日本学術会議の問題点!
761回目のブログです
“八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり”
恵慶法師(平安中期・百人一首)
つる草が何重にも重なって生い茂っている荒れ寂れた家。訪れる人は誰もいないが、それでも秋はやってくるのだなあ…。
(葎=むぐら・つる草のこと) 秋は、澄み切った空に心を洗われますが、うら悲しくもの寂しい感傷におちいることも一度や二度ではありません。上に掲げた恵慶法師の和歌は、華やかな過去を思い出しながら、時の推移とともに現在の荒廃した姿の哀れさを詠んだものです。
人の姿や風景の哀れさは和歌に詠われ、芸術、文化として後世にまで名を残しますが、いま、世情で騒がれている「日本学術会議」は臭気を芬々と放ち、気高い品格から遠く離れ、とても後世にまで名が残ることはないように思えます。
■ 首相、学術会議の新会員候補6人の任命を見送り
…「落選」は制度開始以来初
加藤官房長官は1日の記者会見で、日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち、菅首相が6人を任命しなかったことを明らかにし た。推薦を受けて首相が任命する制度が導入された2004年以降、任命が見送られたのは初めて。
(2020/10/01 読売新聞一部抜粋)
ほとんどすべてのマスコミ、共産党や立憲民主党などの野党、大学などは「学問の自由」を侵しているとの論法で、厳しく非難合唱をしていますが、菅首相は、学問の自由の侵害には当たらないと反論しています。
今回、菅首相によって任命を拒否された6名は以下のとおりです。
芦名定道:キリスト教学者、京都大教授
宇野重規:政治学者、東京大教授
岡田正則:行政法学者、早稲田大教授
小澤隆一:憲法学者、東京慈恵会医科大教授
加藤陽子:歴史学者、東京大教授
松宮孝明:刑事法学者、立命館大教授
このメンバーの共通点は、自民党政権がすすめてきた安全保障関連法案や共謀罪などの治安関連法案に反対してきたことが挙げられますが、そういう立場の学者でも任命された人もいますので、一概にこの点でだけとは言い切れません。
では、菅首相はなぜこのような挙にでたのか、わたしは、次の2点ではないかと推測します。
・ 日本学術会議の「偏向体質」をあぶり出し正常化させる。
・ 旧態依然の日本学術会議を抜本的に見直す。
まず、学術会議の偏向ぶりが一番顕著なのは、以前より軍事的研究を行わないとの方針を掲げてきましたが、平成29年(2017)『軍事的安全保障研究に関する声明』を出し、全国の大学などの研究機関に対し、その種の研究を自粛するようを要請したことです。
【軍事的安全保障研究の定義】
① 軍事利用を直接に研究目的とする研究
② 研究資金の出所が軍事関連機関である研究
③ 研究成果が軍事的に利用される可能性がある研究
この3ヶ条をよく読んでみれば、先端技術のすべてが該当するのではないでしょうか。
これでは、日本の科学技術開発に強烈なブレーキをかけることになります。資源の少ない日本が世界に伍していくために必須のものである先端技術研究を自粛させるなんてことは、まさに、国益に反する反日的行為だと言わざるを得ません。先端技術の研究や開発で民生用か防衛用かで議論する国は “日本” だけであり、愚かとしか言う言葉がありません。それでなくても遅れがちな日本の先端科学技術、その足を引っ張るのは、日本を滅亡の淵に追いやるということを認識すべきではないでしょうか。
時代が急速に進んでいる今、どのようなものであれ、民生用と防衛用(軍事用)を明確に区別することは不可能なんです。例えば、軍事技術から民生用に転用されたものを一部拾い上げてみましょう。
・インターネット
・パソコン
・IC(集積回路)
・光ファイバーケーブル
・携帯電話、スマホ
・デジタルカメラ
・腕時計
・ティッシュペーパー
・缶詰
・電子レンジ
・テレビゲーム
・カーディガン
・トレンチコート
・GPS(グローバル・ポジショニング・システム)
・ロケット
・原子炉
現在、世界では、ロボット・AI・通信・自動運転・高機能複合材・暗号・創薬・遺伝子などなど、民生も防衛用も区別は出来ないことは子供でも理解しています。
学術会議が、それをあえて理解しようとしないのは、悲しいことですが、日本よりも中国共産党や旧ソ連、など共産主義イデオロギーにシンパシーを感じており、この組織が、過去はもちろん現在も、共産党、民化、サヨクに引きずられてきた経緯があるからです。彼らは現実を直視しないイデオロギー人間であり、数による隠然たる力によって、政治色の強い声明を出し、防衛安全保障にかかわる先端技術の研究をさせないようにしてきました。
【民主主義科学者協会】…略称は「民科」(みんか)
日本の進歩的な自然科学者・社会科学者・人文学者の左派系協会。
民主主義科学の発展をはかることを目的。
今回、菅首相は、学術会議のバランスを保つために、民主主義科学者協会法律部会メンバーの一部を任命拒否するという極めて豪胆なメスを入れました。ソ連コミンテルンとの関連も指摘されていた左翼学者組織「民主主義科学者協会」が今も健在であることに驚きを隠せません。国家、国民を惑わす亡霊ともいうべき存在にメス!…見事ですね。早速、自民党内に学術会議の在り方を検討するチームが立ち上げられました。
マスコミは、学問の自由が侵されたと異常なほど騒ぎますが、憲法が保障しているのは、全ての国民の「学問の自由」の権利であって、大学の研究者の特別な地位などではありません。そもそも、学術会議は、科学の振興を図る国家政策へ寄与するための組織です。学問をする制度としての学術機関ではありません。大学や研究機関や自宅などで自由に学問・研究をしたなかで、優れた業績をおさめた人達が集まり、政府に「勧告」「答申」「提言」をすることが本質的な使命です。
永い間、もやもやっとしていた日本学術会議にスポットライトが当てられました。あらためて、日本学術会議のありかたについて、民間化も含め議論が深まることを期待します。
何はともあれ、菅首相に敬意を表したいと思います。
みなさんはどのようにお考えでしょうか。
次回
時事エッセー
です。
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コメント
日本学術会議は公的機関としては「学問の自由」を害する有害無益な存在でしかない。日本学術会議の名前、あるいは委員の肩書で各種研究機関の「学問の自由」を阻害してきたのは事実である。また学究の各専門領域の本物の学者が委員となってきたわけでもないことは、全国の学究者が熟知している。民営化して、公的な権威をすべて消してしまえばよい。事実上の圧力団体、政治団体に化している日本弁護士会についても、すべての弁護士の強制加入を廃止すべきであろう。弁護士に必要な自由な発現が弁護士団体の存在によって圧せられている。
投稿: 齋藤仁 | 2020年10月23日 (金) 08時36分