“小池百合子”… 虚飾にまみれた女帝の実像!
747回目のブログです
“偽りと 言ふことなくば うつせみの 世の交じらひは 安からましを”
明治天皇御製(明治40年)
偽りということがないならば、この世の中の交流というものも安らかであろうに…。
嘘や偽りというものは、他を損なうためにするか、自らを利するためにするかのどちらかでしょうが、いづれにしても「誠」を損なうものと言わねばなりません。
政治の世界では、嘘や偽りが横行しています。いわゆる嘘も方便の仏教的な教えの片鱗でも伺えればまだ救いようがあるというものですが、実態は実に醜い詐術として罪悪感のないままに横行しているのではないでしょうか。その方たちにとっては、時には、明治天皇の御製に触れることも大切ではないかと思います。
さて、先般、東京都知事選挙が行われ、小池都知事が再選を果たしました。
小池百合子 366万1,371票
宇都宮健児 84万4,151票
山本太郎 65万7,277票
小野泰輔 61万2,530票
桜井誠 17万8,794票
立花孝志 4万3,912票
これを見れば小池知事の圧勝と言わざるを得ませんが、その背景には下記のように複雑なものがあります。
① 自民党・公明党が裏で支持にまわったこと。
② コロナ対策と称して、小池都知事が、たとえ感染者数の発表だけにもかかわらず、連日にわたってテレビに露出したことであり、他候補との不公平感は誰が見ても明らかであった。他の候補は圧倒的に不利だったと言える。
③ それに加えて、小池都知事は「3密」を理由に、街頭演説も公開討論会も拒否。このことによって、小池都政4年間の失政、学歴詐称問題などについての、報道記者、他の候補者、有権者の問いただす機会を奪ってしまった。
ここで問題にしたいのは、NHK、民放(TBS・テレビ朝日・フジテレビ・日本テレビ・テレビ東京の地上波)がなぜ『公開討論』を実施しなかったのかということです。おそらくは、NHKは、候補者の中に“NHKから国民を守る党党首”がいるから自分の身を守りたかったのであろうし、民放は来年のオリンピックを控えていることや、許認可の機会が多く都庁に逆らいづらいことから都知事に気を遣ったということではないでしょうか。
今やネットの台頭は著しいとはいえ、テレビの影響はまだまだ圧倒的に強いのであり、「公」の観点から、小池候補が欠席でも『公開討論』を実施すべきでした。それこそが、国から電波特権を受けているテレビ各社の真摯な姿勢であり、都民・国民に有益な選挙報道と言えるのではないでしょうか。
今回の選挙を見れば、小池氏の戦術にマスコミは赤子のようにあしらわれ、4年間の失政や学歴詐称問題は闇に葬られたまま表に出ることはありませんでした。マスコミの存在感はゼロと言わざるを得ません。
それにしても、何かおかしい。…ということで小池氏に関する新刊書を求めました。
書 名 『女帝 小池百合子』
~ 救世主か?“怪物”か? 彼女の真実の姿 ~
著 者 石井妙子
出版社 文藝春秋
価 格 1500円+税
書 式 単行本(444頁)
発行日 令和2年(2020)5月30日
著者の石井妙子女史はノンフィクション分野でも女性の生涯を著したものが多く、高い評価を得ています。『女帝 小池百合子』も3年半にわたる“綿密な取材”をもとに書かれたものであり、その視点は多面的、広角的、重要な箇所は詳細に描かれ、筆致はなめらか、疑問点には鷹の目のように鋭く迫っており、まるでサスペンスのようにぐいぐい迫られ、あっという間に読了。読みやすく素晴らしい書物です。
発売後日も浅いにも関わらず、すでに20万部を突破。わたしは、以前から小池女史の目にねっとりとした陰湿さを感じていたためにこの書物を買いましたが、多くの国民は小池都知事にさまざまな疑点がくすぶっていることから買い求めたものと思われます。ベストセラーになるのも必然、みなさまにも強くお薦めします。
『女帝 小池百合子』の構成は、序章・平成の華、①「芦屋令嬢」、②カイロ大学への留学、③虚飾の階段、④政界のチアリーダー、⑤大臣の椅子、⑥復讐、⑦イカロスの翼、終章・小池百合子という深淵、あとがき、という魅力的な目次で読書をそそられます。
著者の石井妙子氏は、小池氏がカイロ大学に通っていた時、同じ部屋に「同居」していた早川玲子さん(仮名)から取材した事実をもとに「小池百合子」の虚飾と実像を浮かびあがらせました。
小池氏が世に出たきっかけは、昭和51年(1976)10月。サダト大統領夫人が来日するにあたって、日本アラブ協会の推薦で、アテンド役をつとめたことです。『エジプト人でも卒業が難しいカイロ大学を卒業した初めての日本人女性』とマスコミに売り出し、新聞に取り上げられ、テレビ・ラジオに次々と出演。
