異常な中国の監視社会!
756回目のブログです
“いつとても 恋しからずは あらねども 秋の夕べは あやしかりけり”
詠み人知らず(古今和歌集)
いつといって恋しくない時はないけれど、特に秋の夕暮れというのは不思議に人恋しいものである…。
コロナウイルス禍のなかで、人と会うことには厳しい制限が設けられており、いつでも、どこでも、誰とでも、気楽に会える環境には程遠い状況にありますが、それでも、いわゆる「Go To トラベルキャンペーン」の盛況を見れば、世の中は和らいだ雰囲気に向かいつつあるようです。
自らが都民を厳しく行動制限した東京都小池知事も、遅まきながらGo To トラベルキャンペーンのバスに乗りたいと態度を変えてきました。バスに乗り遅れるな、とパフォーマンス100%から経済活性化へ姿勢を転換したものと思われます。何はともあれ、経済活動が一日も早く旧に復することを望みたいものです。
わが国は、穏やかな自由民主社会であり、それゆえに徹底的な監視社会を目指しておらず、今回のコロナウイルス禍に対しても、権力を大上段に振り下ろしたりせず、緩やかな対処となったことは周知の通りです。
一方、中国共産党政権は、強大な権力行使を容易にするための激越な監視社会を追求してきており、わが国とは異質の「異形の国家」に向かっています。その実態について考えてみたいと思います。
・中国の監視社会への驀進は、全世界にいる中国人への密告・スパイ指示、膨大な数の監視カメラ、ITを駆使した「健康コード」「信用スコア」そして今月から始まった「文明コード」まで、止まるところを知りません。
・中国では2018年には約2億5100万台の「監視カメラ」が設置されていましたが、2021年には2倍以上の5億6700万台になる見通しと言われており、人口14億人ですから、2.5人に1台という巨大極まりない監視システムとなります。
・「健康コード」:公民身分証(誕生時に与えられる18桁の数字)で本人確認を行い、スマホに健康状態、行動情報を入力すると感染リスクの大小が3段階で表示されるツール。地下鉄、公共バスに乗車する時、オフィスビルやホテルに入る時などに入り口に設置された読み取り機にスキャンして提示してチェックを受けなければなりません。
・「信用スコア」:学歴、職業、年収、購買履歴、交友関係などの膨大な個人データをもとに、信用度をAIが分析し数値を弾き出す。可視化された信用度は、融資・ローンの可否、医療トラブル回避をはじめ、すべてのサービスに展開されます。(社会信用システムは中国共産党への絶対服従を確実にするための社会監視制度だと批判する意見もあり、まさしく、ジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた「ビッグブラザー」の世界と言うこともできます)
・「文明コード」:モデルケースとして行ったのは蘇州市。市民を「等級」区分けし、優遇される市民とそうでない市民が生まれました。誰が文明の基準と点数を決める権利を有しているのかが大きな問題ですが、それはもちろん共産党トップの恣意的な判断になることは必至ではないでしょうか。
(この制度は毛沢東時代にあった「由緒正しい家柄でなければ、四類分子(地主・富農・反革命分子・悪人)に分類されて、地主、富農、反革命分子、破壊分子、右派と認定されれば本人は刑務所に入れられるか、そうでなければ農村へ下放されるか労働改造所へ送られ、政治運動の度につるし上げられ、その子孫も就業や進学で差別されてのけ者にされる。つまり人として扱ってもらえなくなる」心配があります。<9/6record china>)
・「インターネット安全法」:中国共産党政権は、辺境国はもちろんのこと自国民をも徹底的に監視します。何らかのSNSをするにもすべて実名でやらなければならないのです。微博(ウェイボー)も、微信(ウィーチャット)などのプロバイダーは、ユーザーの実名だけでなく、身分証番号も、携帯電話番号も、紐付けて管理しなければならず、違反すると処分されます。
グーグルやツイッターやフェイスブックは中国から締め出し。なぜなら、これらのアメリカ企業は中国共産党政権の命令に従わない上に、サーバーは中国国外にあるからです。…中国は自分で管理できないものは排除し、管理できるものだけを入れるのです。(9/12 MAG2NEWS鈴木傾城氏論稿より)
