ポストコロナを考える!
753回目のブログです
“筑紫にも 紫生ふる 野辺はあれど なき名悲しぶ 人ぞ聞こえぬ”
菅原道真(平安時代・正一位・太政大臣)
筑紫にも紫草の生えている野辺はあるけれど、その紫草の縁から、私の無実の罪をきせられている名を悲しんでくれる人の声は耳に入らないことだ…。
京の都から遠く離れた大宰府に左遷され、誰にも相手にされない菅原道真の辛く、寂しく、悔しい心中を詠んだ歌です。
つらく、寂しい時と言えば、まさに現在のコロナ社会。世の中は新型コロナ対策で右往左往、ほとんどの会合などがやむなく中止になり、この先どうなるのか不安な気持ちにならざるを得ない今日この頃です。特に日本人は基本的に「不安民族」であり、何でも不安なこと、不幸なこと、厳しいことを将来に予測しがちであるだけに、不安な気持ちがダブルになり、2乗に嵩上げされているのが今日ではないかと思います。
テレビ、新聞、SNS、メディアのどれを見ても不安感の煽り一辺倒。もう、ぼつぼつ物事を冷静に見ていく必要があるのではないでしょうか。
さて、安倍首相は「通算在職日数」に加えて「連続在職日数」において歴代最長を記録しましたが、体調の不安が持ち上がっており、いつ辞職してもおかしくない状況にあると言われます。次に誰が首相になるのか、立派な人物を期待したいものですが、ここでは、ポストコロナを考えてみます。
【経済復活・日本復活】
今、大きな問題を抱えているのが、先日発表された「GDP年率27.8%減」という衝撃の数字。そうでなくても20数年間デフレを放置し、世界で日本だけが経済成長しない国という不名誉極まりない醜悪な位置づけにあり、それに加えてのGDP▲27.8%ですから、何をかいわんやです。
ポストコロナでは、経済・政治・社会についての明快な思想が求められます。20世紀を代表する経済学者、ジョン・メイナード・ケインズは
“ 経済学者や政治哲学者の思想は、それが正しい場合にも間違っている
場合にも、一般に考えられているよりもはるかに強力である ”
と言っていますから『思想』が最も大事です。戦後の発展には「自由・平等」「民主主義」「経済成長」という輝かしい神話がありました。また、それ以後の衰退の道には「構造主義」「新自由主義」「グローバリズム」というくすんだ神話がありました。これには、いろいろな反論はあるでしょうが、結果がそうですから潔く認めなければなりません。そして、衰退と没落は止めなければならないのです。
そうとすれば、デマゴーグ的、ペテン的な思想は排し、豊かな歴史と穏やかな民族を踏まえた『確かな思想』『輝かしい神話』にもとづいてダイナミックに日本再生を進めるべきではないでしょうか。
【コロナ・台湾】
わが国の武漢新型コロナウイルス問題は早期決着とはいきそうにもありません。短期、中期での対処が必要になるでしょうが、とりあえず、実態の数字をご覧ください。
『新型コロナウイルス:人口10万人当たり死亡者数』
感染者数 死亡者数 人口10万人当たり死亡者数
台湾 487 7 0.03
日本 62,507 1,181 0.93
ドイツ 234,494 9,275 11.16
英国 327,643 41,515 61.87
米国 5,701,679 176,802 54.05
中国 84,967 4,634 0.32 (?)
(2020.8.24現在 厚労省広報より算出 単位:人)
(中国はあくまでも参考値)
メディアはなぜ日本のコロナ対策をなじるのでしょうか。確かに問題はあるにしても、それなりに上手く対応していると思います。メディアはしきりにドイツを見習えと言いますが、それはアホというもの。わが国が上手く対処していることは上の「人口10万人当たり死亡者数」を見れば明白ではないでしょうか。そして見習うべきは、先日、元総統・李登輝氏が亡くなられた『台湾』です。
日本は台湾に対して冷淡過ぎます。東日本大震災での義援金は台湾が飛びぬけて多く250億円を超える巨額であったにもかかわらず、政府主催で開催された東日本大震災一周年追悼式で、政府は台湾に対して極めて非礼な扱いをしました。(台湾代表を一般2階席へ・指名献花から除外…信じられないほど礼節を欠く!) また、大手地方紙・京都新聞は、東日本大震災特集記事で、各国義援金一覧表から台湾を除外、無視するという卑劣極まりないことを行ったのです。
アメリカは、平成30年(2018)3月「台湾旅行法」を制定。米政府高官と台湾政府高官との相互積極的な訪問を実現させました。 日本でも、台湾旅行法を制定し、日本、台湾の誰でもが相互訪問できるようにすべきです。議員立法で法制化し、中華人民共和国の鎖から自由になる覚悟を決めるべき時がきたのではないでしょうか。
【観光立国路線の大幅修正】
安倍内閣は経済政策が上手くいかないため「観光立国政策」に今も固執しています。コロナの影響は極めて大。クルーズ船はもとより世界への観光は熱が冷めたままであることは肌で感じられますが、政府は観光、インバウンドを叫ぶだけです。問題は、観光を主産業にしてはダメなこと。観光は過去の遺産を当てにするものであり「過去の国」がやることですから。国家としては、科学技術や工業製品などで将来を見据えたダイナミックな成長を目標にしなければ落ちぶれるだけではないでしょうか。
そして奇妙なのは観光政策として「魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放」を掲げていることであり、具体的には「首相官邸」「皇居」「皇東御苑」「三の丸尚蔵館」「京都御所」「京都仙洞御所・桂離宮・修学院離宮」「御料牧場」「鴨場」「信任状捧呈に係る馬車列」などです。
とんでもない話。政策というよりも業界、官僚、官邸、政治屋のヨタバナシという下衆さ。そもそも、皇室は観光資源(メシのタネ)のために存在しているのではありません。国の破壊を目指しているとしか思えないではありませんか。日本国のリーダーであるならば、国の根幹について深い思慮と真摯な考えを廻らしてはいかがでしょうか。観光立国政策は全面的に見直すべきです。
【健全野党】
立憲民主党は野党第1党ですが、国会の議論を見ても、モリカケやサクラばかりで、対案的な政策論議に至ることはありません。健全野党が育たないことには、与党(自民+公明)というヌエ的な存在が力を増すばかりであり、国家の存立と社会の安寧、国民生活の向上を目的とする本来の議会制政治が機能しません。
こんな時、国民民主党は、次の選挙をにらみ、立憲民主党と(新)国民民主党に「分党」することに決めたと報道されています。なかなか良いタイミング。国民民主党の玉木代表と山尾志桜里氏は「消費税減税」「憲法改正」「香港人権擁護」に積極的であり、現実的な政策として、自民党に物足らない国民の支持を受ける可能性が大きいはずです。しかしながら、あまりにも弱体であればそれも難しいので「国民民主党」は会派「みんなの党」(渡辺喜美参院議員ら)に合流し、旧民社党のような対案を出せる健全野党の会派を目指すべきだとの意見もあります。
健全野党が存在しない今日、自民党は堕落し、活力を失い、党是(改憲・自立)さえ忘却するという体たらくになってしまいました。その意味を含めて改めて活力ある政党を目指してほしいと思います。
“進むもよし、とどまるもよし。
要はまず断を下すことである。みずから断を下すことである。
それが最善の道であるかどうかは、神ならぬ身、
はかり知れないものがあるにしても、断を下さないことが、
自他共に好ましくないことだけは明らかである。”
(松下幸之助)
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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