カイロ大学はエジプト人学生でも卒業できるのは「良くて4人に1人」と言われるぐらい厳しいそうです。エジプトでは現在も、口語(アーンミーヤ)と文語(フスハー)が明確に分かれており、ニュース、大統領演説、書物、新聞、カイロ大学の教科書、教授の講義も文語である(西洋社会でのラテン語、日本での漢文に相当)。
アラビア語を母国とする人でも苦しむ、この文語を外国人、とりわけ日本人が習得するのは並大抵ではなく、カイロ大学を卒業した日本人は数えるほど。小池氏は進級試験にも落ちており、文語でおこなわれる講義の理解にも苦しんでおり、とても卒業なんて無理であり、ましてや小池氏がいう『首席で卒業』なんてありえないというのが、同居していた早川玲子さんの思いです。しかし日本では、卒業・首席が既成事実化していました。
約1か月を日本で過ごした小池氏がカイロに帰ってきたときのことが下記のように描写されています。
【ごめんね。だって、バレちゃうからね】
アパートで迎えた早川さんは、わずかな期間で別人のように変わった小池を見て驚いた。…小池は嬉しそうにスーツケースから新聞を取り出すと早川さんに見せた。顔写真付きで小池が紹介されていた。早川さんは読み進めて思わず声をあげた。
…「百合子さん、そういうことにしちゃったの?」小池は少しも悪びれずに答えた。「うん」
…わだかまるものはあったが、小池はとにかく日本に帰りたいのだ。カイロ大学を出られなかった、とは口が裂けてもいえない。卒業したと言わないと帰れないのだろうと察した。
…小池はさらに続けた。「あのね、私、日本に帰ったら本を書くつもり。でも、そこに早川さんのことは書かない。ごめんね。だって、バレちゃうからね」(110頁~112頁)
圧巻の箇所と言わずして何と言えばいいのでしょう。真実の抉り出しに感銘さえ覚えます。選挙公報に虚偽記載があれば、当然ながら、当選無効、失格。都民も国民もこのことに関心を持ち続けなければなりません。
小池都知事は、経歴詐称だけでなく、公(都知事)の立場を、ひそかに、私(選挙)に利用し、都民の生命を守ることを軽視したのです。著者は、小池都知事のコロナ対応をめぐって下記のように書いています。
【防護服約30万着を中国へ寄付】
彼女はオリンピックにこだわり、自分が再選を果たせるかだけを気にし、新型コロナウイルスを軽視した。東京都が備蓄する防護服約30万着を、自民党の二階幹事長の指示のもと、中国に寄付した。しかも、決裁の手順を無視し、記録を正確に残さぬ形で。
今年2月4日に小池氏が自民党本部で二階幹事長と会談したさいに持ち上がった中国救援の話。二人とも、まだ日本での感染拡大に危機感を抱いていなかったのだろう。小池知事は二階氏の要請に応じる代わりに、都知事選における自民党の支援の約束をとりつけたといわれる。(424頁~425頁)
中国に恩を売りたい親中・媚中・屈中派の二階幹事長と、都知事選で自民党の支援を得たい小池氏の思惑が一致、その後日本の医療機関が危機的な欠乏状態に陥った医療用防護服を、議会にも報告せず、大量に(何と30万着!)中国に寄付。まさに都民・国民に対する背信の行為と断ぜらるを得ません。
小池氏と同居していた早川さんは、嘘に嘘を重ねた小池氏が、あろうことか国会議員から大臣、それも国を守る要の防衛大臣にまで昇りつめ、今や、都知事から総理大臣を狙っていることに義憤を感じ、日本国のためにその非を告発したものと思います。
わたしは、小池氏を前々から胡散臭く感じていましたが、それが間違っていなかったことを、この本を読んで100%理解、納得しました。ぜひ、みなさんもお読みください。強く推薦します。
小池都知事についての感想を述べました。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
政治家にはいくつかのタイプがあるが、小池百合子には、田中真紀子や菅直人と同じものを感じる。自己顕示欲が人一倍強く、部下が出したアイデアが良ければ己の功績とし、失敗すれば部下の責任とする。国民にとって必要な政策を第一に、よりも、己が目立つ政策を第一にする「業」のようなものを持っている。三人とも中国のような専制国家の政治家であったなら、習近平の小型を演じられるのではないか。即ち、国家国民のために最善を尽くすより、「私は他の政治家とは違う」と見せるための政策や言動が目立つ。そんな政治家でも当選するのは民主主義そのものが内在する欠陥、すなわち名前も知らない地味な指導者よりも、名前の知られたパフォーマンスの特異な指導者を選ぶのが民主主義の選挙だからである。今回の知事選に「良き指導者」も何人か立候補していたのだろうが、都民がその候補者の名前も知らないうちに選挙を終わらせた、のはまさに小「習近平」の政治力と言えそうである。その狡猾さを評価すべきか?
投稿: 齋藤仁 | 2020年7月17日 (金) 12時07分