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2020年8月21日 (金)

『疫病2020』…日本の危機を考える! 

 752回目のブログです

20208211

  “今や夢 昔や夢と たどられて いかに思へど うつつとぞなき”
      建礼門院右京大夫(歌人・平安末期~鎌倉初期)

 今が夢なのか、それとも昔が夢であったのか、思い迷って、どう考えても本当のこととは思われません…。

 建礼門院は壇ノ浦の戦い敗れ入水したが助けられ、京都・大原寂光院に入る。訪ねた右京大夫が、往年華やかだった建礼門院の落ちぶれた姿を目にし、深い悲しみを込めて詠んだものです。

 今が夢か、昔が夢か、世の中は一瞬にして天地がひっくり返ることも生じます。8月17日内閣府の発表した経済数字をご覧ください。

    【 2020年4~6月期のGDP(国内総生産)】
   前期比 ▲7.8%(年率換算すれば、▲27.8%)

 予想されていたとは言え、惨憺たる数値! リーマンショック後の2009年1~3月期の年率17.8%を大幅に上回る戦後最悪のマイナス成長を記録。言うまでもなく、この原因は、消費税増税で消費が落ち込んでいるところへ、コロナウイルス緊急事態宣言による個人消費が更に大きく落ち込み、外需、内需とも総崩れになったことによります。

 しかし、嘆いても始まりません。わが国にとって、感染症である武漢新型コロナウイルスの禍を避けられなかったかも知れませんが、適切に危機対応したのかどうかについて真摯に検証を行うことは極めて重要です。そのための最適な著書を紹介しましょう。

   書 名 『疫病2020』
   著 者 門田隆将
   出版社 産経新聞出版
   価 格 1600円+税
   書 式 単行本(382頁)

 門田隆将さんノンフィクションライター、ジャーナリストとして著名なベストセラー作家。『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発』『日本、遥かなりーエルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』など、多数の著書を通じ、鋭い切り口で、社会および国家の問題点を投げかけています。

 この書物も世間の注目を浴び、6月27日に出版したばかりですが、もちろんのこと、ベストセラーとなっているのです。ノンフィクションですから嘘はなく、筆にも迫力があり、ぐいぐいと引っ張り込まれ、一気に読み見通すことができます。読み応え十分と言えるでしょう。

 表帯には『この怪物がすべてを暴いた『100年に一度と言われるウイルス禍の日本、中国、世界。再び「あのとき」を体験し、検証し、本質を抉る全く新しいノンフィクション。』
 中国人現役医師が明かす驚愕の医療最前線
 武漢病毒研究所、恐るべき杜撰体質
 中国共産党が解説する弾圧と隠蔽、全情報
 国民が知らなかった官邸・厚労省の裏切り
 総理も愕然「創価学会」絶対権力者の逆襲

 裏帯には『自由、独立、命を踏みにじるのは誰か』章立てとして(1)飛び込んできた厄災 (2)お粗末な厚労省 (3)異変はどう起こったのか (4)告発者の死 (5)怒号飛び交う会議 (6)中国依存企業の衝撃 (7)迷走する「官邸」「厚労省」(8)台湾の完全制御作戦 (9)リアリストたちの反乱 (10)「自粛」という名の奮戦 (11)武漢病毒研究所 (12)混沌政界へ突入

 著者の門田隆将さんは、中国公安当局者、武漢治療医師、中国人ビジネスマン、台湾人など幅広い人脈から貴重な情報を入手して、著書の内容に深い彩りを加えています。わたし達が日ごろ接するテレビ、新聞、SNSでは得られない情報が多くあり、唸りながら読んでいきました。

 ここで、門田隆将さんが連日発せられたツイッターなどから重要なポイントを引用します。(※は筆者の感想です)

 「1/22:…SARSを超える事態に安倍政権は対応できず、原発事故時の民主党政権と同じだ。」

 「1/24:中国もさることながら安倍政権(「厚労省」「官邸」)の危機管理の欠如には驚かされる。武漢からの航空機に質問状を配布するという自己申告が安倍政権の“水際対策”とやらである。野党の体たらくで安倍政権はもっているだけで、決して国民の支持が高いわけではない。この危機管理の欠如は、コアな支持層の“安倍離れ”を加速させるだろう。」

 「1/25:いよいよ中国でパンデミックが始まった。機内で自己申告の質問票を配布するという“対策”を採った安倍政権を嘲笑うように、武漢、いや中国全土から日本での治療を目指す人々が押し寄せている。だが国会では今も野党によって「さくら~、さくら~」が歌われている。これが危機管理ゼロ、機能不全国家の姿。」

 「自民党本部は“新型コロナウイルス関連肺炎対策本部”を立ち上げ。ここで、佐藤正久、青山繁晴、山田宏、長尾敬氏らの面々が、なぜ中国全土からの入国禁止にしないのか、なぜ中国に遠慮しているのか、との怒号、意見が飛び交うも、総理の方針にイエスマンの岸田政調会長はガス抜きとして聞き置くだけ。」

 (※安倍総理の最側近の今井尚哉補佐官は親中、媚中派。二階幹事長も親中、媚中派であることは周知のこと。したがって安倍総理も親中派であることは間違いなく、安倍総理を保守、民族派、右翼と考えるのは幻想、錯覚ではないでしょうか。)

 「2/26:新型コロナ対応で毅然とした姿勢を貫く台湾の蔡英文総統の支持率が急上昇。再選された1月からさらに12ポイント上がり「68.5%」と過去最高に近づく。早期に中国からの入境制限を実施し、感染拡大を食い止めていると評価された。中国への配慮ばかりで支持率急落の安倍首相とは対照的だ。

 (※何と、国際機関WHOは、欧米の強力な要請にもかかわらず、新型コロナ対応ではダントツの世界トップである台湾に対して、総会にオブザーバー参加を認めなかったのです。国際社会は台湾の優れた知見を聞く機会を奪いました。ということは、国際機関であるWHOや国連などは、人類愛ではなく、金と権力と暴力で動いていることを示唆しています。)

 公安当局者情報「このウイルスは中国に大変な“革命”をもたらした。政府は国民の動きをすべて掌握。習近平体制がさらに盤石になり、中国は“公安管理プラス軍事管理”となる。携帯も盗聴、全国に2億台の監視カメラを配置、国民一人一人が今日、家を出てどこに行って、誰と会ったというのを政府がすべて掌握できるようになったのである。人民を監視する体制がいよいよ完成した。コロナ以後、言論や思想の自由はいうまでもなく、個人としてのさまざまな自由と権利があらゆる制約を受け、今後無くなっていくのだ。」

 「5/25:緊急事態宣言が解除。死亡率が異常に低い日本を米誌は“奇妙な成功”と評し、香港紙は“賞賛すべき規範意識の高さ”と。“他人を思いやる気持ちが強い日本文化”や“日本人は自分を律しルールを守る”というのも。全てが誇らしい。

 という具合に、著者は縦横無尽に、この疫病に体当たりし、わが国の欠点と長所を指摘しています。危機意識の低い厚労省と官邸ではあっても、それなりに制御できているのは、国民全般の清潔な生活習慣と、著者が指摘する医療従事者の人智を超えた踏ん張りのお陰だと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 それにしても、わが国の危機管理について考えさせられる素晴らしい著書です。テレビや新聞よりも、この著書『疫病2020』~この怪物がすべてを暴いた~を強く推薦します。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回は
時事エッセー
です。

 

 

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