武漢コロナウイルス雑感!
733回目のブログです
“ 国守る 大臣は知るや 知らざらむ 民のかまどの ほそき煙を ”
勝海舟(文政6~明治32・幕臣/政治家)
国家を守護すべき重責を担っている大臣(おとど)たちよ、貴公等は承知しているのか、いや承知してはいまい、民のかまどから立ち昇る煙が細々として哀れなるさまを…。
明治維新の折、西郷隆盛との会談によって江戸無血開城に導いた勝海舟は、常に民の安寧を心におき、大臣に限らず、国のエリートたる人たちは、国の安全を守ることに力をつくすべきは当然として、真に国民の福利の向上にも意を注がねばならないと述べているのです。
「民の竈(かまど)」と言えば、第16代・仁徳天皇の“ 高き屋に のぼりて見れば 煙立つ 民のかまどは 賑はひにけり ”という御製を思い浮かべます。
海舟の詠った大臣は、ひとり大臣だけを指しているのではなく、政治家のすべてを含んでいるものだと思います。国政を担う政治家も、地方政治にかかわる政治家も、単に権力や地位や名誉を求めるのではなく「私心」を捨て、国民、市民のことに、誠心誠意をもって心を砕いて欲しいと願ったのではないでしょうか。
さて、昨今の話題は「武漢肺炎コロナウイルス」で持ち切りです。報道でも、新型肺炎の感染拡大(パンデミック)が連日にわたり取り上げられていることは周知のこと。これに関しての感想を述べたいと思います。
・マイナスだけではなく、非マイナスもあるこに留意しましょう。
〇マイナス…国民(成人男女・子供)の不安心理の広がり
経済活動に混乱(サプライチェーン・インバウンド・消費)
株価暴落・為替円高
〇非マイナス…非常時緊急体制がない欠陥憲法を露呈
国家防衛意識の薄弱が明白に
国際感覚の厳しさを認識していないことが明らかに
一党独裁国家の隠蔽体質が明白に
中国リスクの大なることを痛感
・今でもいろいろな名称が使われており、列挙します。
・新型コロナウイルス
・武漢肺炎コロナウイルス
・武漢コロナウイルス
・武漢ウイルス(米国ポンペオ国務長官)
・中国ウイルス
・COVID-19(国連WHO)
中国は、米国ポンペオ国務長官が記者会見で武漢ウイルスと公言したことに猛反発し、中国が発生源かどうかは明らかではないと主張。また、WHOは、民族・国家・地域に汚名を着せないように、加えて中国への忖度もあったのでしょう、「COVID-19」という名称を正式に決めました。過去には、中東呼吸器症候群(MERS)やスペイン風邪のように地域に汚名を着せた名称もありました。とは言うものの、どれが一番適切か、わたしは、武漢コロナウイルスが一番適当だと思いますが…。
・中華帝国としての版図を有する中華人民共和国は、これまでの中華王朝とは異なり、“強烈な中央集権一党独裁体制”を確立していますので、情報公開に著しい遅れを生ずることになり、今回のような虐殺ともいうべき事態を招きました。要するに、中央が負の情報をコントロール、握りつぶしていたために初動が大幅に遅れたということになります。
それは、昨年末には武漢における肺炎の原因は新型コロナウイルスだと認識していた武漢市長の「地方政府は情報を得ても、権限が与えられなければ発表することは出来ない」という発言に裏づけられます。
・ダイヤモンド・プリンセス号での日本の検疫について、英、米のマスコミから非難ごうごうでしたが、わが国は、これに関してはきっぱりと反論しなければなりません。それは、この船の船籍は英国であり、戦場は英国領土と同じだということです。また、船の運営はアメリカ企業によってなされており、本来は、日本政府が勝手に検疫をする義務もなければ権限もないのです。
ところがわが日本政府はこの船に1,285人の日本人が乗っていることに鑑み、善意で対処し、それもアメリカCDC(疾病予防管理センター)の意向を汲んで船上で14日間留め置くことにしたのです。その対応が結果的に上手くいかなかったからと言って、米、英から文句を言われる筋合いは全くありません。
アングロサクソンのエゴここにありの典型ですが、残念ながら、これが国際社会の厳しい実態です。…とすれば、一例として、日本政府は、以下のような振る舞いをしなければならなかったのではないでしょうか。
『日本が検疫をするのは良いとしても、それを始める前に、英米の大使を呼んで3カ国合同の記者会見を開く。その場で、英米両国の「依頼」に応えて日本が検疫に乗り出す、と発表する。これにより、日本は検疫を実施する義務も権限もないが、管轄国の英国と、船会社を持つアメリカの両国の依頼に応えて「善意の協力」を行うという立場を国際的に明らかにする。