・中国共産党政権は、強権主義・独裁主義・非民主主義によって自国民を統治しており、それは、新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの辺境自治区に対しても同様です、というよりも一層強烈と言わねばなりません。そのうち、特に新疆ウイグル自治区に対しては、苛斂誅求、あらん限りの拷問、弾圧を加えているのではないでしょうか。
ウイグル自治区内の市街地には、異常な数の監視カメラが設置。約20mおきに最新式と思われる数種類のカメラが死角を作らないような形で置かれ、どこに居ても常に監視下にある状態。(2018/11/6日本人ブロガー旅行記より)
100万人にも上る強制収容。イスラム教の信仰・ウイグル語・男性の髭・女性のベールなどウイグルのアイデンティティを排除、禁止。共産主義を信じさせようとする洗脳教育、毛沢東語録の暗唱・毛沢東による新疆ウイグル解放への感謝を唱えることを強要する教育。さらに断種の強制によるウイグル人滅亡策を実施中。
身の毛もよだつ生々しい現実に恐怖を覚え、あの忌まわしいナチスのアウシュビッツやソ連のラーゲリーを想起させます。
中国を侮ってはいけません。現在の中国(中華人民共和国)の国体(国柄)を理解するには、トップの独裁者・習近平氏がどのような地位にあるかを知ることです。
・中国共産党中央委員会総書記
・中国共産党中央軍事委員会主席
・中華人民共和国国家主席
・中華人民共和国最高指導者
・中華人民共和国中央軍事委員会主席
これで分かるように、①に中国共産党、②に中華人民共和国、ということが明白です。
信用スコアや文明コードを見ればわかるように、強権主義・独裁主義・非民主主義によって立つ中国共産党政権は、明らかに階級社会を目論んでいると言えるのではないでしょうか。そして、共産党政権に反旗を翻す組織や人々には、一層徹底した監視社会を構築することにより、強烈な弾圧を加えるという異常さ。まさしく「非人間的国家」と言わざるを得ません。
支配を広げていこうとする目論みも、香港やチベットやウイグルだけにとどまらず、台湾、フィリピン、ベトナム、そして日本へも強烈な刃が向けられていることは、ここ最近の中国の動向から窺がうことができます。
すなわち、一連の行動は「侵略」を視野に入れたものだということを今一度認識しなければなりません。今、自由民主党には、独裁者・中国共産党中央委員会総書記を国賓待遇で歓迎しようという声もありますが、これは、とんでもない媚中、屈中外交ではないでしょうか。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回は
時事エッセー
です。
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コメント
日本のメディアは口を閉ざしているが、中国政府は一党独裁であり、かつその党員から首班を選ぶにあたっても一般国民の選挙もない。すなわち中国共産党には中国国民の国政を担当する正統性がないのである。この仕組みは、明や清などの歴代王朝と全く同じ武力で政権を奪取した専制国家である。その中国共産党が、21世紀の世界で、先端技術を駆使して国民を監視するばかりか、他国をも隷属化させようとしている。中国に隷属化するのでなく、中国共産党に服させようとしている。中国でなく、問題は中国共産党であることを我が国のメディアは熟知しながら、それを全く報じないし、論じない。習近平が異常なのでなく、異常な中国共産党を無批判で受け入れている日本のメディアや産業界が異常なのであり、それが習近平の異常を許しているのである。その背景には、日本人が自由社会にありながら、報道の自由とか○○からの自由、といった他罰的な自由ばかりを学校でで学び、一個の人間にとっての「自由」とは何かを大学に至るまで学校教育の場で学んだことがないからであり、福沢諭吉流にいえば、「独立不羈」の本物の自由を学んでいないし、知らないのである。中国共産党に支配されてから初めて精神の自由の大切かがわかった、などと呟く日本人の姿は見たくないが。
投稿: 齋藤仁 | 2020年9月18日 (金) 09時07分