」であり、それに対して疑問を投げかけたのが、英語にすこぶる堪能な河野防衛相です。

  河野太郎防衛大臣ツイッター(3/21)

「クラスター/集団感染、オーバーシュート/感染爆発、ロックダウン/都市封鎖、ではダメなのか。なんでカタカナ?」

 河野大臣が指摘するように、難解なカタカナ用語では感染を恐れなければならないお年寄りにはチンプンカンプンであり、何となく耳障りが良く危機感が減少します。どう考えても、漢字表現の方に厳しい緊迫感があるのではないでしょうか。

 それでも、専門家が敢えてカタカナを使用するのは、一つには、カタカナと漢字とでは微妙にニュアンスが異なっていること、二つには、恐怖感を与えないためのようです。カタカナ用語がどういう意味かは下記のとおりです。

 「パンデミック」(広範囲に及ぶ流行病・感染症の世界的な流行状態)
 「クラスター」(小規模な患者の集団)
 「オーバーシュート」(爆発的患者急増)
 「ロックダウン」(都市封鎖+外出禁止+人の移動や情報の制限)
 「フェーズ」(警戒段階)
 「リンク」(感染源、感染経路)
 「スーパースプレッダー」(10人以上に感染拡大させた感染源患者)
 「エアロゾル」(ウイルスなどが霧のように空気中に漂うこと)
 「トリアージ」(患者を緊急度や重症度により治療の順番を決めること)
 『流行の範囲』
     「アウトブレイク」(集団発生)
     →「エピデミック」(国は超えない大規模伝染)
     →「パンデミック」(世界的流行)

 小池都知事は3/23の会見で「今後の推移によっては都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど強力な措置を取らざるを得ない状況が出てくる可能性がある」と言明しました。「首都封鎖」「ロックダウン」のどちらの言葉が衝撃度が高いでしょうか、言うまでもなく「首都封鎖」の方が都民や国民により強い緊迫感を与えます。

 余談ですが、小池都知事は、以前からカタカナ言葉を多用しており、所信表明の時には「都民ファースト」「ワイズ・スペンディング」「改革マインド」「サスティナブル」「ライフ・ワーク・バランス」「ムーブメント」「ソーシャルファーム」「ダイバーシティ」「メルクマール」「スプリングボード」「ワンストップサービス」「ビヨンド2020」「アスリート・ファースト」「ハード面・ソフト面のレガシー」など、際限がありません。小池女史はおそらく記者たちをケムに巻こうとしたのではないでしょうか。

 カタカナを多用するのは、実態を分かりにくくするためもあり、官僚が良く使う手だと言われます。今回、河野防衛相が「集団感染」「感染爆発」「都市封鎖」などの用語を使って国民に分かりやすく説明すべきだと提言したことに大いなる賛意を表します。

 武漢コロナウイルスについては、私たちは適切な不安を持ち正しく怖がることが求められます。そのためにも、このような危機の時には、わかりやすく強い言葉で語りかけることが大切ではないでしょうか。

 【主な国の感染者・死亡者】(3/24現在)

         感染者数   死亡者数
  中国本土  81,496  3,274
  イタリア  63,927  6,077
  アメリカ  43,667    552
  スペイン  35,136  2,311
  ドイツ   29,056    123
  イラン   23,049  1,812
  フランス  20,123    862
  日本     1,128     42
       (ジョンズ・ホプキンス大学)

 (中国の国家衛生健康委員会は3月19日、国内での新規感染例が「ゼロ」と発表、国内での終息を宣言しました。上表の中国の数字が信頼できるものであるか否かは定かではありません。というのも、中国ではウイルス検査で陽性であっても、発熱やせきなどの症状がなければ「感染者」として扱われていないためです。<約43,000人>)

 中国のコロナウイルスへの対処方法については、独裁権力の姿をまざまざと見せつけてくれましたが、わが国の対処策は、それと180度異なり、自由と民主主義をベースに置いたものになっています。この点に関しての上久保立命館大学教授の興味ある貴重な示唆に目を向けたいと思います

 『中国と真逆の新型肺炎対策を採用した日本に注目すべき』

 “ …もちろん、これからオーバーシュート(爆発的感染拡大)が起きるかもしれないことは強く警戒すべきだ。しかし、中国のような権威主義による都市封鎖という強権的な手法を用いることなく、医療崩壊を起こさずに日本が新型肺炎の危機を乗り切れたならば、中国の主張する「権威主義」の優位性を覆す、自由民主主義の優位性を示すことになる。
 欧米が崩れつつある今、日本は自由民主主義陣営の最後のとりでとなっているのかもしれない。今後の世界における政治体制のモデルは、もはや欧米にはなくアジアにある。「権威主義の代表・中国共産党」と「自由民主主義の代表・自民党」の競争なのかもしれない。”(3/24 DIAMOND onlineより抜粋)

 わが国は、現在、爆発的患者急増(オーバーシュート)を目前にして、首都封鎖も取りざたされており、予断を全く許しません。何とか日本流の対処策が功を奏してほしいと願っています。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

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