その上で、世界で最も権威のある米国CDCの「助言」に従って船内で14日間の隔離を行うが、乗客の引き取りを希望する国があれば船なりチャーター機を派遣して欲しい、乗客の移動に関しては日本政府が最大限の協力を行う、と表明する。
こうする事によって、同じ検疫をするにしても、日本の善意を世界に明らかにし、英米のみならず他国に対しても、道徳的な高みに立つことができる。』(伊勢雅臣「国際派日本人養成講座」より)
安倍首相は、伊勢雅臣氏のような人格、識見に優れた真の国際派日本人の意見を伺ってはいかがでしょうか。強くお薦めします。
・安倍内閣の初動対応が後手々々になったと批判されていますが、それには二つの理由があると考えます。
① 憲法に「緊急事態法」や「非常時態法」が明記されていないため、
どうしても初動に後れを取り勝ちである。
② 安倍首相が予算で「予備費」を大幅に削減している事実。
これでは国家の危機に際し緊急・自在に対処しようとしても
躊躇せざるを得ないことは明らかである。
緊急事態法は言うまでもありませんが、まさか安倍首相が予備費を激減させていたとは全く気づきませんでした。安倍首相の日頃の大言とあまりにも乖離があることに驚きと失望を禁じえません。
【日本の予備費の推移】
2009年度 2兆3,425億円
2010年度 3兆2,025億円
2011年度 2兆2,095億円
2012年度 3兆4,253億円
2013年度(安倍政権)1兆6,626億円
2014年度 ↓ 1兆6,236億円
2015年度 1兆6,335億円
2016年度 1兆4,822億円
2017年度 1兆4,677億円
2018年度 1兆3,217億円
2019年度 1兆5,341億円
(財務省統計表より・大村大次郎3/3 Mag2news論稿)
(経済対策予備費、復興予備など予備費全般を含む)
・現在、催しものや会合など、軒並み自粛となっていますが、過剰自粛という集団ヒステリーにならないようにしなければ日本経済がガタガタになってしまいます。ここで、感染確率がどの程度かということを知っておくのも大事ではないでしょうか。藤井聡京大教授の確率公式から導かれた数字を記しましょう。ご参考までに。
【参加者数と感染拡大リスクの目安】(令和2年3月4日時点)
5人 0.0%
10人 0.0%
50人 0.0%
100人 0.1%
1000人 1.0%
5000人 4.9%
(※この表は感染者数が1000人のケースを想定)
・武漢コロナウイルスという目に見えない敵と戦うには、国民がすべて道徳的に対応することが大切です。マスクの売り惜しみ、マスクと高額商品との抱き合わせ販売、中高生の密室カラオケ遊び、ライブハウスの超密着状況、マスク・消毒液などの高価転売、東京都の防塵服12万着中国への支援、などは道徳にもとる行為ではないでしょうか。
何はともあれ、武漢コロナウイルス問題が早期に収束し、でき得るならば、無事、東京オリンピック・パラリンピックが開催されることを期待したいものです。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
世界の大災厄となった武漢ウィルスだが、世界の将来にとってプラスとなる側面が三つある。第一は言うまでもなく、梅毒やペストやスペイン風邪、エイズなど、世界のどこかの小さな村で見つかった病菌が数年を待たずに世界に膨大な病死者を出し、国際勢力図まで書き換える力をもつという人類史を改めて確認させてくれたことである。第二は「中華人民共和国」という国が、スターリン・ソ連の冷酷な一党独裁体制と、明王朝の確立した国民監視の中国伝統の専制国家組織を併せもった「基本的人権」を圧殺する「恐ろしい国」であることを、欧米の人々が理解したことである。第三は、現在のグローバルの仕組みが、一地方で発生した新種の病菌をパンデミックにしてしまう欠陥をもっていることを世界に教えたことである。すなわち世界経済はアメリカ方式に一元化しているが、政治軍事はアメリカの指導力が通用しない。その端緒を露呈したのがEUである。経済は一元化しても政治は加盟国によって異なるため、難民流入問題やウィルス対策では共通のルールを持たない。本気で平和な日本の存続を考えるならば、武漢ウィルスは多くのに教訓をもたらしたといえるかもしれない。
投稿: 齋藤仁 | 2020年3月14日 (土) 10時32分