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2020年6月12日 (金)

日本政治の敗北!…横田滋さん死去に思う 

 744回目のブログです

20206121

   【故郷】(ふるさと) 高野辰之作詞・岡野貞一作曲

  1.兎追ひし彼の山
    小鮒釣りし彼の川
    夢は今も巡りて
    忘れ難き故郷

  2. 如何にいます父母
    恙無しや友がき
    雨に風につけても
    思ひ出づる故郷

  3.志を果たして
    いつの日にか歸らん
    山は青き故郷
    水は清き故郷
                  (文部省唱歌)

 「故郷」(ふるさと)は、大正3年(1914)の尋常小学唱歌。同じ作詞・作曲者による「朧月夜」(おぼろづきよ)「春の小川」とともに文部省唱歌を代表する曲として、今日でも広く歌われています。

 「故郷」という歌は、わたし達日本人の持つ自然な心を静かに歌い上げるにふさわしい名歌、名曲として、100年以上も歌い継がれてきており、北朝鮮による日本人拉致事件の支援者団体(救う会)が開催する集会の最後に、拉致被害者の早期帰国を願って、参加者全員で歌われることになっています。拉致被害者に、早く故郷の土を踏み、山や川を眺め、父や母に逢わせてあげたいとの痛切な思いを込めて……。

 そんな時、悲しいことが起きました。

 横田めぐみさんの父、滋さん死去 初代家族会代表

 昭和52年11月に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父で、拉致被害者家族会の前代表、横田滋さんが5日午後、老衰のため川崎市内の病院で死去した。87歳。
 平成9年2月、めぐみさんが北朝鮮に拉致された疑いが産経新聞などで報じられ、国会でも取り上げられると翌3月、日本各地の被害者家族とともに家族会を結成し代表に就任。妻の早紀江さん(84)と全国1300カ所以上で講演し被害者奪還を訴える署名活動などにも尽力、救出運動の象徴的存在になった。
            (6月5日 産経ニュース一部抜粋)

 北朝鮮の日本人拉致ほど残酷で破廉恥なことはありません。まだ中学生である横田めぐみさんを拉致するなど、人道上、人権上、人間として決して許されることではなく、そう考えれば、北朝鮮は、まさしく暴虐な悪魔の存在と断言せざるを得ません。

 わたしが拉致被害者のことに関心を持ったのは、今から20年前、兵庫県の市会議員である友人から、北朝鮮が日本人を拉致しているのは真実だよと聞いた時からです。その後東京勤務となり、蒲田で行われた救出を訴える「拉致被害者家族会の講演会」を夫婦で聴きに行きました。

 特に横田早紀江さんの、娘・めぐみさんを想う母親の痛切な言葉に、数百人の会場は静まり返り、あちこちですすり泣き、わたし達夫婦も涙滂沱として止まりませんでした。

 その時、横田早紀江さんは、拉致は犯罪であり、主権の侵害として、日本国、国が責任をもって奪還してほしいと強く述べておられました。

 現在も多数の方が拉致されたままになっていることに留意しなければなりません。日本国政府認定済の拉致被害者が12名(既帰国者5名は除く)、特定失踪者(理由なく突然姿を消し、拉致の疑いが否定されない人)が400名以上。

    【日本国政府認定済の拉致被害未帰国者】

  ●1977年 三鷹市役所勤務・久米裕さん(52歳)
  ●    〃   鳥取会社員  ・松本京子さん(29歳)
  ●      〃     新潟女子中学生・横田めぐみさん(13歳)
  ●1978年 東京飲食店員 ・田口八重子さん(22歳)
  ●   〃      ラーメン店員 ・田中実さん(28歳)
  ●   〃    電電公社職員 ・市川修一さん(23歳)
  ●     〃    事務員    ・増元るみ子さん(24歳)
  ●   〃    曽我ひとみ母 ・曽我ミヨシさん(46歳)
  ●1980年 京都外大学生 ・松木薫さん(26歳)
  ●      〃   日大学生   ・石岡亨さん(22歳)
  ●    〃   大阪中華店勤務・原勅晁さん(43歳)
  ●1983年 神戸外大学生 ・有本恵子さん(23歳)
                  (年齢は拉致された時)

 拉致について、わが国のマスメディアは人権侵害の観点からのみ批判することが多いのですが、待ってほしい。確かに人権侵害でもありますが、これは国家犯罪であり、明らかに「主権侵害」と言わねばなりません。わが国の政治家は、日本国の主権が侵害されていることを厳しく認識すべきではないでしょうか。

 国家の三要素は、領域(領土/領海/領空)国民主権と言われています。その主権が侵されているにもかかわらず、政治家は怠慢極まりなく、平成18年(2002)5名の帰国以来18年間一人も救出できず、これはまさに政治家の国家意識が極めて低いことを物語るものと言わねばなりません。

 もちろん、政府が先頭に立って奪還に当たるべきでしょうが、政府、国会、司法の三権が固い絆でもって事に当たる覚悟を示さなければ、あの独裁・暴虐な北朝鮮と渡り合えるとは思えません。

 それでも、一部には、拉致被害者帰国問題は日朝国交回復のトゲであり、平和の妨げになるとの暴言を吐く政治家やマスコミ文化人も存在するという現実もあります。こんな輩は偏向したイデオロギー人間であり、普通の日本人ではないのであって、一度、拉致被害者家族会の講演会に出向いてみるべきです。家族が拉致された悲しみ、その痛ましいまでの叫び声を聞けばそんな考えは一瞬に飛び去るのではないでしょうか。

 『みなさん、わが国、日本は戦後60年平和だったと言われていますね。本当にそうなんでしょうか。北朝鮮はわが国に拉致という型の戦争を永い間仕掛けてきたのではないのでしょうか。ずっと、平和ではなかったのではないでしょうか…。…少なくとも我が家族においては平和ではありませんでした。』これは、平成22年(2010)大阪中之島公会堂で行われた「『忘れたらあかん拉致被害者の救出を』大阪府民集会」での被害者家族の偽らざる言葉です。

 わたし達は政治家やマスコミや文化人の平和という似非言葉を鵜呑みにしてきたのです。そう、“実は、平和なんかじゃなかった”ということを、今、ここに、厳しく認識しようではありませんか。

 無防備「日本」わが国は、領土、領海、金(カネ)、水、情報、知的財産、そして人材、人まで今も狙われているのかもしれません。

 安倍晋三首相は、拉致被害者家族に寄り添い、常々不法に拉致された方々の救出に全力を挙げると発言しています。その言や良し。素晴らしいと思います。しかし「政治は結果」言行一致を目指し、あらためて、不退転の決意でもって拉致問題を解決すべきではないでしょうか。

 拉致被害者を救出できない実像は、まさに、日本政治の敗北わたし達は、朝鮮民主主義人民共和国に敗北したことを素直に認め、これからの日本を立て直す努力をしなければなりません。

 最後に。亡くなられた横田滋さんの胸中をお察し申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

 (来週、来々週は、事情により休みます)

次回は
時事エッセー
です。

 

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