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2020年10月 9日 (金)

新聞業界の苦境…それでもイデオロギーにこだわるのか!

 759回目のブログです

20201091

  “むら雲の 絶え間の空に 虹立ちて 時雨過ぎぬる をちの山の端”
          藤原定家(平安末期-鎌倉初期/玉葉和歌集)

 一面の雲の合間に虹が立った。遠くの山の端の方は時雨が通り過ぎているのだろうか…。

 百人一首にはを詠んだ歌はなく、4500首もある万葉集にわずかに1首あるだけであり、定家の玉葉和歌集に歌われるまで500年もたっている不思議。それはおそらく、虹=蛇、類似の漢字であり、龍や蛇は雨という恵みをもたらす水神さまであるとともに、時には洪水などをもたらす恐ろしい神さまでもあったからでしょう。

 平安京には、東に青龍西に白虎、南に朱雀、そして、北に玄武(水神・カメの甲に蛇が巻きついた形)の四神が配置されました。この玄武こそ畏れ多い存在であり「蛇」に似た漢字の「虹」を恐れたのではないでしょうか。

 今では虹は明るくて未来を開くものと印象付けられており、明治以後は和歌にも数多く歌われています。

 さて、私などが毎日手にして読む新聞が業界として苦境に立っていますが、真っ当な新聞であるならば、未来に虹が見えるようになってほしいものと願っています。とりあえず、現状を見てみましょう。

 【全国紙発行部数】令和2年(2020)8月

  読売新聞 :7,423,000(部・朝刊・ABC調査)
  朝日新聞 :4,991,000
  毎日新聞 :2,097,000
  日経新聞 :2,065,000
  産経新聞 :1,243,000

  【ABC調査】
  販売部数公査機関(Audit Bureau of Circulation)の略称。
  新聞、雑誌の発行部数を公正に調査報告したもの(?!)

 特筆すべきは朝日新聞。平成21年(2009)には800万部台を誇っていましたが、平成26年(2014)に700万部を割り、平成30年(2018)には600万部を割り、今年、令和2年(2020)ついに500万部割れとなりました。この10年間で300万部も失い、しかも減少速度が増すという異常事態となっています。

 そして、注意を要するのは、この数字が「押し紙」をふくんでいる数字だろうということです。したがって、実売部数は350万部くらいではないかと見られています。

  【押し紙】
  新聞社が発行部数を水増しするため、販売店に注文以上の部数を
  押しつけたり、注文させたりする行為のこと。(違法行為)
  多くは配達されることなく廃棄されるといわれる。

 減少しているのは朝日だけでなく、他の新聞も同じです。かつては、読売1000万部、朝日800万部と言われていました。日本新聞協会の調査データによれば、業界トータルで、平成12年(2000)には53,708,000部あったものが、令和元年(2019)には37,811,000部になり、30%も減少しているのです。

 新聞が、まさに存亡の危機にある原因と今後について考えてみましょう。(メディア・ウオッチャー古田大輔氏「イノベーション・リポートについて)などを参考)

 読者が高齢化していること。「新聞紙を毎日読む人」は、50歳以上では7割、60歳以上では5割、年齢が高くなればなるほど購読停止が増えています。今後ますます新聞購読者が減ることは自明です。

 一方、若い世代。ミレニアル世代(昭和56年<1981>~平成8年<1996>に生まれた人たち、すなわち令和2年<2020>時点で40歳以下の世代)で「新聞紙を毎日読む人」はわずかに15%未満。スマホやインターネットが当たり前の時代に育った世代(デジタルネイティブ)であり、月額4,000円の新聞紙を購読する可能性は極めて低いと考えられます。

 当然ながら、新聞社は手をこまねいているわけではなく、積極的にデジタル事業に乗り出しています。ところが、デジタル版の購読者を増やしているのは日経新聞だけ(今年2月に電子版有料会員が70万人を超えたと発表)。デジタル事業からの収入は一般紙平均で全体のわずか1.4%ですから、とても紙媒体の不振をカバーすることは出来ません。

 そして、販売店の経営も苦しさを増しています。相変わらずの押し紙が存在する上に、大切な収入源のひとつである折り込み広告が激減している現状は容易に解決できそうにもありません。過去延々と続いてきたビジネスモデルが崩壊の危機にあると言っても言い過ぎではなくなりました。ビジネスモデルの再構築が待たれるところです。

  ・海外、アメリカに目を向けると、この国も例外なく新聞紙媒体は不振。しかし「NYタイムズ」は、ネットメディアの手法、新しいテクノロジー、ネット展開に相応しい人材の積極的採用などを取り入れ、今では、デジタル版会員が急増。2015年4億ドルのデジタル事業収入が2019年には倍増、8億ドル超となりました。現状、紙媒体の購読者が85万人に対して、デジタル版の購読者は世界中に広がり、何と340万人を超えているそうです。

  NYタイムズ経営者の、デジタル時代を創造的に切り開き大成功に導いた感性と勇気に対してだけは敬意を表したいと思います。とはいうものの、NYタイムズは今も新聞紙を発行。デジタルだけではなく紙もそれなりの役割があるとの認識を持っているのではないかと推測します。

 今や、危機の時代。新型コロナウイルス禍が世界に蔓延し、人々はその実態や支援策などについて、広範囲の真実の情報を求めており、それに真摯に応えるメディアが生き残っていくのではないでしょうか。

 そう考えれば、冒頭に述べた朝日新聞の凋落は、単に読者の高齢化や若い世代のデジタル志向の所為だけではなく、真実の情報を読者に届けていないことも大きな要因に上げられると考えます。

  例えば、平成26年(2014)の「慰安婦捏造報道」取消や、同年の東京電力福島第1原発事故に関する「吉田調書」虚報問題など、染みついたイデオロギー、ルサンチマンからくる反日、反政府など、邪な思想によって紡がれる記事が続出し、表向き、反省と謝罪の連続という不様な事態。

  これでは、どんなに朝日新聞を永年愛してきたコアな読者も愛想を尽かしたのではないでしょうか。その数字が購読者減少に大きく影響してきていると思います。

 真実の情報を伝えることこそ、新聞メディアに求められる最も基本的で重要な要素であると考えます。

 これからは、本当の情報が求められる時代であることを認識したいものです。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回
時事エッセー
です。

 

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コメント

イデオロギーを柱とした政党や頑なな信条を軸とした宗教団体は、支持者や信仰者の減少に比例して過激になる。日本赤軍やオウム真理教、北朝鮮などに見る通りです。もしかしたら最近の習近平グループも。組織の弱体化や世間の批判は、大衆はバカだからこれほど説いても気づかないが、自分の語る正義・真理こそ本物だ、という自己陶酔を強める。かつては社会の中心にいた自分たちが、いつのまにか非社的・反社会的存在に堕ちていることにも気づかない。営利を目的とした民間企業なら時代に合わせて大衆の望むものを提供するが、イデオロギーによる国民洗脳を目的とする組織は弱体化すればするほど狂信化する。朝日新聞の社内には政治部等の狂信化に危機感を抱いている健全なスタッフもいるだろうが、どうなるか、オウムや日本赤軍は凶暴化して終焉を迎えたが。

投稿: 齋藤仁 | 2020年10月 9日 (金) 10時18分

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