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2020年12月18日 (金)

京都迎賓館を訪ねる!

 769回目のブログです

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 “都にも 初雪ふれば 小野山の まきの炭窯 たきまさるらむ”
            相模(平安後期・後拾遺和歌集)

 都でも初雪が降ったので、良質の小野山の木を焼く炭窯はさぞや燃え盛っているだろうよ…。

 京都の地は、春、夏、秋、冬、四季のいずれであっても情趣溢れる景色を見させてくれます。また、京都盆地は、風水でいう「四神相応の地」東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武を想像させ、都を置くにふさわしい特異な地理を誇っています。

 それ故にでしょうか、京都は1000年を超す都として鎮座してきました。都である限りは、芳醇な香りを放つ芸術、繊細極まりない工芸、雅の極致などに溢れていることは間違いなく、つい先日、その真髄にふれるべく「京都迎賓館」を訪ねました。産経WEBツアーの少人数研修ですが、京都は久しぶりです。

 JR茨木駅→JR京都駅→地下鉄丸太町駅(集合)→京料理「かじ」(昼食)→「京都迎賓館」鑑賞→(現地解散)→地下鉄今出川駅→JR京都駅→JR茨木駅

【京料理「かじ」】

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 当日の天気は晴れ/曇り。今年もっとも寒い日でしたが、京都は大阪よりもかなり寒く、京都の底冷えを久しぶりに体感したところです。地下鉄丸太町駅から、寒そうな街並みを10分ほど歩いて「かじ」に到着。京料理懐石に期待するところ大いなるものあり…。

 “現代の名工”を受賞した御主人・梶憲司さんは京都を代表する料理人。ご主人によるわかりやすい京料理の解説から、一品ずついただく料理の素材、料理方法などの説明など、至れり尽くせりでした。そのなかで、京料理が以下の料理の良いところを取り合わせたものであるとの解説に唸りを覚えたところです。昼食としての京料理、誠に美味しく舌鼓をうちました。

   【京料理】(下記料理の良いところ取り)
   ・公家 有職料理
   ・武家 本膳料理
   ・お寺 精進料理
   ・茶道 懐石料理
   ・町衆 おばんざい

 味わうべきものは味わい、いよいよタクシーで「京都迎賓館」へ。タクシーを降りると何と(みぞれ)、付添人によると京都は初雪とのこと、道理で寒いはずです。京都御所の東隣りにある「京都迎賓館」西門へ歩いて4~5分。

【京都迎賓館】

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 京都迎賓館は、日本の歴史、文化を象徴する京都で、海外からの賓客を心を込めてお迎えし、日本への理解と親睦を深めていただくことを目的として、平成17年(2005)に開館した国の迎賓施設。

 日本建築の伝統の粋と現代の技術を融合させる「現代和風」の創造を基調としており、下記のような多くの伝統的技能が活用、配置されています。目を奪われる素晴らしい建築、工芸の世界に圧倒されました。

 伝統技能者の技
   ・大工(数寄屋)
   ・左官
   ・建具
   ・表具
   ・畳
   ・錺金物(かざりかなもの)
   ・漆(うるし)
   ・截金(きりかね)
   ・庭園
   ・石造工芸
   ・竹垣

 伝統技能
   ・漆(うるし)
   ・蒔絵(まきえ)
   ・螺鈿(らでん)
   ・錺金物(かざりかなもの)
   ・鎚起(ついき)…槌で薄い金属板を打ち、肉彫を施す鍛造技術
   ・鋳金(ちゅうきん)
   ・竹工芸
   ・京指物(きょうさしもの)
   ・木象嵌(もくぞうがん)
   ・西陣織
   ・羅織物(らおりもの)…搦み織、捩り織(もじりおり)
   ・京繍(きょうぬい)…優れた意匠と高度な技術による京都刺繍
   ・京組紐(きょうくみひも)
   ・七宝(しっぽう)

 【聚楽の間】―じゅらくの間ー

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 現代でいう待合(ロビー)。人間国宝による竹花器や西陣織の椅子生地などにより、暖かい雰囲気が醸し出されています。

【夕映の間】―ゆうばえのまー

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 大会議室。大臣会合などの会議や立礼式(りゅうれいしき)のお茶のおもてなし、晩餐会の待合として使用。東の壁面には、月が比叡を照らす様を描いた「比叡月映(ひえいげつえい)」、西の壁面には、京の西にある愛宕山に夕日が沈む様を描いた「愛宕夕照(あたごゆうしょう)」という綴織り(つづれおり)技法の織物。グラデーション配色の豊かさ、織の立体感の見事さに目も眩むほどです。

【藤の間】―ふじのまー

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 藤の花をテーマにしたもっとも大きな部屋で、洋食の晩餐会や歓迎式典として使用。正面の壁面装飾は高さ3.1m、幅16.6mの巨大な綴織り、39種類の日本の花が織り込まれています。とにかく圧倒され、しばし見入っていました。そのほか、本美濃紙と京指物の伝統的技能が使われた格子光天井、人間国宝・江里佐代子さんの伝統技能「截金」による光る舞台扉、など見どころは至る所にあります。

【桐の間】―きりのまー

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 和食を提供する「和の晩餐室」最大24名まで、京料理でのおもてなし。食事中には「次の間」で芸妓や舞妓による舞や箏の演奏などが行われ、宴席に彩りを添えます。現在、日本国政府の紋章となっている「五七の桐」が、釘隠し、襖の唐紙、座椅子など各所に使われています。

 圧巻は、12メートルに及ぶ黒漆(うるし)の座卓。しっとりとした黒漆、まるで鏡のよう、鑑賞しているだけでも艶な気分にさせられます。

         『China』と言えば『磁器』
         『Japan』  〃  『漆』

 素晴らしい工芸品、漆=Japan、日本ここにありの感を深くしたところです。

【庭園】―ていえんー

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 和風、日本建築と言えば庭園を欠かすことは出来ません。「庭屋一如」の思想を最も端的に表現するのは庭園。池、樹木、石灯籠、飛石、苔、鯉、和船など、全体を俯瞰した中で調和をとる、見事な出来映えとなっており、高い品格を示しております。棟梁として指揮を執ったのは桜守りとして著名な佐野藤右衛門さん、さすがだと思わずにはいられませんでした。

 分かりやすいガイドさんの説明で、1時間超の、見学というよりも鑑賞の時間は、あっという間に過ぎ去り、後ろ髪をひかれながら退出しました。見事なばかりの和風建築、日本の工芸、職人技術、…これらを目前にすれば、コロナ鬱なんて吹き飛ぶ感激、感動の時を過ごすことができます。まさしく楽しくも有益な一日でした。

 京都迎賓館は、現代和風建築の最高峰です。

 みなさまもぜひ訪れてはいかがでしょうか。お薦めします。

次回は
時事エッセー
です。

 

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